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撫でる頭

お題:子供のつるつる 時間:15分 終了:10分程度

 鮮やかな空が眩しく、私はカーテンを閉めた。

 電車が駆け込む車輪の音が撒き散らされ、騒音といって差し支えない煩わしさが部屋に響く。

 そんな中、部屋の隅で丸くなり、怯えた眼差しを向ける少年がいた。

「あら、ごめんなさい」

 私は優しい笑顔を向け、コップに牛乳を注ぐと差し出す。少年は恐る恐るといった感じで受け取るが、飲むことはしなかった。

 別に構わない。そんなことよりも私は早く彼を手に入れたかった。

 まだあどけない、世の中を何も知らない無垢な少年。

 清楚であり、清潔であり、清廉である少年を見ているだけで、私は身体が震えてくる。

「こっちにおいで」

 私は綺麗に片付けられた部屋を横切り、風呂場に少年を招く。

 迷っている様子の少年に向かい、柔和な笑みを向けてやると、決心がついたのか立ち上がった。コップをテーブルに置いて、一歩、一歩と確かめるように進む。

 風呂場についた彼の頭を、私は優しく撫でてやり、服を脱がせた。

 まだ子供といえど男の子なのだろう、服を女性に脱がされるのに恥ずかしそうにしていたが、そんな様子さえ愛おしい。

 私もタンクトップにショートパンツの身軽な格好になり、少年を風呂場に入れた。

「ひっ!?」

 すると、やはり、少年は恐怖を抱いた声をあげる。

「あ、あ……あ……」

「大丈夫よ、ね?」

 私は彼の耳へ優しく呟き、逃がさないように扉を閉めた。

 鏡に映る彼を見ると、瞳から涙を流し、口が情けない形に変質していく。

 そんな彼を落ち着かせようと、私は空の湯船に置いていたノコギリやノミといった、人体を分解する道具から目を逸らさせる。少年の顔を、ぐるんとこちらに向けてやる。

「大丈夫だから、私は別に、君の苦しむ姿とか見たいわけじゃ、ないの」

「たす、たすけ……」

「ええ、いいわよ」

 私はにっこりと笑いかけ、彼の頭を撫でる。

「私が欲しいのは、純粋で、無垢で、綺麗な……あなたのつるつるの脳みそなんだから」

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