「俺、この戦いが終わったら…」 「」
「ケイジ…どう…する…?」
エリーが不安な顔で尋ねてくる。
他の3人の嫁も一緒だ、皆不安な…悲壮な顔だ。
今この幻想種のいる島はゆっくりと下降を始めている。
風の大魔水晶は複数個あり、そのうちの2つがオゼットにより破壊された。
バランスを保てなくなった島は、傾きながら落ちているのだ。
勢いが隕石のようにないとはいえ、巨大すぎる島はどれだけの影響をこの星に与えるのか。
まず下にある陸地はつぶれ生物は死滅するだろう、大地は裂け、生態系は崩れ、かなりの広範囲に悪影響がでるだろう。
海に落ちたところで、一体どれだけの超巨大津波がおきるのだろうか、沿岸部はあらゆる地域で壊滅的打撃を受け、津波がこなかった地域も水位上昇に伴い沈むところもでてくるだろう。
つまりは陸に落ちようが海に落ちようが、その影響は計り知れない。
しかもそれらは楽観的観測だ。
勢いよく落ちて、地表がめくりあがってなんかもうエグイことになったりとかするかもしれない。
そうなっては最早死の星だ。
落ちたはいいが、風の大魔水晶の魔力暴走で大爆発を引き起こすかもしれない。
この島を救う方法はただ一つ…………島を落とさない、それだけだった。
しかし、どうやって?
考えたところで結果は絶望だった。
そんな絶望的な状況に、燦然と輝く一条の光が差し込んだ。
以外というなかれ…………それはカレンだった。
別にもふって希望に変わったわけではない、いやまあ心は確かに落ち着いたが。
カレンは、当初こそ恐慌状態になっていたが、すぐに落ちないとわかると落ち着きを取り戻し、冷静にシコウに風の大魔水晶の数、配置位置、この島の形を聞きだした。
目を閉じるも…その思考は一瞬、すぐさま目を見開き、皆を呼び集めたのだ。
「これが島全体の見取り図です、そしてこれらが点在する水晶。
今回破壊されたのがこの二つです…均等に力場を発生させていて、一つ壊れたところで他で補助するようにあったようですが…2箇所までは対応してなかったみたいです。
1箇所が壊れ、補助に回った他が本来均等を保つべき力場が、2箇所目が壊れたことにより、均等が崩れた…。
今となっては二つとも完全に壊れているでしょう…それにより島が傾き、徐々に下降というわけです。」
「なるほど、それで…どうしたらいい?」
「方法は二つ、すぐに水晶を治す…これは不可。よって残る一つ…その水晶そのものを取り除くか…です。」
「なるほど、つまりはぶっ飛ばせばいいってわけだな!」
「しかし、不安要素が一つ、水晶が二つともなくなって浮力を保てるのか、です。
つまり…島の一部分ごと除去し、残った水晶の位置を調整…そうすれば浮力は確実になるでしょうが…しかしそれには…。」
カレンが目を伏せる…。
「ふっ…俺を誰だと思ってやがる。」
もふ…もふ…
もふ…もふ…
撫で撫ですると、それだけで心が癒される。
カレン…やっぱりお前は最高だよ。
「ケイジさん…けどこれは、失敗すると真下にいる貴方は…ッ!」
水晶を吹き飛ばし、島の一部もぶっ飛ばす、真上からは撃てない、横からも同様…下への被害が出てしまうからな。
ならば、真下から真上へ吹き飛ばすしか、ない。
けれど失敗すれば、島と一緒にバタンキューだ。
「このまま落ちたとしても、少なくとも島にいる私達は大丈夫でしょう…だから、だから……」
「…………大丈夫だ、言っただろう?式を挙げるって。
これが終わったら、盛大な式を、挙げようぜ……!」
「………………はいッ……!」 ああカレン、泣くなよ。
「バカケイジ…………」 相変わらず素晴らしいツンだな、エリー。
「…ケイジ………待ってる…………」 いつも信じてくれてありがとうハクア。
「ケイジ…お腹の子のためにも返ってきてや…」 おいやめろノゾミ。
「んじゃ、行くとするか!
シコウ!吹き飛ばした後の水晶の移動はお前ら竜に任せるぞ!」
「ケイジ殿………すまぬな…。
……………………終わった後のことは、任せておけ!!!」
「ケイジくん…ハクアを未亡人にしたら、許さないわよ?」
…………この星がたとえ、終わってしまおうとも…俺は別にどうとでもなる。
最悪世界を渡ればいい、だが、だがしかしだ。
それじゃあ負けちまったってことだよなぁ…俺より強い奴に会いに来たってのに、負け逃げなんてガラじゃねえ。
抱きしめていた嫁4人をそっと離す。
別れのキスなんていらねえ、なんたってちょっと島ぶっ飛ばしてくるだけだからな!
熱い視線と声援を背に俺はぐっと親指を立てた。
「行ってくるぜ!」
「でっけえなぁ…」
頭上に広がる大きな塊…元の世界じゃ絶対に見れない光景だ。
「さて、んじゃまあやるとすっかねぇ…」
ああ、久しぶりだなぁ…本気の本気の…リミッター…全解除…。
「ハアアアアアアアアアアアアア………」
大地が、空気が、世界が揺れる…。
思えばこの世界にきて初めて使った必殺技も、これだったなぁ…。
「覇王ッッッッ!!!!!!!!!!!!」
両手に極大の光があつまり輝きはじめ…
「天翔波ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
超々々巨大な気弾は、島へとぶちあたり…世界から光と音が消えた。
いや、光は消えていない…白一色に変わっただけ。
音も消えていない…ただ、耳に入るは爆音のみで、何も聞こえない。
長い長い静寂のあと…煙が晴れた視界の先には…。
「なん………だと………」
無傷の島が悠然と浮かんでいた。
「…………行っちゃったね…」
「そやね……」
「………………良く…ない………」
「……………これで……いいのでしょうか」
「………良くない、よね…いっつもケイジに任しっきりでさ、それでも妻かって、なるよね…」
「そやねえ…この子の為にも、かっこわるいとこは見せられへんしなぁ…」
「ってノゾミさん!?子供本当なんですか!?」
「ふふ、どうやろねぇ♪」
「…………………皆…………乗って………行くよ………」
「うわぁ…ハクアさんの竜の姿、初めて見た…綺麗…」
「よっしじゃあ、行きましょうか!愛する人の、いるところへ!」




