ブラック・ダイヤモンド
「さあやってまいりました嫁争奪戦!
開設はうち、ノゾミが!
そして実況は幻種の里が長、金竜のシコウさんにお越ししていただいてますぅ。」
………おいおいおい、あいつ何やっちゃってんの!?
闘技場というか特設リングみたいなところで待っていると、よく見知った顔…というか嫁が実況をしていた、何をいっているかわかんねえと思うけど、まあノゾミだしなと納得することにした。
ハクアはお立ち台…というか特等席みたいなところで1人見ている。
エリーとカレンは特別席…ノゾミのちょっと横だった。
「さあ、まずは幻種に挑戦状を叩きつけたにっくき下等生物!
ケイジについて解説してみましょう!
彼はまさに飢えた獣!強い奴を求めて各地を転々としとります!
もちろん、夜中も飢えた獣!試合前だというのに昨日もうちやエリーを…!」
「………ヴォッホン!
まあケイジ殿は人間にしては珍しく骨のある奴だな。
我に一撃を入れたことをここに証言しよう。
幻種の里の者たちよ、彼は確かな強さと信念を持っている。
今日はそれを皆に認めてもらえるようこのような席を開いたわけだ、無論殺すつもりでやってもらってかまわない。
それで死ぬのなら所詮その程度の雄であったというだけのこと。
我が愛しいハクアをやるのだ、人間も、幻種も、強くあれ!
ハクアが欲しいというのなら、今日この闘いを勝ち上がってみせよ!」
「以上、親バカのシコウさんのありがたーい開会宣言でしたぁ!
ほな早速第一試合、いってみましょかー!」
たとえ相手が竜だろうと幻種の長だろうと、ぶれない。
それがノゾミという女…。
ちなみにエリーとカレンは最初こそノゾミの態度におろおろしていたが、今となってはハイライトのない瞳でじっと前を見つめるだけとなった。
………………早くここから帰ろう…。うんそうしよう…。
「てめえが竜様の婿殿か、俺の名はゲンノジョー!神狼族の戦士だ!」
「ほう、いい気迫だな。
俺の名はケイジ・カミンチュ………格闘家だ。」
目の前に建っているのは2メートルを超える狼男…神狼ってことはフェンリルとかそんな感じのやつかな?
ツヤツヤした銀髪がいいモフモフ度合いをしてそうだ。
これで雌ならばもふっていたんだがなぁ…。
まあそんなことよりも、だ。
久しぶりに礼節のある強者と戦えそうだ…。
そう思いながら口角がつりあがるのを押さえられない…。
「いざ…」
「尋常に…」
「「勝負ッ!!!」」
始まった瞬間、ゲンノジョーが弾丸のように突進してきた。
踏み込みと同時に爪による横なぎの連撃を紙一重でかわす。
ゲンノジョーの踏み込みの度に地面が割れ、地響きが響く。
その一撃一撃がどれだけ重いかよくわかる。
「なるほど…剛の拳か。」
「技など不要!我が一撃は必殺!貴様に耐えることができようか!」
俺自身がどちらかと言えば剛の拳よりであることから、打ち合いたい気持ちが出る……が。
「その程度で剛とは…片腹痛い。」
「ぬかせ!二百戦して我は未だ不敗也!」
「たかだか200程度とはな…いいだろう、では貴様に世界の広さというものを見せてやろう。」
全身の力を抜く…。
「ぬかせええ!」
ゲンノジョーの拳が俺に振り下ろされる…岩をも砕くその一撃は俺の手にあたり…。
されど俺の手は砕けることなく、ゲンノジョーの腕は横に受け流されてしまい逆にバランスを崩す。
「激流を制するは静水…ってな」
剛が柔に勝てぬ道理はない…がゲンノジョーのレベルはちょっと期待はずれであった。
願わくばこの闘いで更なる高みに登ることを祈る。
「こしゃくなああああ!!!」
ゲンノジョーが狂ったように連撃を振るってくるが、その全てを受け流す。
「柔をも壊す剛とするか、技を学ぶか、それとも他の方法を探すか…。
いずれにせよ、もっと精進することだな。
最後に、少しだけ俺の剛を見せてやろう!!」
ゲンノジョーの蹴りを受け流し、バランスを崩させる。
「天に滅っせいいい!!!!」
振りかぶった拳をちょっとだけ気を籠めてゲンノジョーにぶち当てる…。
「ぬぼあああああああああ!?!?!?」
ゲンノジョーは約15メートルほど吹き飛んで、10メートルほど転がって、壁にぶち当たって止まった。
「カンカンカンカンカーーーン!
ウィナー! ケイジー、カミンチュウウウウ!!!!!
いやーええ一撃やったなあ、シコウさん!」
「うむ、ゲンノジョー殿もこれを機に技を学ぶといいかもしれんな。」
「なるほどぉ、まあ次いってみよー!」
そんなこんなで幻種の奴らと6匹?程戦った。
戦う理由は様々で、ゲンノジョーのように戦いたいという欲求からくるやつや、ハクアの婿は俺だっていうやつや、単なる俺という人間が珍しいっていう好奇心からくる奴だったりだった。
そして次の相手が出てきたわけだが…。
「さあ!次の相手は……なんとなんとなんと!ヤタさんだああああ!
その美しさはまさに黒い宝石!!!
娘が欲しかったら、うちを倒していきなあああ!とでも言うのか!
そこんとこシコウさんどうなん!?」
「!???!?
ヤタアアアア!?なんででてるのおおお!?!?
ケイジてめえこらあああ!ヤタに傷つけでもしてみろ!てめえころす!絶対ころす”!!!!!」
「シコウさんマジ切れやん…これどうやらヤタさんがこっそりエントリーしてたみたいやなぁ。」
実況の声等頭に入らない。
目の前には絶世の美女がいる…。
しかも胸元の開いたミニスカな着物な感じの服である。
これはいかん…これはいかんですよ!
艶かしい脚!タワワな胸!色っぽい顔!
静まれ…静まるんだ我が分身…ッッ!?!?
「ふふ、ケイジ君?
お義母さんって呼びたいのなら、私を納得させてね?♪」
「~~~~~~~~~ッッッッッ!?!?」
色っぽく発言したヤタさんが、次の瞬間掻き消えて。
ヤタさんの拳が鳩尾にめり込んでいて、気づけば俺は吹き飛んでいた。
(もー…なんでノゾミはあんな普通にいられるの…)
(…………(ビクビクッ)見られてる!私すっごい見られてるううう!)
ブレない親友を涙目で見つめるエリーとなんか獣っぽい人にガン見されてるカレンでした。




