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麗奈の親友、片山琥珀が眠る寝室にて
「琥珀にはね。ボクシンググローブがいいと思う!」
「じゃあジムにして行こうぜ!」
「いいね!琥珀喜ぶよ!」
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悠太のクラスメイト、浅井海と宝井静香が眠る寝室にて
「海と静香一緒に寝てんじゃん……ちょっと気まずいんだけど」
「取り敢えず子供の玩具でも沢山置いていく?」
「それじゃ二人の間に出来た子供のプレゼントじゃねえか!」
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同じくクラスメイト、佐藤唯の眠る寝室にて
「唯は悠太のことが好きだから悠太くん人形だね。寝室いっぱいに敷き詰めよう」
「それじゃ1個単価安いだろ……ていうか悠太くん人形って何?」
「唯が抱いて寝てるよ、お姉さんも持ってる。唯が作ってくれた」
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同じくクラスメイト、佐々木美鈴が眠る寝室にて
「こいつはこれ一択だろ」
「そうだね、それ一択だね」
「「等身大涼夏人形」」
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2人が救った大人の女性、神田美代子の眠る自室にて
「美代子は百合物の同人誌がいいと思う」
「……俺タイトルわかんねえぞ」
「大丈夫。お姉さんに任せて」
「おい!俺とお前が表紙に描いてあるぞ!なんてもの生み出してんだ!」
「これはお姉さんのやつ。美代子のは涼夏と美鈴のカップリングだよ」
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トラブルに巻き込まれがちな2人を、いつも助けてくれるドラ○もん的存在山本沙織の寝室にて
「この人にはいつも世話になってるからな。でもこの人には何をあげたら喜ぶんだろ」
「沙織は変態だから煩悩を清めた方がいい。もうすぐ大晦日だから除夜の鐘を置いて行こう」
「そんなもんいらねえだ……本当に出しやがった。まあいいか」
2人は走り回った。笑顔で、声を出して笑い合いながら。
麗奈は4年分、出せなかった声を出せて、変えられなかった表情を目まぐるしく替えて。
悠太は想い人の笑顔を見れて、嬉しくて。
そしてソリを走らせ、2人は春日家の菜月が眠る寝室へと帰ってきた。
あと2人、ノルマには足りていない。でも2人はもうお互いにプレゼントをすると決めていた。
「まずは菜月姉ちゃんを起こすか」
悠太が菜月の方を揺すった、普段から眠りの深い彼女だが、悠太が少し乱暴に揺すっても起きる気配はない。
「悠太、そういう時はこうすれば」
「……あぇ、おぁよう」
麗奈が菜月に手を当て念じると、菜月が眠たそうに目を擦りながら目を覚ました。
「麗奈の表情と声を戻せたならある程度の事は出来ると思うんだ、今からやるのは実験だ……これが出来れば俺は麗奈に最高のプレゼントを渡せると思う」
ワクワクした顔で話す悠太に、麗奈は微笑んで頷いた。
「多分、お姉さんも君と同じことを考えてると思う」
「じゃあ……やるぞ?」
悠太が手の平を下に向け、念を込めた。
発光し、光が収まると
「なんで俺ここに居るんだ?悠太と麗奈ちゃんが居るってことは……酔いつぶれたのか?」
先程まで自宅で寝ていたはずの雪人が現れた。
最高のクリスマスを過ごせる、2人は確信すると抱き合って喜んだ。
その様子を寝起きの大人2人が不思議そうな顔で見つめる。
「姉ちゃん!雪兄!もう1回クリスマスパーティーやんぞ!!」
悠太が叫ぶ。
「雪人さんもう1回料理を作って」
「パーティーするって言っても……今3時前だよ?」
菜月に言われ、2人が時計を見ると時刻は既に2時30分を刻んでいた。
「あのな、麗奈ちゃん……菜月は明日も仕事なんだ、寝かしてやらないと……って喋ってるし笑ってる!?」
きっと後30分で魔法は解けてしまう。そう思った2人は、やいのやいの言う大人を放ってお互いに手の平を向け、念を込めた。
先程までとは比べ物にならないくらいの眩い光が部屋を包み込む。
その場にいた全員の目が眩む。