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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第二部 第二次プルミエ侵攻
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ティラドールの戦術

 琴葉隊は五人で簡単にミーティングを行ない、目撃があった時間の少し前から森に入ることにし、3日間の野営をすることに決定した。


午前中は各自自由としたが、結局は訓練に参加することになったため、皆それぞれの兵科へと混じるのだった。





 琴葉は弓隊の中でもティラドールに対し、徹底的に指導する。


加えて、戦術的なアドバイスも行なっていた。


「三矢斉射は良いと思うよ。精度は全く期待できないけど、相手部隊が突撃してきたときは、適当に三本も打てばどれか当るかも知れないし、何より、牽制になるから。むしろ、斉射って半分はそれが目的だしね」


今までは、その命中精度の低さから否定されることが多かった「三矢斉射」だったが、琴葉としては十分に評価していた。


ティラドールとしては相当嬉しかったようである。


「あと、わたしは間違って自分で刺したりしちゃうから、やらないことにしてるけど、ティラちゃんなら毒矢とかを使用しても良いと思う。狙撃と乱射で弓を使い分けしてるなら、狙撃用の方だけ毒矢にすれば、よりメリハリがついて良いんじゃないかなぁ」


琴葉は、自身ができない戦法ではあるが、と前置きした上で提案する。


「毒矢、ですか。何やら卑怯な感じもしますが・・・・・・」


騎士としてプライドもあり、何よりも真面目なティラドールである。


琴葉の言に一応の理解は示しつつも、難色を示す。


「ん・・・・・・。卑怯って考えは捨てた方が良いかも。剣を持って、遠くから走ってくる相手に一方的に矢を放つのも卑怯になっちゃうよ? 近接戦闘が得意な朝美ちゃんがわたしと戦う時点で、朝美ちゃんは卑怯者なのかな? 強いものが弱い者と戦ってるんだよ? 全くチカラの同じもの同士が、同じ条件で戦う以外は卑怯になっちゃう。わたしはちょっと、違う気がするなぁ・・・・・・」


琴葉はそう言って、考えるように人差し指を下唇にあて、真面目に考え込む。


「う、うーむ。確かに。そういわれると、確かに戦いとは全て卑怯の連続ではありますが」


ティラドールは理屈的に合っていることもさることながら、お互いの信頼関係やこの数日で見てきたものを鑑み、今までよりは柔軟に受け取ることができるようになっていた。


以前なら、この時点で、怒り、立ち去っていたであろう。


「申し訳ないけど、チカラが強いのは男性。破壊力のある矢を放てるのはティラちゃん以上にいるよ。でも、命中精度は軍でピカイチなわけだし、三矢斉射なんかの創意工夫するアイデアなんかも誰もマネできないと思うの。だったら、そこを磨いた方が良いんじゃないかなぁ? 高い命中精度と毒による殺傷能力が加われば、立派に狙撃要員になれるよ」


琴葉の言葉を一つ一つかみしめ、ティラドールは頷く。


「わかりました。検討してみます」


今までの考え方を変えるのには時間がかかるのであろう。


即答はしなかったが、結局自問自答し、数日後にティラドールは意見を取り入れることになるのだった。


選んだ毒は、やや遅効性のもので、解毒剤のあるものを選んだ。

琴葉は、櫓を作成させ、高い場所からの狙撃を特訓し出したのは、数日後のことである。


平地と、高所からの距離感、矢筋の違いなどを身をもって学習させる。


マンツーマンで指導を受けると、いかに琴葉の弓術が優れており、飛距離、命中精度ともにずば抜けているかがわかったのだが、ついぞ、そのコツの様なものはわからなかった。

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