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天雪ホテル

作者: はやまなつお



G県の山の頂上付近に天雪ホテルがあった。


春夏秋は普通のホテル。



しかし雪が降る季節になると内容が変わる。


このあたりは11月始めから翌年の3月末まで雪に覆われる。



スキー客は来ないし設備も無い。

近くに遊び場も観光できる名所も無い。


しかし予約はいつも満員。




田舎だから広い駐車場があり、自動車・バスで、

老人と付き添いの2人の客たちがやってくる。


「いらっしゃいませ」初老の支配人が迎える。


介護する人と、介護が必要な杖をついた老人が、

ゆっくり降りてくる。


名前を付き添いの人に確認して、部屋に案内。

ごく簡単な食事を各部屋に運ぶ。


西洋式ホテルで各部屋にトイレ・風呂・水道・ベッドが付いている。


支配人は、日本式の大勢の温泉は、ガラの悪い奴が

嫌がらせをするので嫌っていた。


食事も大勢でするのはマナーの無い悪人がトラブルを起こしやすい。

そこで支配人は西洋式ホテルを作った。


簡単な散歩マップが部屋に置いてあり、たいていの人は散歩に出る。




そして夜。


各部屋は鍵を掛けていない。

というかこのホテルの客室はドアの鍵が無い。


痴呆症の老人たちは正気を失っていて自動ドアから外に出る。


散歩コースを徘徊して・・・。



翌朝、遺体を確認。

それぞれの場所に専用車で運んでいく。


天雪ホテルは、天国行きホテル。


本当に痴呆症で徘徊癖のある病人と、ボケかかっているが正気があり、

覚悟を決めて自ら雪の中に行く者の2種類がいた。


本人が希望すれば安楽死を認める制度が日本は無い。


老人は苦しみぬいて家族や周りに迷惑をかけまくって醜態をさらして亡くなる。

尊厳ある死を望めない。


大きい病院では安楽死は認めるべきだ。

それがかなわないならば。


支配人はそういう思いでこのホテルを始めた。


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