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星光の魔法戦士  作者: あさぼん
第1章 決意の時
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獅子王奮迅 ①

多くの人が駅前を行き交う大宮の午後。

少し早く家へ帰ろうとするサラリーマンや学校終わりの学生が遊歩道を歩いている。


その中にいる二人の学生。その正体は魔法戦士である。


「この前の魔獣ヤバかったねー」

「めっちゃデカいくせに広場をぴょんぴょん跳ね回るんだから、攻撃当てられないのマジでヤバかったって」


二人はそんな話をしながらクレープを片手に話し合う。


「ま、うちら二人を含めた県内最強級の大宮支部の最強メンバーにかかればチョチョイのちょいなんだけどね!」

「たしかに、あたしらですら下の方なんだから。私たちよりもっと強い人達がいるうちは大宮は安泰…」


その時だった。突然、辺り一帯が暗くなる。


「うわ、もしかしてゲリラ豪雨ってや…つ…」


上を見た一人はそれを見て言葉を失ってしまった。

何しろ、上にいたのはとてつもなく巨大ななにかだったのだから。


「は…?」


もう一人が動揺していると、巨大な何かはそのまま駅へと突っ込む。

周囲の賑わいがなくなる。

そして巨大な何かは駅に停まっていた新幹線を持ち上げると―――近くのビルへ思いっきり投げ飛ばした。

新幹線はビルに衝突するとともに大爆発した。


まもなく、遊歩道にいたサラリーマンも、学生も、悲鳴を上げながら一直線に逃げ始める。


「あれって…魔獣…?」

「わかんない…でも戦わないと!」


そう言って二人は持っていたバッグを投げ捨てて、巨大な何かと対面する。


「「変身(チェンジ)!!」」


そう言うと二人の姿はたちまち光りに包まれて変身するのだった。





それから一時間ほど。陽菜、徳姫、天音の三人は赤井からの緊急招集で北支部に来ていた。

司令室には四人の他、青田、緑谷もいる。


「で、どうしたんですか?緊急招集なんてかれこれ半年はなかったと思うんですけど」


早速、徳姫が赤井に問う。


「単刀直入に言おう。一時間ほど前、大宮にてネームド級の魔獣が現れた」

「ネームド級…この前のヘビ魔獣以来ですね。陽菜さんとあった時の魔獣は、レベル3の準災害レベルでしたよね…今回もそれぐらいでしょうか?」


天音は複雑そうな顔をしつつ、赤井に問う。


「今回現れたのはレベル4…災害級だ」


その言葉を聞いて、陽菜以外の四人は唖然とする。


「え、レベルって…」

「ネームド級魔獣の危険度の目安となる数値です。下から1,最大値で5となっています」


陽菜の問いに対し、緑谷が答える。


「…ってことは、私が戦ったあれより強いんですか?」

「…ああ」


状況に気づいた陽菜は戸惑う。


「あれより強い魔獣が…!?」

「…既に大宮支部にも被害が出ているようで、近隣の支部に緊急支援要請が出されています。一般人への被害も確認されており、状況は一刻を争う状態です」


青田が状況を素早く報告する。深刻な状況に、三人も身を引き締める。


「…必ず生きて帰ってきてくれ」


赤井がそう言うと、三人は頷いて司令室をあとにした。


三人が出た直後、赤井の電話がなる。


「もしもし…」

『久しいな』


電話からは男性の声が聞こえる。


「…黄坂」

『俺は今、私情で本部に来ている。戻るまでの間、お前に大宮支部の指揮権を全て預ける』

「…なぜだ」

『本部の指示だ、一時間あればそっちに着く。それまででいい』


そう言われると通話は切れた。

指揮権を託された赤井の手が震えていたことを、青田と緑谷は気づいていなかった。





魔法戦士になって現場へ向かっていた陽菜たちは、20分ほどで大宮駅付近まで来ていた。


「ひどい…」


現場の惨状はひどいものだった。駅の最上階は魔獣の攻撃で跡形もなく無くなっており、壊れかけの駅の中では大勢のけが人が手当てを受けている。

付近の建物も原型をとどめておらず、目の前のビルには大きな穴が空いてしまっている。


「…魔獣は既に、ここからは動いているようですね」


天音が見た方から、絶え間ない戦いの音が聞こえる。


『魔獣は駅から北東に2kmほど動いたようです。現在、数名の魔法戦士が交戦しています』

「私はここにいるけが人を一通り見てから向かいます。すぐに向かうので、お二人は先に行ってください」

「「了解!」」


天音の指示のもと、二人が魔獣のもとへ向かう。



二人が去ると、天音が付近にあった石を壁に投げる。


「…いるんですよね、優地さん」

「…なんでわかるんですか」


壁の影から優地が現れる。


「どうしてここへ?」

「バ先で配達してたら巻き込まれたんですよ。そしたら巻き添えくらって…」


優地が頭をかきながら言う。


「そういう理由でしたか。…それはそうと、なぜ逃げないのですか?」

「それは…」

「『陽菜さんを手助けしたい』とは言いませんよね?」


優地が言おうとするのを遮って天音が言う。

黙り込む優地を見て、天音は呆れながら言う。


「この前も言ったでしょう。今のあなたは無力なんです。」

「それはそうですけど…!」

「あなたは魔獣に対して何もできない。それどころか、足手まといなんです。陽菜さんのことを思うなら、せめて安全な場所にいてください。それがあなたのためであり、陽菜さんのためにもなるんです」

「でも…!」

「じゃあ優地さんにはなにかできるのですか?」


天音の問いに、優地は答えられない。


「優地さんのお気持はわかります。でも今は、安全なところへ今すぐ行ってください。」


そう言って天音は怪我人の確認にまわった。

優地は立ち尽くしながら自分の無力さに悔し涙を流すのだった。




一方、陽菜たちは魔獣のもとへ向かっていた。

薄っすらと魔獣の姿が見える。


「司令、魔獣の姿を視認しました!」

『二人とも、魔獣に接近し、順次攻撃を仕掛けてくれ』


そう言われると、二人は魔獣に接近し、攻撃を構える。

土煙で魔獣の詳細な姿は見えないが、魔獣の影に向かって二人は攻撃を繰り出す。


「ハードヴァッサー!」

「プラグマ・ルーチ!」


二人の攻撃は魔獣に命中する。しかし、攻撃は全く聞いていないようだ。

魔獣は二人に向けて何かを投げつける。

二人はとっさに避けようとするが、投げられた何かを見て動きを止める。


「あれって…人!?」


陽菜は驚き、大きな声を出す。投げられた人は、勢いが落ちないまま、二人の方へ飛んでくる。


「ハイドロ・ストリーム!」


徳姫は咄嗟の判断で大量の水を広げ、飛んできた人の勢いを抑える。


「陽菜ちゃん!」

「はい!」


徳姫の合図とともに、陽菜がフィリア・シールドを貼る。

陽菜のフィリア・シールドによって人は動きを止める。


「…良かった、息はしてる」


徳姫が飛んできた人の息を確認する。意識はなかったが、幸い呼吸は止まっていなかった。


「良かった…!」


安堵する陽菜。しかし―――


「よく受け止めた…と思ったら、お前たちだったのか」


どこから聞こえた声なのか。二人はあたりを見回す。


「おいおい、目の前にいるだろ?」


すると、目の前を覆っていた土煙が晴れる。

まさかと思い、二人は魔獣の方を向く。


土煙から、やがて、近くにあったビルと同じくらいの大きさの魔獣が姿を現す。

人のような二つの足に四つの腕に鋭い爪、翼、そして首から生える三つの首と―――獅(・)子(・)の顔。


「まさか…レオ!?」

「ああ…これが俺の、最強の姿だ…!」


巨大な魔獣―――レオはその姿を現し、二人の前に立ちはだかるのだった。

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