表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おもちゃの村の、ひとりぼっちのシュガー

作者: すっとぼけん太
掲載日:2025/09/09

いちばん欲しかったのは、いっしょに笑える“ともだち”でした。

むかしむかし、世界のどこかに、

時間に取り残されたような不思議な村がありました。


「おもちゃの村」と呼ばれるその場所には、

ころころ転がるボールや、おしゃべりする人形、

独りでに歩き出すクマのぬいぐるみ……。

たくさんのおもちゃたちが、楽しそうに転がっていました。


なぜかというと――その村に住むシュガーという女の子が、

人をおもちゃに変えてしまう魔法を持っていたからです。


シュガーは毎日、新しいおもちゃを生み出しては、夢中で遊びました。

それはそれは、にぎやかで楽しい日々でした。


けれど、ある日。


村の最後のひとりまでをおもちゃに変えてしまったあと、

村から笑顔も、返事も、温かなぬくもりも、すべて消えてしまいました。


それを見て、シュガーはふと思ったのです。


「ひとりで遊んでも、ちっとも楽しくない……」


――そして次の日、クリスマスの朝。


シュガーは、そっと自分自身をおもちゃに変えました。

それは、いつか新しい遊び相手が、この村に訪れて、

自分と遊んでくれることを願った、祈りのような気持ちだったのかもしれません。


それから、長い長い時が流れて――1000年後。


ひとりの旅人が、その村を見つけました。

彼は、微笑むように眠る小さな人形を、壊さないようにそっと抱き上げました。


「その人がね、このお店をつくったんだよ」


パパはそう言って、優しく微笑みながら、おとぎ話を締めくくった。



「ねえ、あなた」


ママが少し不思議そうに、パパに尋ねた。


「さっき、娘たちに何を話してたの?」


「……」


「だって……せっかくクリスマスにトイザらスまで来たのに、


 この子たち、――“何もいらない”って言うのよ」

◇あとがき◇


これは、随分昔の、実は……実話です。(笑)

クリスマスにトイザらスへ行ったら、4歳と5歳の娘たちが本当に「何もいらない」って、

悲しい顔で言い出してしまいました。


原因は――どうやら、妻が店のトイレに行っている間に、童話仕立てに語ってしまったこの話。

……完全にやらかしました。


おかげで妻から「せっかく来たのに!」と叱られ、

私は小さくなってレジ横のウサギのぬいぐるみを握りしめる羽目に(笑)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
大変微笑ましいお話しをありがとうございます。 心温まりますね。 娘さん達の心が優しい!!!お父さんは昔からお話作りが上手だったと言うことですね。 出費が少ないクリスマスにバンザイ とは 思いませんが(…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ