1話 目覚め
--- 伊藤 優 ---
―ガタンッ
「……っ!!」
頭の痛みに眼が覚める。
顔をあげると見知らぬ光景に戸惑う。
(ここはどころう?)
よくある教室のよくある机で寝てしまっていたようだ。
周りには見知らぬ人々。
(…20人くらいかな?)
机が綺麗に整列して並んでいる。
幾人かの話し声が聞こえるが、そのよそよそしさを見るとみんなお互いのことを知らないみたいだ。
ー?
(なんだ、あれ)
教室の後ろに自動販売機のようなものが置いてある。
大きさは自動販売機のようだが中心にタッチパネルのようなものがあり、大きな取り出し口が2つ付いている。
おかしなところはそれくらいか
周りを見渡していると、左前の男性と目が合った。
机に座ったまま話しをしてみる。
「ここって、どこ?」
男性は聞こえているのか、反応が薄い。
もう一度聞こうかと迷っていると
やっと返答した。
『うーん…わからないなー。
なんか全然思い出せないんだよね。
君は何か知らない?』
反応が無いと思っていたら、考えていたようだ。
「うーん…」
そう言われてみると、なんでここにいるのかも、どうやってここまで来たのかも覚えていない。
『昨日の夜ご飯は?』
「えっ!?」
『まあまあ、いいから。』
考えてみるが……
(思い出せない!?)
僕の表情を見ると、男は察したように頷く。
『そうなんだよねー。
全然思い出せないんだよね。』