キス・オブ・ザ・ドラゴン
「昨夜はお楽しみだったわね♪」
ヤタさんが艶かしい笑みで俺に朝の挨拶をかけてきた。
確かに激しいプロレスだった、大人の。
てかなんでばれてんの?音消してたし気による遮断結界もしてたよね?
しかし相変わらず美しい…未亡人以外の人妻属性がない俺でさえ、どぎまぎするのだ…耐性の無い人間ならばいちころだろう。
それくらいヤタさんはなんというかこう…エロ美しかった。
いっそシコウを滅殺してヤタさんを奪うか、とも考えてしまう。
しかしそれだけはだめだ、恋人や夫婦の片割れを無理やりに奪う…NTRダメ、絶対。
そんなくだらないことを考えていたらいつの間にか目の前に朝食が運ばれてきていた。
座る位置は昨日と同じである…竜側の数は減っているが主要なメンバーはそのままのようだ。
というか昨日いなかった奴もいる。
「皆、おはよう。
とりあえずは朝食と行こう、話はその後だ。」
シコウの言葉からはじまり、味気ない朝食がはじまった。
いやまじで味気ないのだ、竜の料理というのは…。
これでも大分改善されているらしい、ヤタさんの母親が獅子奮迅の活躍をしたらしいが…それでもそういったことに無頓着な竜が大半だったせいかあまり料理に関しては褒められたレベルではない。
さっさとこんなところおさらばして、またどこかの高級旅館でくっちゃ寝しよう…俺は心の中でそう誓った。
美味くも不味くもない飯を終えたところでシコウが口を開く。
「さて、では話し合いと行こうか。
と言っても既に案はあるのだがな。
あらかじめ、これに関してはケイジ殿に基本拒否権はないと言っておこう。」
思わず口を開きかけたが、思いとどまる。
とりあえずは全部聞いてからにしよう。
「里の者は大半が我が娘ハクアとケイジ殿の婚儀に反対だ。
その主な理由が、やはり人間だということだな。
跡継ぎは一応、ハクアの姉の婿殿の予定ではあるが、絶対ではない。
ハクアと結婚すれば万が一にもその可能性がでてくるのだ、そこに反対意見がでておる。
そして仮にケイジ殿が長となった場合、上にたつものがなぜ自分より弱いのか。
そういった意見が大半だ。」
まあ最もな意見だ、こちらとしては長などになりたくもないってのは別として。
「よってケイジ殿にはその力を示してもらう。
百聞は一見にしかず、とも言うしのう…よってケイジ殿とそれに反対するもの…誰でもかまわん、代理でもなんでもよい。
お互いが納得するまで戦うが良い。
誰ぞ反対意見がおるものはあるか?」
ザワザワ
ザワザワ
ザワザワ…
とぐにゃぐにゃと部屋の中が歪んだり騒がしくなったりしたが、特に反対意見はなかった。
「反対は無しとする、闘いの日取りにあっては後ほど通達する!
解散!」
何匹かが俺を値踏みするように…
何匹かは俺を見下すように…
様々な視線が俺に突き刺さる、さて…どうしたものか。
そう思っているとシコウがこちらに寄ってきた。
「納得いかぬ顔だの、ケイジ殿。
では納得いく説明をしてやろう…。
こちらはこれで勝敗に関係なく、怨恨は無くなろう…。」
まあそうだろうな。
「…で?」
「そしてケイジ殿、おぬしは幻種の猛者と戦える……好きなだけな。
我と同等、もしくはそれ以上の猛者もいよう…わざわざケイジ殿が赴くまでもなく、ここでやりあえるのじゃ、どうだ、そう考えれば良いとは思わんか?」
「なるほど…確かにそのとおりだ。」
こちらの世界にきた当初の目的、強い奴と戦う。
血肉沸き踊る、熱い熱い戦いを。
そのためにドラゴンを探し、超位種を倒し、幻種を探してきたのだ。
それがあちらからやってくるのだ…ふふふ、好都合だ。
考えればこちらにとってはメリットしかない、強い奴らと戦えて、ハクアも堂々と手に入れれる。
「………だが、長はやらんぞ?」
「かまわんよ、ハクアの姉の婿殿がやろう。」
「その婿殿は強いのか?」
「ああ、正直なところ我よりも強い…単純な魔力だけならば我が最強であろうが、この里にはまこと純粋な力だけではない、強い猛者が多い。
婿殿もそれにあてはまる。」
「それは…楽しめそうだ…」
口がつりあがる…本当…ハクア様様だ。
ハクアを抱き寄せヨシヨシをしてやる。
そして…
「………………そういうこった、文句があるなら闘いの場で言え。そこの蒼いの。」
先ほどから射殺すような視線をこちらに向けてきていた蒼い竜人に告げる。
蒼い竜人は舌打ちをして部屋の外へ消えていった。
「………シコウ、今のは?」
「ああ、あれは蒼竜のオゼットだ…。
あいつは根っからの竜至上主義者でな、人間など下等生物としか思っておらん。」
「ほう…強いのか?」
「強さだけならそこそこだろう…歴代蒼一族の中では一番だろうな。
ちなみにハクアの元婚約者だ。」
「………………マジ?」
「………マジだ。」
「まああいつはハクアのことを利用目的でのみの婚約だったからな、個人的には好かん奴よ。
ケイジ殿のほうがよほど男気溢れて好ましいものよ。」
「へへ、血涙流してたくせによく言うぜ。」
「………言うな………………。」
「さってじゃあ、頑張るとするぜ。」
強い奴と戦える、ソレは確かにある。
けどな、一番のところは…ハクア…
「お前をきちんと手に入れるためにな。」
ハクアに口付けをしつつ、俺は絶対に勝つことを心に誓った。
我慢できなくなり部屋を出る。
なぜ蒼一族の長たる俺があのような人間の下につかねばならぬのだ!
やっと次の長になれるめどがついたところで…!
そしてハクアめ…俺というものがありながら…
さっさとあの人間を殺して俺のものにしてくれる。
一生家畜のようにこきつかってくれる!
それにしてもあの人間……人間め…!
「………………グウウウウ…あの人間風情が!
調子に乗りやがって…!
俺のハクアを奪ったばかりか長候補だと!?
殺してやる…絶対に殺してやる…しかも楽には殺さん………。
あいつの目の前でハクアを犯し、他の女共を血祭りに上げ、絶望させてから殺してやる…!!!」




