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かみんちゅ  作者: さんさん
第4章 メーリ連合国編②  ~幻の花嫁~
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ふんもっふ!

「さて、とりあえずは当面の資金確保だな。」


高級旅館にはしばらく留まれるが、金は無限ではない。

贅沢三昧のために、俺はクエストを受けることにした。


「せっかくだし、お前の実力もみたいしな、ハクア。」


「…………わかった………。」


ハクアは最初は無口かと思っていたが、単純に口下手なだけだとわかった。


「じゃあゴレイクのハンターギルドにでもいくとするかぁ」


「………………おー………………。」







「~~~~~ッッッ!?!?」


俺は目を見開いた…ハンターギルドの受付嬢…なんと…なんとキツネ耳ではないかああああ!

ピコピコと揺れる耳…ふわふわと左右に揺れる尻尾…たまらぬ…。

貴君等はどういったけもみみが好きだろうか?

俺は断然キツネ耳だと答えるね!

大きな耳!そして大きな尻尾!

大きな耳は髪との境界がない感じのやつがたまらない!

へにゃんとしぼんだり、ぴくぴく動いたり…

そして尻尾! 大きくて太い尻尾は、柔らかくてもふもふ…それだけで頬ずりしたり、顔をうずめたくなる存在…!


ああ、改めて言おう…この世界に来て、よかった…。



「…ええと、お兄さん?」


声もかわいい、アニメ声というやつだった!

つやつやの肩くらいまでの茶髪をサイドでまとめたその顔は、キリリとしていてもどこか幼さを感じる…。

強い意志をもっていそうな、つり目もまたそそられる…。

そして登頂から天を突く大きな耳…先っぽが白くなってるのがまた良い。

身長は…160くらいか、すらっとしたスレンダー体型。

白いタートルネックのセーターから膨らむ胸はBランク、うむ、これはこれでいい。

深い緑色のロングスカート…その後ろで揺れる尻尾!こちらも先端が白い!!

ウッヒョオオオオ…っといかんいかん…


「ああ、すまない。 金を稼げて、けれど近場の手ごろなクエストとかないか。」


平静をよりそい、とりあえず答えるが視線は耳と尻尾に釘付けだ。


「かしこまりました、それではハンターカードをお見せくださいますか。」


「了解」


すっとBランクのカードを出す…すると一瞬だけ眼を見開いたがすぐに戻る。


「Bランクのケイジ様…ですね、それではこちらのホワイトベアーの討伐などいかがでしょうか?

 見たところお2人でのPTなようですし、単体相手のほうがよろしいかと思いまして。

 また、こちらのベアー付近には、雪月花と呼ばれる希少な花が咲いていることがありまして…つぼみの段階では価値はありませんが、咲いている雪月花はかなりの高値で買取が可能でございます。

 目印としましては、雪の結晶のような花と思ってくださればよろしいかと。

 いかがなさいますか?」


「うむ、なんと懇切丁寧な説明…ありがとう、このクエストにしよう。」


そういって俺は受付嬢に手を伸ばし、最高の癒気をこめて頭をなでなでする…。

その瞬間…ッ!!!!


もふぅ…


耳が、髪の毛が、すばらしい感触が、俺の手に伝わった…いまだかつてこれほどのもふ度をもった生物がいただろうか…いやいない。

俺はつい我を忘れてなでナでし続けた…。



「………………ケ、ケイジ………………」


ハクアの声ではっと我に返ると、俺の目の前にはあへぇ…とよだれをたらして恍惚の表情の受付嬢がッ!



「ウホッ…す、すまん…」



「………………………………………………………ハッ!?」


横の別の受付嬢がぽかーんと口をあけて見ている…他のハンターがいなかったのがせめてもの救いか。



「い、いきなり何するんですかっ!?!?

 信じられません!いきなり人の頭なでるなんて!」


「すまん…つい…我慢できなくてな…しかしお前…いや、貴方の耳…最高だ。」


「~~~~~~~~ッッ!?!?」


受付嬢が耳も顔も真っ赤になった。


「そして…よろしければ貴方のお名前を聞かせてくださいませんか?」


受付嬢は口をぱくぱくとさせ、わなわなとなり…しかしそんな姿もかわいい。



「あ、あなたに言う名前なんてありまえんっ!!」



ショックだった…これほどのショックはそうない、それくらい俺はこのモフモフに心を奪われたのだ。


「いいじゃないか、カレン。

 名前くらい教えてあげてやってもさ。」


「ッ! ちょっとルルさん!?」


「ほう、カレンさんというのか…なんという…美しい、可憐でまさに名前のごとき…。」


「~~ッ。

 いいから、さっさとクエストにでも行ってきてください!」



俺達はカレンさんに追い出されるように、ギルドを出たのだった。





「ふぅ…すばらしかった…。」


感触を思い出し、悦に浸っていると袖を引っ張る感覚に目を覚ます。


「………………ケイジ、ケイジ………」


つんつんと自分の頭を指差すハクア、一体なんだと言うのか。


「どうした?  ん?  触ればいいのか?」


コクンと頷くハクアに促されるまま頭を撫でてみる。


すると…


「ッムッ…これは…」


コリコリとした感触が手に伝わる…そう、ハクアの角だった。

しかし、しかしだ…ただそれだけだった。


「………………ハクアのじゃ、ダメ………なの…………?」


うるうるとした目で俺を見上げるハクア…。


「違う、そうじゃない、そうじゃないだハクア。

 はっきりいって、お前より美しく可愛い奴なんていない。」


そう、それは事実だった。


「けどな、もふもふは、もふもふは違うんだ…。

 なんていうのかな…これはこれ、それはそれっていうのかな…。

 ほら、例えばハクア、お前はクレープとラーメン、どっちが好きだい?」


「………………?

 ………………ッ!?

 ………………………どっちも…好き………。」


「そう、つまりはそういうことなんだ。

 俺にとってハクアは大好き、けれど別の意味で、カレンさんのモフモフも好きなんだよ。」


「………………ハクアのことは………………好きなんだよね?」


「ああ、もちろんさ。

 それに、なんたってお前は…俺の嫁なんだろう?」


「………………ッ!?…………………………(コクン)」


顔を真っ赤にさせて頷くハクア………なんというチョロイン。

しかしまあ、事実は事実である、ハクアは美少女だし、大好きだ。

しかしモフモフは、モフモフは別腹なのである!


そうだ。雪月花をカレンさんのお土産にしよう…そんなことを考えつつ、俺達はホワイトベアーのいる森へと行くのであった。





「………………………」


「おやおやぁ…顔が赤いねぇカレンちゃん…。さっきの彼のことでも思い出していたのかなぁ?(ゲス顔)」


「~~~ッッ!!!?る、ルルさんッ!

 ほ、ほっといてください!!!!?」

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