真っ赤な月に挨拶をして
ただ此処に、この場所に存在するだけの今でもどれほどの孤独が身を焦がしていることを誰が知るだろう。
誰にも理解されないと誰も理解しようとしない愚かな矛盾。
けれど、常に生きることへのプレッシャーに殺されそうになっていることを誰が理解してくれると言うのだろう。
あなたを理解できると言ったあの人、
私には自分のことが分からないのに私の何が理解できたと言うの。
私の中に本当に何かあるの。何があるの?
私には誰のことも分からないのに。
自ら死んでいくものたちの気持ちがとても分かる。
何で生きているのだろう、このまま生きていて何ができると言うのだろう。
生きることに価値はあるのだろうか、死ぬことに罪はあるのだろうか。
生まれたときから繰り返し同じような毎日を生きる。
学ぶために生きてるの?働くために生きてるの?生きることが何だって言うの。
やらなかったら叱られて頑張ったらやっかまれて。
ああ、捨てたいこの体を捨てたい。
どこまで行っても自分からだけは逃げられないって知っているけど。
風になりたいよ、日々に囚われたくない世界にと囚われたくない思想に囚われたくない誰にも囚われたくない、自分にも。
どうして私は此処にいるのだろう。私は何をしているのだろう。
誰の思惑か連鎖の中に押し込まれてぐるぐる回る私じゃない私を生きる。
此処から出して。
どうか助け出して。
出て行った先に何があるかも知らないのに。叫びたいよ逃げ出したいよ。
壊れちゃいそうだよ、ああいっそ誰か壊してよ。
何で皆耐えられるの生きていくこと死んでいくことただその為に生きること。
この世は苦しすぎる。
生きているだけで何かを背負う。生きているだけで何かを傷つける。
どうして足音を立てずに歩いて行けないの。
どうして足跡を残さずに生きてゆけないの。
こんな心をこの私を受け入れてくれる存在などこの世に何人いることだろう。
理解されたい大切にされたい愛されたいでも誰も信じられない。
醜いこの自分の体を心をぐちゃぐちゃにしてしまいたい。いっそ狂いたい。
ああ、あの冷たい銀色。三日月のように鈍く美しく尖って。
触れたらきっと痛いだろう。
どれほどの苦しみに押しつぶされるのか。
でもああ、この胸を切り裂いたら私は私から逃げられるんじゃないだろうか。
痛いの怖いよ、でも心臓の中凍った後の冷たい空洞の怖ろしい黒に比べたらきっと怖くないよ。
真っ黒だよ、世界も私の中も皆汚れてる誰かを理解しようとせずただ主張だけを押し付けてる。
妄想の中で私を私以外を何度殺したことだろう。
どうせ叫び出せば世界に殺されるんでしょう?異端は殺せと皆が言うもの。
ああ、人は沢山いるのにひとりぼっちのこの世界。
ああ、みかづきがあかくそまった。