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「姉ちゃん達も一緒に過ごせたらって思うとちょっとな」
『真姫も?(o´艸`)』
麗奈がスマホに文章を打ち込んで悠太にみせた。
麗奈は事件と家族の不幸が重なった結果、トラウマを抱える事となり、表情の喪失と声を失った。
彼女が人とコミュニケーションを取る唯一の方法。
それはスマホに文字を打ち込んで相手に見せること。
スマホに文と顔文字をつけて相手に見せることにより言いたいことと感情を表現する。
「あぁ、麗奈の妹なら俺の妹みたいなもんだろ、だから一緒にな」
『ありがとう(*´ω`*)』
亡くなった妹も家族だと言ってくれる心優しい彼に、麗奈は心が暖かい気持ちになると同時に、この場に妹が居たなら彼の傍を取り合って姉妹喧嘩が勃発してたのかな、と麗奈は思った。
「礼を言われるまでもねえよ。本当の事だ」
この2人が一緒に行動するようになったのは同じようなトラウマを抱えていたからだ。
真姫と葉月さんが生きていたなら、私達は一緒に居なかったかもしれない。
そう思うと麗奈は複雑な気持ちになった。
『悠太は、真姫や葉月さんが元気だったとしても……私と一緒に居てくれた?』
悠太の表情が固まった。恐らく悠太も同じ事を思ったのだろう。
「俺は、形を変えて結局一緒に居たんじゃねえか、どうせ琥珀さん繋がりで知り合ってただろ」
麗奈の方こそどうなんだ?悠太は口にしたかったが、言うのをやめた。
麗奈はモテる。その実男性恐怖症さえなければ、カッコイイ男性に告白されて付き合うことになっていたかも知れない。
もっとも、麗奈が読んでいる本のジャンル的に、悠太が心配するような事もない。
『そうだね(o´艸`)ならどんな形でもお姉さんと悠太は約束で繋がってただろうね』
「間違いねえな。さて、そろそろ寝るか」
「葉月ちゃんも、真姫ちゃんも案外きっと一緒にクリスマスを楽しんでるかも知れないよ」
限りなく正解に近い不正解を口にしたのは菜月だ。
彼女達は外で恨めしそうに眺めていただけで今は何やらよからぬ悪巧みにして尽力していることだろう。
でも、菜月の言葉は弟と妹みたいな同居人を安心させるには充分だったようだ。
「おやすみ麗奈、姉ちゃん」
『おやすみ(⊃ωー`).。oOアワアワ』
「ふふふ、おやすみなさい2人とも」
春日家の夜はフケていく。暖かい雰囲気を残して。
――――――――――――――――
「………………んん」
深夜2時頃。丑三つ時と言われる時間に、肌寒い感覚がして悠太は目が覚めた。
目を瞑ったまま寒そうに肩を抱いたが、着ていたパジャマの布の感触は感じられず、手で触れたのは自分の素肌だった。
「暑くて脱いだのか……?」
薄く目を開け、寝ぼけ眼で服を探そうと無作為に手を動かしたが見つからない。
悠太は一旦起き上がることにした。
「姉ちゃんめ……掛け布団を独り占めしてやがる」
寝相の悪い菜月が布団をかっさらって1人ぬくぬくと寝ている姿を見て悠太は多少の苛立ちを感じた。
「ったく……それじゃ暑いわけねえよな……ってなんだこれ!!!!」
何の気なしに下を見た悠太は、頭が一瞬で覚めるほどの衝撃に面食らった。
思わず叫ぶと、頭が真っ白になり静止した悠太の〈服〉の裾をグイグイと隣で寝ていた麗奈が引っ張った。
麗奈がスマホに文章を打ち込んでいく。
『なんで女の子のサンタクロースのコスプレしてるの……お姉さんにプレゼント?(o´艸`)』
悠太が首を回して麗奈に視線を向けると、麗奈もトナカイのコスプレになっている。
悠太は目を疑った。流石に麗奈が寝ている間にこの服を自分に着せたとは思えない。
「麗奈、お前もトナカイの格好になってるけど……」
『えっ!?あれ……ほんとだ……可愛い?(o´艸`)』
あまり驚かない麗奈に、悠太は大きな溜息をついた。
「あのな、もっと気にするところがあるだろ?誰が俺たちをこの服に着替えさせたんだ?」
『下に服を着てる感覚が無いんだけど、も、もしかして……悠太?(/ω\)』
「そんな訳ねえだろ。もし仮に俺がやるとするならコスチューム逆にするわ!!」
『えー、じゃあ、菜月?は無さそうだね。熟睡してる』
「姉ちゃんは寝たら朝まで目を覚まさないからな……一体誰なんだ」
『誰がやt』
犯人探しをしていた2人の元に、一通のメールが麗奈のスマホを揺らした。
「こんな時間にメール?一応見てみろよ。ていうか犯人が別にいるとしたら寝室に侵入したって事じゃねえか!」
『……:(;゛゜'ω゜'):一緒にみよ』
悠太は頷いて麗奈は肩を寄せあった。
麗奈の指がメールのマークをタップしようと動く。
2人は神妙な面持ちで息を飲んだ。
メール画面を開くとまず目に付いたのは、メールアドレスの存在しないメールだった。差出人の所が空欄になっている。
本来ならそんな事は有り得ないのだが、そもそも寝てる間に服が変わっている2人はそんなことでは驚かない。
『やあやあ、秋山麗奈さん、春日悠太くん。今日は楽しいクリスマス。君たちも家族団欒で楽しく過ごしていたね、私達も遠くから君達のことを見ていたよ』




