魔龍の尻尾を食べた為に強大な身体能力と再生力を手に入れた辺境伯爵家令嬢の恋愛事情
新作を投稿します。
読んで貰えたら嬉しいです。
私はルフワパ辺境伯爵家令嬢キリイカ。
私の家は力こそ正義だという家訓があります。
「あれ、保存食が切れてしまっています」
私も力を得ようと森で修行したのですが、うっかりと保存食を切らせてしまいました。
「何処かで木の実でも調達しないとなりませんね」
このままでは飢死してしまうので、一生懸命に木の実を探しました。
「お腹が空きました。もう動けません」
「ドサッ」
いよいよ餓死寸前になった時、空から大きな物体が落ちてきました。
「尻尾です。お肉です。頂きます」
尻尾が落ちてきたので、直ぐに齧り付きました。
「美味しいです」
その尻尾は生でも美味しくて、一心不乱に食べました。
「あぁ、美味しかったです」
「おい、そこの人族の娘。我の尻尾を見なかったか。飛行中に尻尾が生え変わり、この辺に落下した筈なのだが」
とても巨大な龍が現れて、尻尾を見なかったかと尋ねてきました。
どうしよう。
正直に白状するべきか、誤魔化すべきか、選択を迫られてしまいました。
「ごめんなさい。空腹だったので、私が食べました」
バレた時が怖いので、正直に白状しました。
「・・・・」
ジト目で見つめられて、恐怖に包まれました。
「我の尻尾を食べるとは、随分と度胸のある娘だな。気に入ったぞ。お前の名前を教えろ」
「キリイカです」
激怒するかと思ったのに、逆に気に入られてしまったようです。
「我は五大魔龍の雷撃龍だ。キリイカに我の加護を与えよう」
私の身体に物凄い力が流れ込んでくるのを感じました。
「ありがとうございます」
「また会おうではないか」
雷撃龍はそう言って、飛び去っていきました。
こうして私は強大な身体能力と再生力を手に入れました。
「少し力を試してみますか。えい」
「バキバキバキ」
近くの大木を軽く殴り付けたら、粉々に砕けてしまいました。
「・・・・」
どうやら私の拳に雷属性が付加されたようです。
とても危険なので、雷属性を制御出来るようにならなければなりません。
「ふぅ、何とか雷属性をを制御出来るようになりました」
雷属性を制御出来るようになったので、安心して帰宅しました。
「修行の成果を見せてみろ」
「分かりました。えい」
「ぎゃあああ」
父から修行の成果を見せてみろと言われたので、組み手をしたら、雷属性を完全に制御したのに、一撃で気絶させてしまいました。
雷属性を完全に制御しても、とても危険だと認識しました。
兄とも組み手をしましたが、やはり一撃で倒してしまいました。
「隣国の兵士が攻めて来ただと。直ちに迎撃に向かう」
「父上、私も迎撃に参加します」
「お前には早すぎる」
「私は父上と兄上を一撃で倒しました」
「・・・・分かった。但し無理は絶対にするな。お前は初陣なのだからな」
父は渋々私の参加を認めました。
国境付近で隣国の兵士と対峙しました。
やがて戦闘が始まりましたが、我が軍の方が劣勢になりました。
「父上、私が突撃します」
「「駄目だ」」
父と兄に止められましたが、敵兵に向かって突撃をしました。
「何だ。あの兵士は小娘じゃないか」
「あんな小娘を戦争に参加させるなんて、敵は正気なのか」
「もう我等の勝利は確定だな」
どうやら敵兵は私を侮っているみたいですので、直ぐに後悔させてあげますよ。
「何なんだ。あの小娘」
「信じられない」
「化け物かよ」
「おい、ヤバいぞ」
「逃げろ」
「駄目ですよ。全滅させるまで絶対に逃がしませんよ」
拳に雷属性を付加した状態で、敵兵を次々と殴り続けました。
「貴方で最後ですよ。総指揮官さん」
「た、助けてくれ」
「駄目です。覚悟して下さい」
「ぎゃあああ」
総指揮官を倒して、敵兵を全滅させました。
「「「「「「「「・・・・」」」」」」」」
愕然とした父と兄と兵士達にジト目で見つめられました。
どうやら呆れられてしまったようです。
「敵兵を全滅させるなんて、やりすぎだ。大馬鹿者」
正気に戻った父から激しく叱責されてしまいました。
「国王陛下との謁見の為に王都に向かう」
国王陛下が隣国との戦いの結果を聞き、私に会いたいらしいので、王都に向かう事になりました。
「ルフワパ辺境伯、直答を許す」
「陛下、お久し振りでございます。この者が私の娘のキリイカです」
「お初にお目にかかります。ルフワパ辺境伯爵家長女キリイカと申します」
「うむ、なかなか賢そうな令嬢だな。余が国王のハオウである。そなたの活躍は聞いておる。そこでだが王宮騎士団長と模擬戦をしてくれぬか」
「陛下、お戯れはお止め下さい」
「戯れではない。本気だ」
父が戯れだと拒否しようとしたが、陛下に本気だと言われた。
どうしましょう。
陛下は本気みたいだから、これ以上の拒否は不敬罪になるかもしれません。
「畏まりました。模擬戦をお受け致します」
「最初の一撃は避けないでおいてやる。何処からでも好きにかかってきた来い」
私を完全に舐めているのが、ムカつきます。
「本当に良いんですね」
「構わん」
「それでは遠慮無く、殴らせてもらいます」
「ぎゃあああ」
一応確認をしたので、腹部を軽く殴り付けたら、騎士団長は呆気なく気絶してしまいました。
「「「「「・・・・」」」」」
周囲が静けさに包まれてしまいました。
「今のは油断しただけです。もう一度やらせて下さい」
「見苦しいぞ。戦場では再戦などあり得ん」
気絶した騎士団長が再戦を願い出たが、陛下が一蹴しました。
「私なら構いませんよ。このままでは禍根を残すだけです」
「キリイカ嬢が構わないなら、再戦を認めよう」
しかし私が承認したので、再戦が決まりました。
「ぎゃあああああああああ」
今度は軽く雷属性を付加したので、大きな叫び声を上げて、完全に悶絶してしまいました。
「「「「「・・・・」」」」」
周囲から怯えるような視線を向けられてしまいました。
『キリイカ、聞こえるか。雷撃龍だ。辺境伯領に我の眷属のドラコンが向かっておる。そなたに我の加護を与えたのが気に入らないらしいので、悪いが対応してくれぬか。多少の怪我は負わせても、構わぬ』
雷撃龍からドラコンが辺境伯領に向かって飛行しているとの念話が届きました。
しかも私が目的らしいです。
「ドラコンが我が辺境伯領に向かって飛行しているだと」
「私が対応します」
父に報告して、私が対応すると伝えました。
「駄目だ」
父が反対したが、相手はドラコンなので、私以外が対応したら、多くの犠牲者が出るとゴリ押ししました。
「・・・・分かった」
父は渋々ながら了承してくれたので、ドラコンが飛行してくる方角に向かって、全速力で駆け出しました。
「ドラコン、待ちなさい。私が雷撃龍の加護を与えられた人族の娘です」
「お前が雷撃龍様の加護を与えられた身の程知らずの人族の娘か。死ぬが良い」
どうやら話しが通じる相手じゃなさそうですので、実力行使しかなさそうです。
ドラコンがブレスを放ったが、私には傷一つ与えられませんでした。
「そんな馬鹿な。我のブレスが効かないだと」
「今度はこっちの番です」
私は跳躍して、ドラコンの顔面に渾身の一撃を喰らわせました。
ドラコンは叫ぶ間も無く、気絶してしまいました。
「まだ戦うつもりなら、今度こそ容赦しませんよ」
「申し訳ありませんでした」
目覚めたドラコンは涙を流しながら謝罪した後に慌てて生息地に逃げ帰ってしまいました。
その現場を目撃した領民達が噂を広めて、『ドラコン泣かせの怪力令嬢』という二つ名を付けられてしまいました。
しかも王都まで噂が流れて、全ての貴族が私に恐れを抱いたみたいで、私の恋愛事情は崩壊状態になってしまいました。