最初の門を壊したのはあくまで空気を読んでの行動であり、決して個人的な八つ当たりではありません。
シアンネイス城を後にした巧海はトレーニングをしていた。
一方、女王十騎士たちは、ギリギリまで精神を磨いている。禁術を使い、万が一コントロールが利かなくならないように、集中している。
女王は詠唱魔法の練習などをしていた。
「やはり魔法陣を書くときが一番厄介だな。でも、これをくらわせれば奴も……。」と汗をかきながら詠唱を開始した。
そして、戦いの日。
巧海はシアンネイス城の前に立っていた。
「ここで開くのを待つよりはシンプルに行こう。」そういうと、足を高々に上げ、
「龍神拳奥義 地龍神 一足一震」とその一歩で地震を起こし、扉を砕いた。
「よーし。入るよー。」それを見た女王たちは、
「門壊して、入ってから言うなー!」とツッコまれた。
そして、一階の広間に出ると、
「下劣な龍神王よ。今ここで、私に倒されるが良い。」十騎士の一人、イニシア卿が薙刀を構え宣言するも、
「悪いがそこまで長くはもたせるつもりはねぇ。来いよ。」それが戦闘開始の合図になり、
「禁忌発動。暗闇狂戦士化!」と闇のオーラを纏い始め、真っ黒なフルプレートの鎧姿のイニシアが現れた。
「これは、対策考えておいたほうが正解だったな。」すると、詠唱を開始した。
「汝、自然王の力をこの身に宿して、悪を払い去らん。汝、この力の代償はこの身にて支払う。汝、我の言霊に答え、腕に宿りて敵を滅さん。重手甲 アトランテアハンド召装。」唱え終わると、火、水、風、地、の魔法が一つになり、自分と同じ重さがあるであろう手甲を装備した。
「さぁ、準備が出来たし始めようぜ。」と手甲と手甲をガンっと合わせ構えをとると、
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」と先ほど狂戦士化したイニシアが雄叫びを上げ襲ってきた。
すると、片手で印を結び、闇と風の攻撃を繰り出した。
「風闇魔法 黒縄蛇竜」それを巧海は片手で払いのけ、
「重手甲限定龍神拳奥義 炎龍神 獄蓮一握」とイニシアを掴もうとするがそれを受け流され、
「風魔装撃 妖精舞踊」受け流しつつも連撃を打ち込まれた。
しかし、
「軽いな。蚊が止まったかとおもったぜ。これで終いにするぜ。」と右半身を後ろに回し、左手で右拳を包むように構えた。
そして力を貯めて、
「重手甲限定龍神拳奥義 水風龍神 激流風縄拳」と風と水を合わせた貫通拳をヒットさせて、イニシアを倒した。
「まずは一人目。気絶してるからわからんだろうが、一応禁術は解除しといた。もう暴走することもないようにしたからな。」と相手を殺すどころか、相手を救った。因みに巧海は例えどんな理由だろうと、戦った相手には敬意を表して、相手を救ってしまう、超が付くほどのお人好しである。続く二階に上がると、
「よく来ましたね。しかし、その道もここまでです。」
今度は複数のナイフを持ったワーウルフのジェンが立っていた。
「ワーウルフ族の禁忌、とくとあじわうがいい。」
「やはり、全員死ぬ気で来るか。良いだろう、こっちも少し力入れるか。」
「ワーウルフ禁忌発動。魔狼王 ウルヴェロス。 」と首が三つ、腕が六つに増え、持っていたナイフも解放前の三倍の数になった。
「良いねぇ。じゃあ、こっちは質で勝負だ。」今度は、詠唱無しで武器を召喚した。
「武器召喚 扇刀 裂き桜」と扇形の刀を構えた。
すると、瞬時に後ろに回ったジェンは巧海の首めがけて、
「魔狼王短刀術 魔女首狩り。」
しかし、
「龍神拳奥義 鋼龍神 鋼魔絶壁。」龍神拳の中でも絶対防御の技を使いナイフを折った。
「ちっ、何でもありか貴様。」
「強い攻撃技があるなら、強い防御技もある。どの武道や剣術等にもそれは常識だろ。」
今度は六つの手を使い、刻印を刻み始め、
「ワーウルフ秘術、刻限打破。」と波紋がジェンの体を埋め尽くした。
「なら、こっちも。扇刀 裂き桜限定奥義 竜巻練舞。」と竜巻を纏い舞踏する連撃を叩き込むも、
「魔狼拳奥義 鎖陣装壁。」鎖の壁をつくり防御。
「本来なら初歩の防御術なんだが、刻限突破のお陰で威力が倍増している。この姿になった俺に隙はないぞ。」しかし、
「はぁ、こけおどしだな。まぁ、裂き桜じゃあこの防御が破れないことは認めよう。」すると、裂き桜をしまい。
「武器召喚 斧刀 大陸割り。」次はいびつな形の斧を召喚し、
「大陸割り限定奥義 大陸斬断。」と大陸を割る一撃で、鎖陣装壁を簡単に破った。
破られると、ジェンはその衝撃で飛ばされていた。
「言っておくが、さっきのは全力じゃねぇ。全力でやると、お前ごと裂きかけないし、大陸割るところだったから。だいたい百分の一ぐらいの力で振り下ろした。」
「はぁ……はぁ……、ばっ、馬鹿な。」と言うと、気絶し、禁術が解けた。
「やはり、自動的に解けるやつはそれなりに使いこなせても、本来の力よりやや威力が下がってやがるな。さぁて。次はどんなのが来るかなぁ。」とスキップしながら次の階へ上がって行った。
すると次は少し広めの三階に出た。
「悪いが、お前の道はここまでだ。」
今度は、ククリ刀を構えたアスタニスが禁術発動を用意しているのか、纏う炎が多くなっていた。
「最初から飛ばしてきたか。良いねぇ。ちまちま力隠されるよりそっちの方が分かりやすくて良い。」と今度は、手をあわせて、
「黄道十二扉巨蟹宮」と光に包まれると、蟹の鎧と蟹爪のアームを右手に装備していた。
「そんな鈍重な武装で俺に勝てるとでも?禁忌発動、無限の聖火」先ほどまでまとっていた炎が赤から金に変わった。
「この姿になった私は、マグマさえも操るのだ。」すると、白い炎を生み出すと、
「金剛火柱。」とレーザーのように放たれた炎が巧海に直撃した。しかし、巧海は巨大な蟹爪でそれを蚊でも払うかのように消した。
「何!?五万度を越える超高温だぞ!?」
「巨蟹の甲羅はそんなに柔じゃねぇよ。」
「まだまだ、炎魔装 純晶蒼炎。」と二つのククリ刀に青く透き通るような炎を纏わせた。
「今こそこの刃に散れ。結晶爆砕。」
ここ最大の一撃をまともに受けるも、巧海の巨蟹の鎧には傷一つつかず。
「もうしまいにするよ。巨蟹宮の爪斬砲。」と爪の間にエネルギーを集中して、発射された球はアスタニスに直撃し、気絶させた。
「全員歯応えねぇな。もっと苦労するかと思ったのに。」
彼らとて手を抜いてるわけではない。むしろ、いつも以上に本気を出しているのだが、巧海の強さが規格外過ぎるためあっさり終わってしまう。そうとも知らず、巧海また、階段を上る。




