モンスタ○ハンター
寝る前に何があっても、身についた生活習慣は乱れない。
何時に寝ても、いつもと同じ時刻に起きてしまう…私はどうやらその体質のようである。
昨夜は色々あった…盗賊に襲われるわ隕石は落ちるわ初対面の男と会話をしてしまうわ…。
そういえば、彼…ケイジだ…よくよく考えてみれば、かなりかっこいい。
服はぼろ雑巾みたいだけど…精悍な顔つき、たくましい身体…おかしい…どうしたのだ、私は…。
彼のことを思い出すと、胸が締め付けられる。
彼のことを思うだけで―ドドドド―とか―ドカーン!!!―とか、音とともにさまざまなことがフラッシュバックしてくる。
私の顔の横を岩石が通過する、頬がきれる。
そして目の前に巨大な石が…。
おおおおおおかしい…体の振るえがとまらない…。
奥歯がカチカチと鳴る。
いけない、本能が思い出すなと警鐘を鳴らす。
そうか…聞いたことがある…これが…
―――恋か―――
何か違う気がするが、こまかいことはどうでもよかった。
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30分ほど動悸のする胸を落ち着かせ、私はのそのそと起き上がった。
そう――私は恋をした――本にも書いてあった、彼の心を掴むには、料理で胃袋を掴め、と。
おいしい!これプリメラがつくったのかい!?
うん、そうよだ!
これから毎日俺のためにご飯をつくってくれ!!
え?それって…//ポッ//
「なーんちてwなーんちてwデュフフフフううううううww」
身体をいやんいやんと振っていると、ふと視線を感じたので、ギギギギギっと首を振り返らせると…
――ケイジがゴミを見るような目で、こちらを見ていた――
それからのことはあまり覚えていない。
彼は「やはり打ち所が…」と言ったあとに私の頭を撫でてくれた。
頭を撫でられてうれしいはずなのに、目から汗が出てきた。
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「ハンターギルドに登録してみたら?」
ラブリーマイエンジェルシールたんが急に話を切り出した。
なんでも、この世界にはハンターギルドなるものがあるらしい。
この世界には、地球でいう動物が、それはもうこの上ないくらい凶暴凶悪化していて、総じて魔獣と呼ぶらしい。
ライオンなんて目じゃないレベルだそうだ。
魔獣は、下位種・中位種・上位種・超位種・幻種と分かれている。
下位種は問題ない、そこらへんの犬も下位種だ。牛や馬もこれにあたる。
問題は、中位・上位・超位種で、まだまだ自然が広がるこの世界では、開拓のために森や山に入らねばならない。
そんななかに自分達を捕食する魔獣がいる、それらを狩る者がハンターである。
例えば、―ドラゴン―これは超位種か幻種しかいないが、かなりの強さらしい。
強者は何も人だけではない、魔獣にもいるのだ。
俺はそれを聞いて心を躍らせた。
そして次に、人である。
この世界には地球である人も多種多様にわたる。
大まかに分けると、
・人族 (ヒューマン)
・耳長族
・獣人族 (魔物の数だけ種があるるらしい、大半は犬種や猫種で耳尻尾もふもふ。)
・角族 (獣人族のうち、幻種の特徴を持つ種族。身体のどこかに角を持つ。非常に固体の強さが高いが希少。)
といった感じである。
それを聞いただけでも胸が躍る、強い魔獣、おまけに強い人種!
ドラゴンの角を持つ角族…考えるだけで胸が躍る!
ああ、早く戦いたい!拳を交えたい!
説明を聞き終えた俺は、仕事に就くという意味もかねてハンターになることを決意した。
この世界でもニートは肩身が狭いらしい…。
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「そういえば、おまえは何なんだ?」
ハンターギルドに向けて歩く中、俺の横にいるプリメラに聞いた。
「え?何が?」
「いやAとかBとかささっき言ってたじゃん」
その瞬間彼女の顔は真っ赤な茹蛸のようになって俯いてしまった。
「え、Aよっ!何よ!文句あるの!?
えーそうよどうせAよ!
なになになんなの喧嘩うってんの?
あーそうよねー昨日ちらちらとお母さんの胸見てたもんねぇ?」
彼女が何を怒っているのかはわからないが、勘違いをしているということだけはわかった。
「いや、ハンターランクの話なんだが…」
―――彼女の目から汗が流れた。
彼女はCランクだったような、カップではない。
カップはAだ。なに、まだまだこれからだ。
ランクはF・E・D・C・B・A・Sとある。
一般的なハンターはCで一人前、飯を食っていけるレベルだそうだ。
Bは誇れるレベル、Aともなればもう有名人で、Sは左団扇で過ごせるレベルだそうだ。
そういう意味では彼女はもう一人前だそうだ。
俺はというと、最初はFからのはずだが、C以上のものから推薦があれば、無料でハンター登録及びEランクからのスタートが可能らしい。
お互いに粗品がもらえるようである。
友達紹介キャンペーンというらしいが、なお自作自演は不可だ。
そうして俺のハンターライフがはじまろうとしていた…。
俺の冒険はここからだ――――!