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プロローグ

プロローグ 

時代は現在から数百年後の地球……

 地球の温暖化はもはや温暖化とは呼べなくなるほど深刻なものとなっており、太陽の紫外線は全ての生物を焦がす光線となって地上を滅ぼしていった。

 科学者の藤宮正史(ふじむらまさふみはこの状況を打破するために街全体を紫外線から守るシェルターを開発した。これにより、紫外線が人々の不安の種となることはなくなったが、彼らは暗く湿ったシェルターの中で人工的なライトの明かりのみを頼りに生きていくことを余儀なくされた。十六年後、人々の不安と不満が絶頂期に達し、溢れだそうとしていた時、一件のニュースが正史の元に入ってきた。

「博士、今日の朝刊はご覧になりましたか」

「まだだが、何かあったのか?」

人々の不満を解消させようと日夜策を練っていた正史の目は夜通し起きていたため赤かった。

「博士、また街の人々のことを考えていたのですね。人のためにがんばるのもいいですが、あなたはもっと御自分を大事になさってください」

科学者の月並みな文句に正史は適当に頷き話の続きを促した。「今日の一面なんですが」科学者はそう言って新聞を広げる。

「これは……シェルターをはずして十年も無事でいられた街があるだと!どこだ、その街は」

「コンピュータデータベースにアクセスした結果、ここから二百キロ先にある元首都の街だというデータが出ました」

「首都跡か……」

 正史は下を向いて考えた。首都跡といえば今もまだ第五次世界大戦の影響で汚染されている場所だ。下手をすれば紫外線以前に、汚染物質にやられてしまう可能性がある。科学者もそのことをわかっているのか、じっと正史の出す答えを待っている。

「私が現地に行って直接調べよう」

 正史は再び上を向いてそう言った。

「シェルターなしで生きられる技術があるなら私はそれを活用したい」

「しかし、お嬢様はどうなされるのです?まさかお一人にされるつもりでは」

「まさか。彼女も連れて行くさ。今の状況から言ってあまり気乗りはしないが、私はあの子にまだ、太陽というものを見せたことがないからな。出発は三日後にする。それまでにこっちも万全の調査に臨むための準備をするぞ!」

 そして正史は一人娘のあきを連れて、首都跡地行きのトランスポーターに乗った。



                          太陽が見える街

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