使わざるを得ない
「名前かわいすぎだろおおおおおおおおおっ!」
俺は地球で聞いた最後の言葉につっこみながら覚醒した。
(なんだよかみんちゅって!うみんちゅかよ!
てかなんで頬を染めながら言ったんだよ!
きもいぜ師匠…てか誰だよ最初にそう呼んだやつああああああ!)
「…ってここ…どこだ…?」
周りを見渡すと生い茂った林の中にいた。
暗いことから夜中であろうか…木々の間から月明かりらしきものが見える。
「そっか…俺…異世界に来たのか…」
そのことを認識した瞬間――ッ!
「なんだこのとてつもない気は――」
背筋が凍った気がした…地球の何十倍、いや百倍はあろう気を感じ取ったのだ。
「ちょ…師匠…この強さはしゃれになってな…い…?」
それと同時に、違和感を感じた。
「いや、これは…違う…強者の気じゃない…空気中の気だ…。
この世界は…気がこんなにもあふれているのか…。
これは…すごい…力があふれる…感覚が研ぎ澄まされすぎて狂いそう。」
地球では精神を集中しなければ集めることすら難しい、それがいまやそこらに溢れている、呼吸をすれば体内に気が巡る、波動○…俺は天翔波と呼んでいるが、それすらも簡単にできる。
いや…むしろ注意しなければ気が溢れすぎてしまう…。
―――集中…集中…―――
「むっ…気の気配……そしてこの乱れ方は…ふむ…」
溢れる気のおかげか、俺の感覚は地球にいたころと比べ物にならないくらい強大になっていた。
この森の中の気配さえ、いまや手に取るようにわかる。
そんな中、一つの心乱れた気と、それを追う10ほどの気を見つけた。
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(「はあっ!はあっ…!さいっていっ!なんでこんなときに…こんなとこにコーリの奴らが…っ!」)
息を切らせながら必死に走る少女、艶やかな黒髪、黒い瞳、透き通る白い肌…歳は15歳くらいだろうか。
10人中10人がかわいいと思うであろうその顔は、いまや泥にまみれ顔は苦痛に歪んでいる。
「ヒャッハー!まてよヒーヅルが!金と体をよこしなぁ!」
「アッー!」
暗く、足元がお留守になっていたため、木の根につまづき転んでしまった。
お尻は別になんともない。
「でゅふふふ…よく見ればかわいい顔してるじゃねえか…とりあえずやっちまうか。」
「ヒッ…誰か…誰かたすk 「大丈夫か?」 …え?」
気づけば…目の前にいた…背は180センチくらいだろうか…体格は決して細くなく、むしろ筋骨隆々といった感じだ。
あとなんか出てる…なんか体から青いオーラみたいなのでてるよ…なにこれ怖い。
「もう大丈夫だ、あいつらはなんだ?」
私の頭をぽんぽんとたたきながら男は言った。
「え、えっと…えっと…あ、あなたは…?」
私がそう言った瞬間…
「質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?!
俺はあいつらはなんだと聞いているんだっ!!」
「ひぃいいいい!ごめんなさいいいいいい!」
怒られた、ものすっごい勢いで怒られた。
あと叫んだ瞬間オーラが爆発した!
コーリの奴らも引くくらい怒っている。
なんなの私何かしたの!?もうやだ泣きそう!てかもう泣いてる!
「む、悪かった。一度このセリフを言ってみたかったんだ。
だからごめん、泣かないでくれ。
いやまじほんとごめんなさい。」
セリフって何…?私は彼の言うことがよくわからなかったが…とりあえずこれ以上怒られないように彼の質問に答えることにした。
「あ、あいつらはコーリの奴らよ、ここら辺で最近悪さをしてる強姦盗賊集団なの…。
まさかこんな国境近くまできてるなんて…。
私はヒーヅルのプリメーラよ…さっきから空に闇が広がってて、ちょっと気になって勝手に抜けだしt…ううん、その調査でこのあたりを廻っていたの。
けどさっき起こった爆発で馬が逃げちゃって…そしたらあいつらに遭遇したのよ。」
「ふむ…」
コーリやヒーヅルとか言ってることはわからんが、つまりはあいつらは悪なのだろう。
ちょうどいい、この世界の奴らの強さを測るとしよう。
それに気の調節がいまいち上手くいかないしな…練習にいいだろう。
そう思いつつあいつら―この娘がいうコーリ―のほうを向く。
いきなり現れた男に対して、コーリの奴らが持っていた紅い剣を向けた。
「だ、だだだだだ誰だか知らねえがががが、うううう運がなかったなぁ!
てめえの命もここまでだ!」
コーリの男がなぜか泣き喚きながらそう叫ぶと同時に、紅い剣から火が吹き出てきた。
「~~~~~~~ッッッッ!?!?」
咄嗟によけたが、なんだ今のは…。
「ヒャッハー!こ、こここの火の魔法剣がある限り俺はまけねえ!」
魔法…?魔法だと…そうか…ここは地球とは異なる世界、魔法があっても不思議はない。
そう考えた瞬間…俺の心はドクンッ!と波打った。
なんだこれは…楽しい…うれしいぞ…まだ見ぬ強さが…力がこの世界には溢れている…高ぶる…高ぶるぞ…!
俺は興奮のあまり、抑えていた気を抑えることができなくなっていた。
「あ、あのー…なんか…体…輝いてるんですが…てか何その魔力てか魔力なのそれ、ねえちょっと!!!?」
少女が呟いているが、気にしない。
「ふふ、ふふふ、ふはははははははは!
いいぞ!いいぞ!さすがは異世界だ!ふふふ…そうだ、そうだな!
そうだ!今ならこのセリフも言えるなああああ!」
俺はもううれしくて仕方がない、急に笑い出した俺にびっくりしたのか、コーリと呼ばれる男はガクガクと震えていた。
気のせいか男共のズボンの股間が湿ったようになっており、地面に座り込んでいるが気にしない。
元の世界ではなかなかいう機会がなかった…しかし今なら言える!
「飛び道具を持った奴が相手なら、覇王天翔波を使わざるを得ないッッ!」
………
コーリと呼ばれる男共もうしろにいる少女もポカーンとしているが、俺は気にしない。
「はあああああ…!」
体内の気を集め、手のひらに送る、後ろに弓引き、力をためる、地球の頃に比べたらなんかやたら気が集まっている気がするが気にしない。
いくぜ!!!!!!
「覇王ッ!天!翔!波ああああああああああああああああああ!!!!」
カッー
その瞬間、世界は白く染まった。




