無限ループって怖くね?
「99881 99901 99907 99923 99929 99961 99971 99989 999913…」
毛布に包まった少女は、目は虚ろにさ迷い、真っ黒なクマを目のしたにつくり、ぶつぶつと数字を数えている…。
「こんな小さな女の子が…」
俺は首を左右に振り、唇を噛んだ。
「………。
まあ、原因の半分はうちらっぽいけどな…。」
「ん?何かいったか?ノゾミ」
「んーん、なんもないよ。
そんなことよりごめんなぁケイジ、用意全部させてしもうて…。」
そう、ドラゴン討伐から一夜…エリーとノゾミは魔力を使い果たし、思うように動けないでいた。
無論、俺の濃厚ミルクにより通常に比べれば凄まじいまでの速度で回復しているのだが、昨夜の激しい運動により、魔力だけでなく体力も底をついてしまったようだ。
ん?結果? 5ラウンドしてエリーが10KOでノゾミが6KOだったぜ。
「気にするな、2人とも限界まで頑張ったんだ、ゆっくり休め。」
「ありがと、ケイジ。」
「うん…ありがとう…ケイジ。
うふふ、そしてうれしいなぁ…私も魔法…使えるんだなぁ…。」
ドラゴンに致命傷を与えたのはノゾミであるが、その前に攻撃したエリーも十分な威力を出していた。
まあ魔力がすっからかんになるほどの限界を出しているので、普段は使えない…。
今回は使い果たし、たとえ動けなくなっても傍に俺がいるということ、また魔力の回復方法があるという前提があってのものだ。
想像してみて欲しい、100Mをゆっくり走るとしよう、何回走れるか?
体力がない者であっても、ゆっくりしたペースならかなりの回数をいけるだろう。
それは使用する体力がすくないこと、またすぐに体力が回復するからである。
では逆に、全速力で、それももう息を止めて死に物狂いで100Mを走るとしよう…何回走れるか?答えは簡単、せいぜい1回だ。
そしてその後、どれだけ回復に時間がかかるのか…、つまりはそういうことだ。
Aランクモンスターを倒すというのはそういうことなのだ、死ぬ気でうてば運がよければBランクハンターでも倒すことはできよう…倒すことだけならば。
今回のように相手がよけれない状況でかつ確実にあてることができる。
仮に倒せたとしても、動けなくなる、動けなくなったあと守ってくれる存在がいる、今回は色々と特殊な条件なのだろう。
普通のPtではそもそもそんな無茶はしない、だから人数をそろえていくのだ。
数は少ないほど稼げるが、リスクもでてくる。
誰かが失敗したら?そう考えると、とてもではないが3人というのは無理な話なのだろう。
そもそも、ノゾミほどの魔法使いが世間にはいない。
ノゾミという存在は、かなり貴重かつ強力な存在であるのだ。
今回使用したのは魔力、使い果たしても命まではなくならないが、まともに動けなくなる…そして回復にも結構時間がかかるものである。
まあそのあと体力も消費しちゃったわけであるが、これはまあ仕方がない!
言うならば死なないマダンテ…だろうか、Bランクのトップクラスを走るノゾミの一撃はもちろん、凄まじいものなのであろう…。
エリーにしても、魔力量こそ低いが、質が高く、瞬間火力だけならば凄まじいものがある。
今回は魔水晶を搭載した矢という高価なため多用ができない補助を使っているが、奥の手の1発としては十分ではないだろうか。
また、雷を使用し神経の伝達速度を上げ、身体能力を向上させる…まだまだ未熟ではあるが、教えがいがあり伸びしろもある…。
これからの2人に大いに期待できる。
俺のほうもそれなりに満足だ。
今回のクエストでエリーとノゾミと、深く繋がることができた…精神的にも、物理的にもな。
そしてドラゴンに放った正拳…一撃ではあったが、久々に撃てた。
必殺の気をこめたものも好きだが、何も考えずただただ思うがままに振るう拳…そういうものも、また良い。
超位種の下で一撃には余裕で耐えてくれた、あのまま戦っていればそれなりの肉弾戦を楽しめたであろう。
そして下でこれである、上となれば気をこめればリミッターありならば本気でいけるだろう。
そして幻種ともなれば…リミッターを1つ…もしくは2つまで解除できるかもしれん…夢がひろがりんぐだ。
クエストは大成功といえるだろう…あとは…この幼女である。
どうしたものか…。
必死に素数を数えるこの幼女を見ていると居た堪れなくなる。
なんだっけ…ああプリメラに似ているのだ、あの気持ちわr…かわいい笑顔でデンプシーをしている彼女とそれに近いものを感じる。
「どうしたもんか…」
そうやって幼女を見下ろしていると、ノゾミがのそのそを彼女に近づいた。
「アイス…」
キンッ!と小さな氷の塊がノゾミの掌にできる…その氷を彼女は唸っている幼女の首にもっていき、服を持ち上げると…。
「~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!?!??!?」
声にならない声をあげ、幼女が飛び起きた。
うん、あれはああなるよな…うなじから背中に氷いれられるやつ。
「やっと起きたぁ~。おはよぅコーニャン?♪」
「なっ!なっ!なっ!………何するのよっ!ノゾミッ!
~~~~って、はっ!?」
飛び起きた彼女は、キョロキョロと頭を振り混乱している。
「お、おはよう?」
「………………………。
オ、オハヨウ…。」
ビクっとされたあと、ぎこちない返事を返される…。
ふむ、だまっていればかわいい幼女であるな、茶色のツインテが眩しい。
しかし俺としては昨日の失禁(まあこれはどちらかといえばプラスではあるが)や白い粉でぶっ飛んだかのような素数をぶつぶつ数える姿を見ているため、なんともいえない。
「で、なんでこんなところにいたんだ?しかも一人で。」
とりあえず街からずっとつけてきたことに関しては言わないでおく。
「え、えと…あの、ノゾミが…グリーンドラゴン倒しに行くっていうの聞いて…。
それで危ないんじゃないかなって…で私がついていってあげて、ピンチになったら助けてあげようかなって…。」
ふむ、なるほど、合点がいった。
嘘はないだろう、この幼女の気をさぐってみたが、清らかで綺麗な気だ。
発言中も乱れていないしな。
ノゾミによれば孤児院から一緒だったというし、ふむ…これはあれか、第二のキマシタワーか…。
「そっかぁ…ありがとなぁコーニャン♪」
「そ、そのあだなやめてって言ってるでしょ!」
「えーいいやーん、かわいいしー。
ねーこーにゃーん♪」
「だああああ!抱きつくな!てか何よこの胸はあああああ!!」
幼女に抱きつくノゾミ…そして二人にとって胸囲的な違いのある身体特徴の部位に埋もれる幼女。
エリーはポカーンとしている、あ、下を見た、手でさすっている。
ああ、エリー!俺はお前のささやかな果実も大好きだぜ!
っていかんいかん、このままでは幼女が死んでしまう。
「ノゾミそろそろはなしとけ、幼女が死ぬぞ。」
「は~い♪」
「っぷはっ!まったく!死ぬかと思ったわよ!」
「あはは、ごめんなぁ…。
………ッ!」
「!? どうしたのノゾミ!?」
「あ、ああ、大丈夫や…昨日のドラゴンで魔力を使いすぎてな…。」
「だ、大丈夫なの…?あう…うう…の、のぞみ…?痛い?あう…」
どうやら幼女改めこーにゃんはかなり純粋な子のようだ…。
ノゾミを心配してここまで追いかけてきたのだろう…そしてそれだけノゾミを慕っているのだろう。
「ちょうど…そうやな…こーにゃん位の頭で胸押さえたら楽やねんけどな…さっきも大分楽やった…。」
「ッ!? わ、わかった!…………これでいい!?」
そうやってノゾミの胸に頭を埋もれさせるこーにゃん…訂正…純粋な子じゃなかった。
この子アホの子だ…。
「ケ、ケイジ…私も昨日のドラゴンで魔力が…ああ、ちょうどケイジくらいの頭が…」
とか言ってチラチラこちらを見るエリー…ああ、こっちにもアホの子が……。
しかしまあ、据え膳はきっちり喰う俺である、エリーのささやかな果実を堪能することにした。
…
……
………
…………
……………
………………
あの後ドラゴンの肉をふんだんに使った夕食をとり、ゆっくりと休むことにした。
ドラゴンの肉はジューシーで、昔食べた霜降りのような感じで超絶美味であった。
「…………んんうっ♪」
その夜はさすがに0ラウンド予定だった。
幼女の前ではさすがにできん。
まあ俺としてはそれはそれで興奮するのであるが、エリーが嫌がった。
…のだが…魔力回復~♪とかいってノゾミが口で魔力回復行為を行ってきた。
その結果1ラウンドで俺だけ1KOだったわけだが…。
口から白い液体をたらしながら「ん♪おいし♪」なんていうノゾミを見た俺が、我慢できるわけがないだろう!?
その幼女…といっても年齢はノゾミと一緒と知り、そのこともあってか、もういいや!と、ノゾミと戦闘開始となったわけだ!
最初のラウンドを含め3ラウンド目に突入、ノゾミが4KOとなったところでエリーが参戦してきた。
「もうっ!こんなの我慢できるわけないじゃない!
あーもうったらあーもう!!どうなっても知らないんだからね!」
結局、5ラウンドしてエリーが9KO、ノゾミが7KOだった。
次の日。
「59341 59351 59357 59359 59369 59377」
朝起きるとまた幼女が素数を数えていた。
………あれデジャビュ?
と思ったが、別にループすることなく俺達はそのまま無事エンジェルロストに帰還した。
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「お帰りなさいませ、ノゾミ様。そしてPTの方々。」
私はつい先日送り出したとあるPTのメンバーを出迎えている。
グリーンドラゴンの討伐をあろうことか1PT…しかも3人で行くといった人たちだ。
そのうちの1人は有名な氷の魔法使い…氷結の魔女と呼ばれる。
彼女のランクはBではあるが、実力だけで言えばAランクとも噂されていた。
そして残りのうちの1人は確かエリーだったか、金髪の綺麗な少女だ。
ここのところ氷結とずっと組んでいると報告があったので知っている。
実力はまあC程度だろう…だてに今までこの街で受付をずっとしてきてはいない、Aランクハンターだって何度も見ている、こういった直感からくる強さはなんとなくわかるのだ。
しかし今回のクエストはさすがに出し渋った…いくら氷結のとはいえ、無謀でないか。
ギルドとしても優秀なハンターの喪失は避けたいし、何より彼女は女性である…同じ女性として応援も尊敬もしていることもあり、当初は受注許可を出さない予定であった。
そう、予定であった、のだ。
その思いを変えたのは、最後の1人…彼である。
彼はCランクハンターとのことである…が、私の直感がそうでないとつげている。
正直なところ、底が見えない…飄々としたその感じからはとてもそうは感じられない…しかし何か違和感があるのだ。
さらに極めつけは知人からの話を思い出したのだ。
ヒーヅルで同じく受付をする彼女から聞いたのだ…ケイジという、すごいハンターになるかもしれない男がいる…と。
元Aランクの彼女がそこまで言うほどの男…いつか見てみたいと思っていたが、まさに今その男がいるのだ。
聞いていた風貌とも合致している…、なるほど確かにこれは何かある…。
最後に、もめたあとそこそこ名の売れてきたコーニャちゃんの障壁と苦もなく叩き割ったことがとどめとなった。
結果、彼らは帰って来た。
ドカドカと討伐部位をカウンターに出す…本物だ…!
「確認致しました、討伐完了と致します。
ところでノゾミ様、ケイジ様、エリー様、皆様にお話がございます…。
少しお時間よろしいでしょうか?」
そうやって奥の会議室を指し示す。
この件、もし彼らが成功させて帰ってきたら、とギルドマスターと共に話し合ったことがある。
3人は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに了承してくれた。
「ありがとうございます、それではこちらへどうぞ。」
「ああ、起きちゃう!見られちゃう!見られちゃうよおお!らめえええ!」
「ふふふ♪(おーおー耳だんぼにして♪ごそごそしてんのバレバレやでぇ♪)」
「…ッ!ッ!ッ!ッ!(んぅ!…そ、そんなに…しゅごいの…んっ♪)」




