6話 不穏
【続きまして、女子の発表を…】
男子の発表が終わってから、ようやく静かになってきた。
屋根に雨の当たる音が聞こえる。
雨が降り始めていたようだ。
『まじかよ。せっかくサッカー楽しみにしてたのに、天気予報うそじゃねぇか』
すぐ後ろの男子がつぶやく。
二階の窓を見ると黒い雲が見える。
雨が強くなる。
大雨になりそうだ。
【ー3組今宮 凛】
『ハイ』
女子が立ったことで、見上げていた方向が遮られる。
女子が動き始めるとまた窓に目をやる。
(ーー?)
一瞬窓の外に素早く黒い影が通った気がした。
早く流れていく黒い雲を見ているとどうやらそれを見間違えたようだ。
(寒いな…)
肌寒くなってきている。
この季節は衣替えが待ち遠しい。
【ーでは、以上10名に盛大な拍手を。
えー、次に最近の君たちの素行について…】
いつの間にか表彰され終わったようで、壇奥にいる初老の男性がまた話し始める。
外がピカッと光った。
少し遅れて大きな音が体育館に響く。
『やぁっ…』
横の少女が小さな悲鳴を上げる。
雷が鳴り始めた。
「大丈夫?」
『…うん』
小さく頷く。
もう一度窓を見ると外は真っ暗になっていた。
【では、今後気をつけて生活に励むようーーブチッ】
外が大きく光り、ほぼ同時に強烈な破壊音が響く。
体育館が真っ暗になりほとんど見えなくなる。
辺りがざわつき始める。
『今のヤバくない?』
『絶対落ちたよね』
『ただの停電だ。静かに!
すぐ回復するからじっとしてなさい。』
先生たちが生徒を静かにさせる。