休暇
続きました。
どうやら鉤爪君とデュークが帰還した様だ。
しかし普段よりも機体の損傷が激しい。
デュークが居ながらこのダメージだ。
おそらく何かあったのだろう。
俺はデュークの元へ向かった。
そして、所属不明機について聞いた。
報告書に書いて提出するそうだ。
それよりも驚いた事があった。
デュークは鉤爪君の事を女性と勘違いしているのだ。
実際に少年にも少女にも見える外見や技術班製の発声チョーカーもあって少女と思われても仕方がないと思うのだが、勘違いが加速していそうだ。
俺は一瞬、鉤爪君が男だと言おうと思ったが、面白そうなので黙っておこうと思った。
取り敢えず、鉤爪君にも伝えようと思い、デュークが去った後、鉤爪君の分のココアを入れるのだった。
任務から帰還後、デューク少佐はエリオ少佐と一緒に話し合いをしている様だ。
構って貰える気配も無いので、テレビを見ることにした。
『次のニュースです。1週間前に自立型兵器の襲撃を受け、前線基地が壊滅し、甚大な被害が発生しました。ですが、駆けつけたデューク少佐の活躍で奪還に成功しました。』
デューク少佐のニュースだった。
映し出された場所はどこか見覚えのある場所だ。
『彼について町の人達に聞いてみました。』
『基地はダメになってしまったけど、彼のお陰でまだ戦えると思うんだ。』
『彼はこの国で1番のギガントよ!強いし、イケメンだし!』
『やっぱり最強のギガントといえばデューク少佐だよね』
『デューク少佐しか勝たん!』
『おーきくなったら、デュークしょうさみたいになりたい!』
『…とのことだそうです。彼の更なる活躍を祈ります…では…』
テレビの電源が切られた。
リモコンがあった方を見るとデューク少佐が居た。
「ニュースを見ていたのか…最低だろう、なんせ前線基地を壊したのは俺なのだからな…」
初めて会った時、彼は基地を吹き飛ばした。
大勢の人々と共に…
けれど、俺を助けてくれた。
だから…
「助けてくれて…ありがとう…」
「…すまない」
そう言い、彼は去って行った。
俺は最低な奴だ。
今までに何百人も殺してきた。
敵も、味方も、全て殺した。
最初の間は敵を殺すだけでも辛かった。
しかしそれに慣れてしまった。
そうして戦場で敵を何度も何度も殺す内に、妹を…巻き込んだ。
知らなかったんだ。
俺は軍に入ってギガントとなってからも手紙を送っていた。
返事は無かったが、何処かで幸せに生きていると信じていた。
しかし、現実は非情だった。
俺はいつもの様に任務に出て、自立型兵器相手に戦闘をし、帰還しようとしていた。
しかし、見覚えの無い所属不明機を発見し、報告すると緊急で目標破壊の任務が任された。
俺は追いかけてそして、戦闘を開始した。
場所は都市で建物が多かった。
複数のビルに被害を出したが、目標を破壊した。
だが、気づいてしまったんだ。
自分が足場に使い、崩れたビルに見覚えのある顔が見えた。
俺と同じの金髪碧眼…陶磁器の様に綺麗な肌…整った顔立ち…間違いなく妹だった。
綺麗な肌は赤い血に濡れて、生気を感じない目で此方を見ていたのを覚えている。
俺は迷わずコックピットから飛び出して、瓦礫を退けようとした。
暫くすると救護班も来て救助されたが、深刻な状態だった。
軍の病院に運び込まれて治療を受けたが、目を覚ます事は無かった。
生命維持装置を装着され、生かされている状態だ。
医者には意識を戻すかは分からないと言われた。
治療を続けるには莫大な金が必要だった。
もう、どうすれば良いのか分からなかった俺に、軍上層部の高官から声がかかった。
「お前が我々の命令通りに動き、例え相手が味方であっても殺す、と約束するのならば…お前の妹の治療を支援しよう。」
俺は迷わず手を取った。
そこから俺の専用の機体、アクセルを用意されて、様々な任務を振り当てられた。
そして他国の基地の破壊任務や、敵対ギガント撃破任務をこなした。
俺が任務を成功させる度に、テレビでは俺の戦果が放送された。
そうして俺は英雄となった。
町を歩けば大勢の人に声をかけられて、感謝の言葉を吐かれた。
だが、実際の所はどうだ?
俺は敵も大勢殺したが、上層部に味方を殺すよう指示される事が増えた。
だが、これも妹のためだと自分に言い聞かせた。
そうして英雄としての続けていく内に見られてしまったのだ。
鉤爪と呼ばれる彼女に…
更に同じ任務を共にした。
その任務中彼女は未確認機による襲撃を受けた。
未確認機と戦闘中の彼女を見て、俺は思ってしまったんだ。
このまま助太刀に入らなければ彼女は死ぬと…
そうすれば俺があの日、破壊した基地の事も明かされる事は無いだろう。
しかし、助けてしまった。
彼女が死ぬ姿を想像した瞬間、あの時の妹の事を思い出させた。
そして、気づいたら機体が動いていた。
そんな俺に彼女はお礼を述べたのだ。
俺は最低だ…
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