現在。
「オルー、梗一とさきちゃんきたよ」
昼ご飯を作っていたら、姉、編花がインターホンの画面を見ながら言った。
玄関までいって鍵のかかっていないドアを開けると、開けきる前に隙間から二人が滑り込んでくる。
「マオー、昼御飯もらっていいかー?」
遠藤梗一郎、キョーと、
「おなかすいたー。」
久部美咲、みゅーだ。
中学生時代、ボクには幼なじみと呼ばれる人が、二人いた。
「これ、お父さんが、マオにって。」
みゅーが差し出した紙袋の中には、洋服が入っていた。
みゅーの父はしがないサラリーマンなのだが、洋裁系の専門学校に通っていたために服を作ることが趣味である。ついでにその妻である母はデザイナーをしており、仕事ではなく趣味でデザインした服を父が作り、女性物はみゅーに、男性物はキョーかボクに着せて楽しんでいる。
偶に編花やキョーの母にも感謝の気持ちとして贈っていたりもする。
二人はとっととリビングへ。
編花が、できあがった料理を皿に盛りつけるのを手伝ったりしている。
もともと二人が来ることは知っていたので、量は多めに作ってある。
受け取った紙袋は部屋の端に置いて、最後の一品を作る。
中学にあがる際、一人暮らしをしていた姉の元に引っ越してきたら、その先で同じ幼稚園だったキョーとみゅーに再会し、作る料理の量が増えた。
父母とは元々あまり仲がよくなかったので、何かと世話を焼いてくれる姉に甘えてしまっている。