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かみんちゅ  作者: さんさん
第2章 ヒーヅル編②  ~出会い~
19/59

ノゾミ「ケイジと愉快な雌ぶt 「「却下!!」」 …」

―例え寝ている時であっても、一定以上の気には反応する。


前の世界で各地を巡っていた俺はそんなことをするようになっていた。

不安と恐怖におびえろくに睡眠もとれない…そんな日々もあったが、気配察知、自身の周りへの気の結界展開等、安眠方法が増えなおかつ自身の強さの向上もあり、今は俗に言う爆睡というのを普通に行っていた…俺であったが…



「あーあしがすべったー(棒)」


「きゃっ」


のんびりとした声のあとに、俺の胸の上に広がるやわらかい感触、鼻に触れるいい匂い…ハッとして目を開けると、目の前にエリーの真っ赤な顔があった。

エリーは俺の胸に顔をくっつけ、抱きつくような形をしている。

エリーの瞳と目が合った瞬間…彼女はすさまじい速度で飛びのき、ビーーン…と音がしそうなくらいの直立不動でたった。


「お、お、お、お…おはようっ!ご、ごめん急に、つまづいちゃって!」


「……おはよう。しかしどうして俺の部屋に?」


「ぱ、ぱぱぱぱ…ぱーてぃめんばーを!起こすのはめんばーとして!と、当然でしょ!じょ、常識よ!」


ふむ、そうなのか…覚えておこう…と納得をして俺は立ち上がる。

そしてその瞬間、既に立ち上がっていた俺の分身がその存在を主張する、それは天を貫くかのごとく雄雄しく立ち上がっており、ぴっちりしたタイプのTシャツに下はボクサーパンツという薄着な服のせいかその存在は、顕著にでていたのだ…。


「そっ…外でまってるから!きっ!着替えてっ!」


顔を真っ赤にしながら、されど視線は一点からはずさずに、エリーがノゾミの肩を押しながら部屋の外へ出た。


「あらぁ…朝から元気やねえ…」


それはエリーのことか俺か、それとも俺の…いややめよう…俺はノゾミの呟きを無視して着替えることにした。






----------------------------------------------------------






「待たせたな」


「う、うんっ…」


横のエリーは顔を真っ赤にして俯いてる…まあええ。


「それで朝早くからどうした?」


「別になんも意味はあらへんよー?ただPTメンバーとしてぐうたらな生活は見てられへんしな。ほな朝御飯食べにいこっかー。」


聞いた話やとノピちゃんが朝起こしにきてるらしいやんか…やらせはせんっ!やらせはせんでぇ!


「ん?何か言ったか?」


「いやー別にー?ホホホ…」


ケイジさんは狙っているのか天然なのか鈍感なのかわからへん…なんであろうとエリーのために落とさせてみせる!

ドキっ!朝おこされてみたらいきなり美少女ツンが俺の胸の上に!?作戦はまあまあや、まあこの作戦はノピちゃんを遠ざけることにある…あの幼女は強敵や…。

最悪、宿の変更…それか有り金はたいてでも家借りるなりなんあとしてもええかもなぁ…。




「あ、お兄ちゃんっ!おはよ…う…」


ノピちゃんがケイジさんを見た瞬間テンションをあげ、そして傍にいる私達を見て一気にテンションをさげる。

てかお兄ちゃんて…お兄ちゃんて…やはりこの子は油断できん…っ!


「お兄ちゃん、1人で起きれたんだ…?」


「いや、エリー達が起こしてくれてな。」


「エリーさん達が…?………なんで………?」


「あんなあノピちゃん、ケイジさんとうちらPT組むことになってん。

 これからはうちらが起こすから、もうノピちゃんはわざわざ朝ケイジさんのこと起こさんでええよ?

 朝って宿もご飯の支度とか忙しいやろうしなぁ…、いつもありがとやったなぁ」


変に断らず、ありがとうといいつつ相手の行動をさせなくする…子供といえこういわれては動けないだろう。


「で、でも…」


「それにな、ケイジかていつまでも起こされてばっかりやと成長できひん。

 ハンターとして生きていくんやからな?ケイジのためにもならへん。」


そしてこの言葉で相手に有無をいわせず反対をさせなくする…完璧や。


「う、うん…わかった…………(チッ…クソババアが…)」


なんかノピちゃんが一瞬黒くなって呟いた気がするけど気のせいやんな…。






---------------------------------------------------------





朝目覚めたら美少女が抱きついてきていた、なんでこんなに柔らかいんだ…そしてなんだこのいい匂いは…立ち上がったら相棒も立ち上がっていた、だって男の子だもんっ!……俺は何をしにこの世界に来たのだったか…最近わからなくなってきた。

着替えて1階食堂に下りるとノピちゃんがいた、一瞬どす黒い気を感じたが気のせいだったか…?




「「「いただきます。」」」


この風習は全世界共通なのだろうか…いやこの宿だけか…大吟醸あったし…いやわからん。

朝のメニューは白ご飯、焼き魚、新鮮野菜に味噌スープ…どう見ても味噌汁です、本当にまじで感謝感激雨嵐です。

ヘルシーかつ栄養満点、女性ハンターに人気の朝メニューらしい。








「ところで今日はどうするんだ?」


「え、えっと、とりあえずPT組んだばっかりじゃない?

 だから、お互いの能力の確認とか、連携とか…色々したいし…討伐クエストでもいかない…?

 ダメ…かな…?」


顔を赤くしたエリーが聞いてくる、そして最後は上目遣い…思わずぐっとくるものがあった。

返事をしようと思ったそのとき…


――ドンッ!


「はいっ食後のデザートですよ!(にっこり)」


ノピちゃんがテーブルに激しくフルーツの盛り合わせを置いた。

何か血管が浮き出ている気がするが、見ないことにしよう。


「ありがとう、ノピちゃん。」


頭を撫でてあげたノピちゃんは、顔を真っ赤にして立ち去っていった。

エリーはこちらを見てほうけた顔で何か呟いている…いいなぁ?何がいいのだろうか…フルーツを分けてやろうか。

ノゾミはなぜか睨んでいる、お前もフルーツが欲しいのか。


「あー…なんだ、そんなに欲しいなら俺の分はいいから2人で食え、な!」


エリーは相変わらず、顔を真っ赤にしてありがとうと呟き、ノゾミは大きくため息をついた、WHY!?






「さて、討伐といったが何かいいのがあるのか?」


「うん、ええと…あ、その前にさ、ケイジはたぶん近いうちに強制的にランクをあげられると思う。」


「強制?」


「うん、ケイジさ、EランクだけどもうBランククラスの魔獣狩ってるじゃない?

 しかもソロで…ギルドとしてもそういった人達に対しては特例として強制ランクあげをするのよ。

 ギルドとしても高ランクハンターが生まれるのは好ましいことらしいしね。

 あとせっかくのランク制度が、意味をなさなくなるからってのが大きいと思うけど…。」


「まああげてもらえるのならそれにこしたことはないな、いつかは幻種とやらも狩ってみたいし。」


「げ、幻種って…!・・・……ま、まあ私達もいつかはしてみたいけどさ…けどさケイジ、魔獣って超位種からはもう次元が違うってくらい強くなるんだよ?

 個体数は少ないけど、その分強さはもう半端ないの。Aランクの人ですら複数PT組まないと超位種は厳しいの…ましてや幻種なんて…」


「ほう…そいつは楽しみだ。」


先日まで魔獣の強さにがっかりしていたが、そういうことなら楽しみだ。

リミッター解除…する機会があるといいなあ…。


「ほな今日は、Bランククエのリーザドン討伐にしよかー。

 なんや南西の村で暴れてるらしいわー。

 上位種やけど、群れやなくて個体種やからうちらの連携練習とかにはもってこいちゃうかな。」


「リ、リーザドンって…大丈夫かなぁ…」


「大丈夫やて、ケイジさんおるし、うちもおる。3人でいけば万が一があっても大丈夫や!」


「リーザドンか…そいつは火とか吐くのか?」


「そやで、知ってたん?ドラゴンモドキて言われてて、翼もって一見ドラゴンみたいやけど空はとばへん。んでもってお答えのとおり火属性の魔獣やでー。

 何よりちっちゃいんよ、成体で4~5mくらいみたい…翼いれたらもっとでかいけどなぁ。

 個体数が少なくて、基本単独行動や、普段は山の方におるんやけど、人里に降りてきて畑とか家畜あらしてるんやってさー。

 前のボス猿に比べたら全然強さはちゃうで、動きはそんな早くないけど、硬い皮膚に火炎弾うってくる…まあうちらならいけるやろうけど。」


ボス猿よりは強いと聞いたがあんまり期待はできそうにないなと落胆しつつも、地球では想像上であった、尻尾に炎がついてそうなドラゴンぽい姿を想像し、珍しい生物を見れるのだと観光気分で行けばいいと納得することにした。


「わかった、ではそれで行こう。南西の村までは近いのか?」


「ええと、歩いて大体2日くらいかなぁ…森を抜けんとあかんから馬は使えへんけどええ?」


「俺は一向に構わんっ!」


「おっけー、ほなクエスト受けにギルドいこかー。

 そんでもって必要な雑貨あとで買いにいって、お昼から出発で!」


「「わかった(わ)」」


こうして俺達はリーザドンとやらの討伐に行くことになった。







----------------------------------------------------------






「ええ?エリー。今回の旅は重要や。彼と一気に近づくチャンスやで。

 フォローするから上手いことやるんやで…?」


「なっ…何をいいだすよのノゾミ!?」


「隠さんでええ、あんたの態度みとったらわかるわ。

 好きになったんやろ?ケイジさんのこと。」


「~~~~~~~~~~~~ッッッッッッッ!?!!?」


食事を終えて、着替えるために各部屋に戻るといきなりノゾミが切り出した。

――…わかってはいた、この胸に潜む気持ちがなんなのか…彼―ケイジ―のことが好きなのだという気持ち。


「エフッエフッエフッ…!隠さんでええでぇ…エリー?」


ノゾミは気持ち悪い笑いをしてニンマリとしている…こういうときのノゾミには逆らわない方がいい…というか逆らえない。

それにどうだ、考えてみろ私が彼を好きだというのは確かではないか…。

そうよエリー、覚悟を決めるのよ。

私は瞳を閉じ、開く…。


「ノゾミ、作戦は?」


ノゾミが極上の笑みで私を見つめる。


「それでこそエリーや。…ええか、まずエリーのええとこあげてみい?」


「私のいいところ…?

 ……………ええと…弓が使える…?」


「エリーはな、弓が使える、目がいいかもしれん、索敵もすごいと思う、魔法だってちょっと使えるしな。

 けどそうやない、そうやないんや。

 エリー彼に対して強さが売り込みになるか?答えは否や。

 確かにエリーは優れた弓使いであり、罠使いや、けど彼の強さはそんなレベルやないんや。

 前もいったけど、たぶんうちより全然強い。ぱっと見てもそうやし、彼…たぶん力を抑えてるような気がする。

 まあそれはええねん、強いのは歓迎やし、だからそれは横においとく。

 ええかエリー…彼が、いや男が望むのは、女らしさや。

 エリーはまずかわいい、女のうちから見てもかわいいのは確定的に明らかや。

 んでまあ、身体つきは…十分や、彼エリーの胸にも興奮してたしな。

 身体を使っての攻撃は、これから少しずつやっていく方向でええと思う、ビッチ戦法はたぶん逆効果や。」


なるほど…確かに一理ある。

しかし…胸は…いやまあ確かに彼は私の身体を見て反応していた、目の前でみたからそれはわかる…うう…思い出したら恥ずかしくなってきた。

あ、あんな大きなものが私に…。


「こらっ!」


ノゾミが私の脳天にチョップをかましてきた。


「卑猥な妄想は結構やけどそれはあとにしい」


「だっ、だえがひわいひょ!」


焦って舌をかんだが、事実なので何もいえなくなる。


「それでや、エリー。今回南西の村を選んだのはわけがある。

 道中は野宿や、そんときにあんたの得意な料理の腕前とかを披露するんや。

 昔から言うやろ?男の気持ちは胃袋で掴めって・・・な!」


敵にすれば恐ろしいが、味方にすればこれほど頼もしい存在はいない・・・!

恋愛初心者どころか初経験の私にとってノゾミは女神のごとく後光がさして光り輝いて見えた。


「頑張るね!ノゾミ!じゃあ、ケイジさんを呼びにいってくる!」





「・・・ああけど、さりげなく女ということをアピールも大事か…彼がちらちらを見てしまうような・・・

 けどエリーの場合無意識にそれをするやろうなぁ・・・今までうちとしか行動してこんかったみたいやし・・・うちでさえたまにムラっとくるしなぁ・・・。」


ノゾミが何かぶつぶつといっていたが、部屋を出ようとした私の耳にはいってこなかった。






------------------------------------------------






「こんにちはシエルさん。PTメンバー追加登録&PT名変更でお願いします。」


いつもに比べ、冷めた声で私に声をかけてきたのは、エリー。

人懐っこく元気な彼女は私にとって世話の焼ける妹のような存在だった。


―――そう『だった』のだ―――。



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



今私は彼女と対峙している。


「エリー、追加登録って、ケイジさんの、こと、かな」


こめかみがピクピクしているのが自分でもわかる。


「ええ、そうです、ケイジは私のPTに入ったんです。早くしてもらえますか?」


――――迂闊ッ!


兵は神速を尊ぶ…日ごろから言われていることではないかッッ!

ケイジさんは着たその日から目をつけていた…ハンターギルド受付嬢をはじめて数年…今まで数々のハンターたちを見てきた、中にはSランクハンターも見たことがある。

そんな私が彼を見た瞬間―――そのとき私に電流が走ったのだ…。

ソロハンターだった彼を少しずつ攻略していこう…浅はかだった…彼ほどのものがいて、周りがそれをほおっておくだろうか…答えは、否!

宿で隣の部屋となってうかれていた…しばらくライバルはノピちゃんだけだと思っていたが…

ぐうう…しかしこれ以上はまずい、彼に不審がられる。



「わ、わかりました。ではこちらの用紙にご記入ください。

 それとケイジさん、今回あなたの討伐記録を考慮した結果、強制ランクアップとしてCランクとなることになりました。

 同じくこちらの用紙にご記入ください。」


まだだ、まだ終わらんよっ!

敵の攻撃はきついが、まだ諦めるわけにはいかないっ!



―――あきらめろん



え?…と思い横を向くとノゾミさんが立っていた。

彼女はここらあたりで有名なBランクハンター…氷結果実と男共に呼ばれている。

氷結は彼女が希少な氷魔法使い…果実は最初は意味がわからなかったがなんとなくわかった…つまりは二つの小さなスイカだ。


「シエルさんごめんなぁ…けどこれは譲れへんのよ」


彼女がPT追加及び名称変更の用紙に記入をしながら告げてくる。

敵は…1人ではなかった…。


「何の、ことでしょうか、ねえ……」


私は彼女をじっと睨み返し、決意した。



――よろしい、ならば戦争だ…。







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PT名:カショー(仮称)


PTリーダー:ノゾミ(ケイジの予定であったが断固拒否であったため継続)



「うう、だって…どうせならいいのにしたいじゃん…ありがちなのじゃなくてさ。

 ちなみにノゾミのは絶対却下。」


結局俺達はあーだこーだと色々案を出したが、決めることができず、とりあえず仮称ということでPT結成となった。

俺に関しては強制ということでCランクになった…個人的にはどうでもいい。


そして俺達はクエストに向けて街の商店街に来ている。

大体のものは既に揃っているが、雑品がたりないのだという。


「あーわすれてたーうち つえのめんてだしてたんやー ちょっととってくるー」


「ちょ、ちょっとノゾミっ!?」


ほなごゆっくりーといってノゾミが立ち去っていった。


「しょ、しょうがないわねっ。い、いきましょ!」


エリーが顔を真っ赤にして俺の手を握って引っ張る。


――小さい…


あたりまえのことだが、握られた手は俺に比べてとても小さかった。

浮かれていたが、よくよく考えればBランククエストだ、彼女にとっては生死にかかわる…。

何があってもこの子達だけは守らなければ、と誓い直し、彼女の買い物に付き合ったのだった。






「ごめんなーただいまー。」


のんびりした口調のノゾミが宿屋に帰ってきた。

エリーがぎゃーぎゃーといっているがどこ吹く風。


「おかえりノゾミ。

 なあ、エリー、ノゾミ。」


「ん?」 「なによ。」


「不安かもしれんが、2人のことは俺が必ず守る、だから安心してくれ!」


「あっ…ありが…とう…」


エリーが顔を真っ赤にして下を向く、うむ…この子はスグに真っ赤になるな。





こうして俺達はリーザドン討伐クエストに出発した。

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