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かみんちゅ  作者: さんさん
第2章 ヒーヅル編②  ~出会い~
26/59

家族ができたよ!   やったねエリちゃん!!

表題のとおり、若干のシリアスというかちょっとだけ欝ぽいのがありますが、決して欝エンドじゃないですむしろすぐ戻ります。

16年前、私はメーリ連合のとある家に生まれた。

所謂名家……兄と姉、私そして末の弟・・・私は3人目の子供として生まれ。

上の2人が優秀だったこともあり、当然私にかかる期待も大きなものだった。


メーリでは、12歳になると魔法適正検査と呼ばれるものを受ける。

というのも、生まれたばかり~子供のうちは魔力が安定せず、また魔力の鍛錬を行おうにも身体に悪影響を及ぼす、とされているからだそうだ。

そういうわけで、世間一般では国が管轄する魔法ギルドで、どの程度の魔力をもっているのか、またどんな属性が得意かというものを"無料で"検査してもらえる。

無料なのは、国としても優秀な魔法使いであれば確保したいがためというのもあるし、この検査により国民一人一人を登録し、管理するためでもある。

と言っても、別に私の魔力は53万です。とかいって数値で出るわけではない。

ギルドに設置された魔力解析装置と呼ばれるものにつながった大きな水晶に手をかざすのだ。

水晶でわかるのは、輝きの明暗度と、水晶全体に対する広がりぐあい、色の違い、色の濃さから魔力の量や属性の種類、質の良さ等がわかる。

水晶に広がる体積が広いほど魔力量が多く、輝きが激しいほど、魔力の質が高い。

色は全部で大きくわけて5種類。

赤系統は火、青系統は水、緑系統が風、茶系統が土の魔法適正がある、色が濃ければ濃いほどその属性をより高度に扱えるとされる。

なお白色は無属性のみで、つまり魔法適正がないと同様である、なぜなら無属性というのは生き物であれば誰もが持つ魔力なのだから白色に反応して当然だ。

なお、魔力が多い人はほぼ確実に属性をもっているみたい…。


私の家は代々火の魔法使いを輩出している。

父は国家魔法師のお偉いさんらしい、母もそこそこの位の家の出だとか…。

12歳までは検査を受けないとはいえ、ある程度は適正検査を受ける前からその魔力の大きさは予想はされる。

魔力は誰もが感じ取れるものなのだ、それはたとえ子供であっても大きな魔力をもつものは、その道のものから見れば感じ取ることはできるそうだ。

ましてや魔法使いとして優秀な父は、適正検査を受ける前から、兄のもつ大きな魔力を少なからず感じとり、大いに期待していたそうだ。

兄が大水晶に手を触れ魔力を解析したところ、眼もくらむほど燦然と輝く、火を示す赤色が、大水晶いっぱいにまで広がったそうだ。

両親はもちろん狂喜乱舞した、そして兄も自信の力に驕った。

元から兄はエリート嗜好が強く、家の名に誇りを持っていたし、周りにもそれを見せびらかすように力をしめしていた。

家名も、そして本人の実力もあって誰も咎めるものはいなかった。


3歳上の姉も、兄ほどではないが同じく優秀だった。

兄同様に父は姉の素質を感じており、期待していたようだ。

姉は適正検査の際、濃い赤と緑が渦を巻いていたそうだ。

魔法というのは大体が1人1属性である、稀に複数もつものがいるが、基本は1だ。

そんな中姉は赤と緑…つまり火と風の属性を持っていたのだ。

輝きと水晶に対する広がりぐあいから見て魔力は兄には及ばないにしろ、なにせ2属性だ、両親はもちろん狂喜乱舞だ。


さて、3年後ついに私が適性検査を受けるときが来た。

しかし私は期待していなかった、むしろ受けることに恐怖を覚えていた。

なぜなら私はおそらく、魔力がないと思うから…。

というのも、兄と姉への両親の接し方と、私への接し方に差があったのだ。

最初はそんなことはないと思っていた。

兄や姉は好きなものを買ってもらえたし、家庭教師もついていた。

お小遣いだってたくさんもらっていたみたいだし、食べ物とかオヤツも好きなものを好きなだけ食べていた。

私は欲しいといっても買ってもらえず、服だって姉のお古をもらったり、そしてお小遣いももらえなかった。

食べ物だって、オヤツは姉におねだりしてもらっていた。

自分自身に言い訳をして深く考えないようにしていた。

両親が時折私を冷たい眼で見ていても、見て見ぬふりをした。

しかしどれだけ言い訳をしても、わかってしまった。

弟に対しては、兄や姉を同じように甘やかしていたからだ…。

歳をとるにつれ弟は兄のように増長し、私を姉とも思わない態度で接してきた。

両親も、兄も姉も誰も弟に対して注意しなかった。

それでも私は我慢した、いや、我慢せざるを得なかった。

幼いながらも、自分がこの家で肩身がせまいことはわかっていた。

家を出るにしても出てどうするのか、子供一人で生きていけることが難しいことは、幼い私でもわかっていた。

疑心が確信に変わったのはとある夜のことだ。

夜目が覚めて階下に下りると、リビングから明かりが漏れていた。


「エリーシアはダメだな…全く火の魔力が感じられん。」


「そうねぇ…あなたと私の子だっていうのに…どうしてあんな出来損ないができたんだか。」


「それに比べて次の――は期待できる。大きな火の魔力を感じるしな。」


「それはよかった…、エリーシアはどうしましょうか、今度の検査で何も適正がなければ…」


「期待はできんが、一応検査待ちだな。もしなければ家を出す、国かどこかの侍女学校にでも放り込んであとは勝手にさせよう、家の恥だ。」


「それはいいですわね、それと―――


あとの言葉は聞こえなかった。

私は階段を駆け上がり、自分の部屋のベットの上で布団をかぶって震えた。

信じたくない…けど耳に入った言葉は確かに両親が発した言葉で、頭はそれを覚えている。

それからの日々は、毎日震えながら過ごした。


そして適性検査の日…全く期待していなかったといえば、嘘になる。

もし仮に、私が適正検査ですごい結果を出せば、両親だって兄や姉、そして弟も私を見直してくれる、私を私として見てくれる…そんな風に思っていた。

結果、私はダメだった。

輝きこそ凄まじいまでも、広がりがまったくない。

大きな水晶の中に、豆粒のようにぽつんとある私の魔力反応、そして色も赤ではなく白いような黄色いようなそんな色だ…輝きが激しく、いまいちわからない。

魔力の質は高いかもしれないが、なによりも魔力量が絶望的…一般的な被検査者の平均量よりも大幅に下だ。

そしてなにより、火の家系であるはずなのに、その赤系統がきちんと顕現していない。


大水晶の中に輝く自分の魔力を見て、私は全てを諦めた。

母は結果を見るとすぐに帰った。

残された私と父はしばらく無言だった。


残念だったな


気にするな


そういった言葉は…もちろんなかった、父の目を盗み見たら、とても冷たい目で私を見ていた。

帰ろうともいえず、しばらく無言で佇んでいたが、部屋の扉が開き兄が入ってきた。


「父さん、それじゃあ昨日話したとおりでいいよね?」


「ああ、好きにしろ。ただしほどほどにな。」


2人が何を言っているかわからなかった、けれどこちらを向いた兄の…舌をなめずるような、生理的に嫌悪感をもよおす顔はから、自分がこれから何かをされるというのが…わかった。

適正検査の結果に絶望してか、それとも以前盗み聞きした両親の言葉を思い出してか、私の頭の中は真っ白だった。

気づけば私は自分の部屋に帰ってきていた。

兄に力強く、痛いほどに腕を掴まれていたが、道中覚えていない。

兄が私をベットに放り、服を脱ぎ始めた。


「ひゃははぁ!やっとその体を好きにできるぜ…!

 お前に適正がないってわかったとき、俺は神に感謝したぜ!

 明日からお前は侍女学校に行くが、その前に…なあ!

 お前はどうしようもないほど出来損ないだが、顔だけは綺麗だからなぁ。

 俺がお前の初めてを相手してやるんだ!ありがたくおもえ!」


この目の前の生き物は、何を言っているんだろう…。

頭では理解していても、心は拒否していた、その言葉を、現実を、これから起こる未来を。

ベットの上を後ずさりしていると、両肩を掴まれた。

ハッとして後ろを振り向くと…弟がそこにいた…。


「た、たすk


「ははっ!兄貴ぃ!ちゃんとあとで俺にもやらせてくれよ!」



兄だけでなく弟までも、いやギルドで兄が父に言った言葉を考えれば、父も黙認しているのだろう。

私は全てがどうでもよくなった、

頭が―真っ白に―なった。


兄が私の服を乱暴にちぎり破る…私の胸があらわになった。

私はされるがまま、人形のように動かなかった。


「ちっ!つまらん!もっと抵抗してみろよおらあ!」


兄が私の腹を殴る、私は咽るが、もう、いい…。

涙だけがスッと私の頬をつたる。

小さい頃から放置されていた私は絵本が大好きだった、ドラゴンにさらわれたお姫様を助けに行く王子様。

魔獣に襲われたところを助けてくれる勇者様…いつだって私は憧れていた。

いつか私を迎えに来てくれる、ピンチのときに颯爽と駆けつけてくれるヒーロー…。

今ここではどうだろうか。

そこで問題だ!この絶望的な状況でどうやって逃げるか?


3択―ひとつだけ選びなさい


答え①出来損ないの私は突如魔法の才能が開花する。


答え②王子様や勇者様がきて助けてくれる。


答え③逃げられない。現実は非情である。



才能など開花するわけもなく、王子様など来るわけもなく、英雄がこんなところにいるわけもなく…

………兄は私の身体を隅々までまさぐった。


答え-③ 答え③ 答え③


気持ち悪い…頭が真っ白になったはずなのに、嫌悪感だけははっきりとわかる。

気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い…。

兄の、弟の手が、息が、視線が、私の身体を犯す。


「ち…だんまりかよ。まあいい、そのうちその無表情がよすがってあへるんだからなっ!」


そういって兄は私の股間に何かをあてがった。

その瞬間、私の中で何かがはじけた。


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

気持ち悪い!気持ち悪い!こんなのはいやだ!いやだ!あああああ!


私はあらん限りの力をふりしぼって暴れた、しかし所詮は女、子供とはいえ男2人に組み伏せられて、結局動けなくなってしまう。

もう…だめだ…再び絶望に心が染まる。

その時だった。


「なにをしているのあなたたちっ!?」


バン!と扉が開いたかと思ったら、姉がずかずかとこちらに向かってきた。


「あ、姉貴…!」


狼狽する弟、しかし兄は…


「何だっていいだろう?それにこいつはもう用済みだ、明日には放り出されるんだ。

 そんな奴をどうこうしようが誰も文句は言わないだろう?

 それにだ、兄である俺に向かって命令しようというのか?」


「…ッ!た、確かにこの子はもうだめかもしれないわ、そう…そうねはっきり言って出来損ないよ!」


姉は兄に怯んだあと、言った。出来損ない…と。

見えかけた一筋の希望の光は、消えた。


「だったらいいだろう?ほら、出て行け。」


「……………。

 ねえ、お兄様、そんなひどいこと言わないで?

 考えてもみて、この子は確かに出来損ないかもしれないけれど、これでも一応私達の妹なのよ。

 血がつながった兄妹なのよ?」


「だからなんだ?お前だってこんな奴のことどうでもいいのだろう?」


「違うの、最後まで聞いて?

 別にね、お兄様達がどこの女を好きにしようとも私は何も思わないわ、けど、さっきも言ったけどその子は血のつながった妹なの。

 お兄様は、男だからわからないかもしれないけれど…私は女なの。

 だから、どうしても考えてしまうの、想像してしまうの。

 私はお兄様ほどではないけれど、魔法の才能があったわ。

 だからお父様もお母様も優しくしてくれる、けどもし私がそこのそいつみたいに才能がなかったら…。

 って想像してしまったら、怖いの。

 私も何かの拍子に魔法の才能がなくなったら…もしかして私もお兄様達に…って。」


「それは


「そんなのありえない!ってわかってるんです。

 お兄様は私に優しいのですし、なによりそこのそいつみたいに私がなるはずがないって、わかってます。

 けど、けどです。やはり私はどうしても、想像してしまうんです。

 もし私が今日気づかずすごしていれば別によかったんですが、こうして知ってしまった以上、想像してしまうんです…。

 だからお兄様…気持ちはわかりますけれど…おやめになってくださいませんか?」


「あ、兄貴…」


「……………。

 …ちっ!わかったよ!おら、いくぞ!」


兄と弟が出て行き、扉が閉まる。

部屋には私と姉だけが残された。

姉が私に近づく、目が合うが、私の目を見て姉は狼狽し、涙を流した。

…涙?大方自分がこうならなくてよかった、とでも想像したのだろう。

やたらとお古を多めにくれたのも、お菓子をいつもわけてくれたのも、所詮は同情か侮蔑の意味をこめてだったのだろう。

なぜなら私は、彼女にとって、出来損ないなのだから。


彼女は私の頬とおなかにヒールをあてて、そっと抱きしめてきた。


「ふれないでよっ!」


私は彼女を突き飛ばした、彼女は驚き目を見開いているが、知ったこっちゃない。


「私はあんたの博愛精神を満足させるためだけにいるんじゃない!」


彼女は、口をパクパクとさせ、涙を流した…、そしてしばらくの沈黙の後。


「………………。

 そう、せいぜい頑張って生きなさい?

 あああとこれ、手切れ金。それ売り物にはならないけど、加護があるらしいからつけといたら?

 …じゃあね。もう2度と会うことはないと思うけど、この家に近づいちゃだめよ?」


そういって彼女は紅色の宝石がついたペンダントを投げつけた。








次の日、私は父親に呼び出された。


「今日から侍女学校に行け。学費は既に1年分納めている。卒業したら好きにすごせ、ただし今後、家名を名乗るな。わかったらここに署名と血印をしろ。」


それとこれは生活費だ、と金貨の入った袋を渡された。

家名を名乗るな…つまりは絶縁だ。

覚悟をしていた私は静かに返事をして署名血印をすませ、部屋を出た。





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「それで、私はそこで1年間勉強して、メーリにいたくないなあって、そんな理由でヒーヅルへ来たの。」


エリーの顔は悲壮なものだった。

天真爛漫、元気ハツラツゥ?な彼女に、そんな過去があったとは…。


「学校では不思議と何も問題なく過ごせて、料理とか色々学べたわ。

 卒業してヒーヅルに着いたらすぐ、いい人に出会ってさ、ハンターとしての基本とかも教えてもらったのよ。

 Cランクになったら、もう大丈夫だね。っていってどっかいっちゃったけど、今でもギルドの郵便箱を通して文通してるんだよ?

 この弓も、その人がくれたんだ…。

 

 …私は出来損ないなの…家族からも捨てられるくらいダメなの。

 あなたの温もりが、優しさが、逞しさが、私には幸せで心にターン!とくる粉のようなものだった。

 あなたの優しさにつけ込んで、溺れてしまっていたの…。だから…ッ!」


ごめんね、ごめんねと呟くエリー…俺は彼女の顔をぐいっと持ちあげ、思いっきりディーーープなキスをしてやった。


「ッッ!ぷはっ!……ケ、ケイジ…いきなりなにを―


「何を謝っているのかわからんな。かわいすぎてごめんね?ってやつか。

 エリー、言っておくが俺を誰だとおもっている?

 俺を見くびるな、相手の心がわからないのに身体目当てで女と付き合うようなちゃらい男だと思ったか?

 俺は、お前と出会って、話して、一緒に狩りにいって、お前という存在をしっかりとみて、惚れたんだ。」


俺は彼女を抱き寄せ、胸に押し付ける。


「男の胸はな、女が涙を隠すためにあるんだ。

 ……泣け、泣いちまえ。そんですっきりしたら、いつもの…俺の愛しのエリーに…戻ってくれ。」


「………~~~~~~~ッ!」


エリーは泣いた、大声を上げて泣いた、もう恥じも外見もないくらい泣いた。

子供が大泣きするくらい、傍から見たら干引くくらい涙と鼻水をたらして泣いた。


「……ぐす…ッ…ぐす…びっ…ずびび…」


「お、落ち着いたか…?」


「………………………ありがと…。」


俺はエリーと見つめあう…エリーの瞳は先ほどとは違う潤みを帯びている…。

ああいかん、むらっときた。

俺はエリーを引き寄せ…




「そろそろうちも、ええかなぁ…」



 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


…ノゾミが無表情で俺達の横に立っていた。








俺とエリーはジャンピング土下座を決めて大魔神の怒りが静まるのを待った。


「べつにな、ええんやで?2人でいちゃいちゃしてもらっても。

 ただこの前もいったけどな、TPOってのを考えてほしい。

 な、あんたらさっきまでシリアスな話しとったのに、終わったと思ったら発情しおって…ほんまに猿か?あんたら。

 ええか?精霊の慈悲も三度までって言葉があるんや、次は…ないで…?」


怒りが静まったと思い、おそるおそる顔を上げる。

そこには女神がいた。


「エリー…家族なんてな、所詮どう思うか…や。

 うち…戦争孤児やねん。両親は顔も覚えてない、ユリノっていうのは孤児院の名前。

 なあエリー…確かにエリーは家族に捨てられかもしれん…けど捨てられてばっかりや…ないやろ?

 うちと出会えたやん…ケイジさんと出会えたやん…エリーはもう、一人やないで。」


「ノゾミ…ッ!」


2人はヒシッ!と抱き合っている。

キマシタワア!


……どれくらい時間がたっただろうか、抱き合っていた2人は離れる。


「エリー、ケイジさん…うちらもう家族みたいなもんやんな?」


「ああ!」


「…うんっ!」


「ほな、ほんまの家族に…なろか!」


「ああ!……?」


「うんっ……ん?」


次の瞬間、ノゾミは俺の襟を掴みぐいっと引っ張って、俺とキスをする。




「な、な、なッ…なにしてるのノゾミ!?!?」


「ちょっとだまりぃ」


ノゾミは俺から口を離し、今度はエリーにキスをする。


「「ッッッ!!!」」


「ぷはっ!の、のぞみ、ちょとまって、まって!ええ?!ちょ…ええ!?!!?」


「言うたやん…家族になろって。」


「い、いや待て意味がわからん。」


「だからぁ…ケイジさんが夫でうちらが妻や!」


「い、いやおかしいでしょ!そんなの…そんなの!」


「エリーは、うちのこと嫌い…?」


「そ、そういうわけじゃないけど…。」


「ほならええやん、うちもケイジさんのこと気に入っててん。

 それに毎晩毎晩エリーのあんな声聞かされて、我慢しろっていうほうが無理。

 エリー…ええやん、3人で幸せに…なろ?」


「…………。

 あーもう!あーもう!あーもう!わけわかんないし!ううう…けど…けど…ノゾミなら…いい…かな…。」


「うしし…ほなあとは……。」


ノゾミが潤んだ瞳でこちらを見つめてくる…。


「ねえ…うちのこと…嫌い?」


「嫌いではない、むしろいいのか…ノゾミも…」


「…女にここまで言わせてんねんで…?

 ねえ、ケイジさん…うちもはじめて…やねん…優しく…してな?」


―――――俺の理性というなのリミッターは解除された。







…………………………次の日、俺達は宿屋を追い出された。

女将さんの顔は笑っていなかった。

いやまさか、ノゾミまでもがあんな大きな声をあげるなんて……反省反省。


なお、戦績は6ラウンドして、俺が6KO、エリーが12KO、ノゾミが8KOだった。

~ベットの上で眠るケイジを挟んで~


「ケイジさん…すごかったわぁ…エリーがあんだけ声だしてたんわかったわ…」


「………でしょ………」

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