この魔王、しゃべるぞ!?
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」
「五月蠅いぞ!黙れ小僧!!」
「お前の方が小さいだろ!!?それになに平然と喋ってんだよ⁉」
「人族などこんなものだろう?」
...えっ?俺がおかしいのか?
というかこの喋り方なんか聞き覚えがあるような...
「お前…もしかして魔王か?」
「ほう?なぜわかった?」
やっぱりか。まさかこいつも転生しているとは思わなかった。
「俺が元勇者だからだよ!」
「あぁ、合点がいった。しかしまたどうしてそのようなちんちくりんになっているのだ?
それに以前よりも強化魔法の浸透率がかなり低いだろう」
「俺が聞きたいよ。というかお前こそ赤ん坊になってるじゃないか。」
「ああ確かに、この体では少々不便だな」
「"生命の息吹”」
おぉ魔王の体が光輝き、体がグングンと成長して...成長していないな?5歳児ぐらいで止まっている。
「…あんま成長してなくないか?」
「だな。どうやら魔力が足りないようだ。」
やっぱり人になった影響なのだろうか。
魔王は大陸中の魔物に強化魔法を施してもまったく底が見えないほどの無尽蔵の魔力を持っていたのだが。
「かなり魔力量が少なくなっているようだ。いまは精々ひよっこ魔術師程度しかないな」
グゥゥゥゥゥ~
「魔王、腹減ったのか?」
「ああどうやら魔力が足りなかったせいで必要な栄養が補填できていないようだ」
「ちょうど良かった。アレ旨いぞ。」
俺はオークを指さす。
「…はぁ?お前は何を言っている?脳みそまで幼児になったのか??」
「なにがだよ?オーク旨いぞ。というか俺ってそんなにちっちゃくなってる??マジ!?」
「あとで幻影魔法で見せてやる。いやそんなことよりもあれはオークだぞ??豚人だぞ??人族は共食いをするのか!!?」
そういうことか。魔王ってそんなとこ気にするんだな。こいつ連合国軍を殺しながら高笑いしてたんだけどなぁ。
「豚と変わらんだろ」
「いや人だろ!?」
「まあ食わないならいいや」
俺も腹が減ったし勝手に焼いて食うとしよう。
...旨いな。だがさっきから魔王がずっとガン見してくる。
「食うか?」
「フ、フン、貴様がそれほど食わせたいというのならば食ってもやってもいいだろう」
「そんなこと言ってないんだが…まあいいや。ほれ」
「........(ガツガツハグハグ)」
随分夢中なようだ。
「そんなに旨かったか?」
「(........モグモグゴックン)悪くはないな、勇者褒めてやろう」
口の端に肉の欠片をくっつけながら喋っていても説得力がないな。
「というかその勇者って呼ぶのやめない?俺にはアレンって名前があるんだ。」
「名前なんぞどうでもいいが。まあ我のことはマオーとでも呼ぶがいい」
「ほぼそのまんまじゃん…そうだ!しばらく一緒に行動しないか?」
「まあいいだろう」
こうして俺とマオーの二人旅が始まった。
あとで幻影魔法で自分の姿を見せて貰ったが、小さい上にガリガリだった。
俺の筋肉はどこへ行ってしまったんだ。(´;ω;`)