敵は前面に横陣、奥は円形陣
フラハー側は対面に千の兵がいる。
両側の森に伏兵が二百五十ずついたが、敵が左右を抜けてきた場合と、それ以外の方向からの別の敵の出現のための兵であり、奇襲や挟撃などの目的での兵ではない。
よほどのことがない限りは、この戦闘には参加しないことになっていた。
つまり、騎馬のいない千の兵で、千八百の兵を迎え撃つことになる。
プルミエ側は素早く天幕など、拠点を構築すると、速やかに戦闘態勢に入る。
フラハーはプルミエが平野部に現れる二時間ほど前に、百人将、および琴葉隊を集め、作戦内容を伝える。
「結論から言おう。相手は二千。おそらくはこれに少し足りないくらいだろう。五千には及ばない。従って、さらに第六次の侵攻があるかも知れぬ。とはいえ、ここで殲滅すれば、残りは三千。それほど規模が大きくなるわけではない。二千も三千も同じようなものだからな。ゆえに、次の侵攻も視野に入れて、罠なし、策なし、騎馬なしの無策で正面から撃破する。ただし、人数的には負けているので、後詰めの予備隊と弓兵、工兵のみ追加で五百ほど砦から呼び寄せた。戦闘が開始されて、三十分で参加するように指示を出している。でも、この戦力は期待しないでくれ。原則として、今いる千の兵で今日一日で決着をつけるから、短期決戦と心せよ」
王はそういうと、一人一人の顔をみやり、質疑応答に入る。
しかしながら、誰も質問することはなく、皆が自信を持って一様に頷くのみであった。
この一ヶ月、何度も模擬戦を繰り返したこともあり、千で倍の二千を相手にすることに何の不安も無い状態であった。
一番厄介な、左右の森を抜けてくる心配をしないで済む分、正面のみに集中できるのがありがたい。
かくして決戦の火蓋は切って落とされた。
相手の陣形が整うのを待ち、それに応じてこちらの布陣を決定する。
プルミエは自国の兵数が多いことから、正面に兵千二百で横陣を展開し、おそらく指揮官がいると思われる本陣を六百の兵で円陣で八方に対して警戒している。
なかなかに的確な判断であろう。
〇| といった感じだろう。
プルミエとしては、左右の森からの奇襲や後ろのホルツホックの森からの奇襲も想定しないといけない。
円陣は妥当である。
そして、正面に対しては横陣を選択したようだ。
今回は防御を意識したのだろう。
横陣は一点突破される可能性があるが、奥に円陣を組んでいる以上、中央部が厚いのと同義である。
それよりは数による圧をかけ、前進制圧をかけ、変形可能な横陣を選んだことは正解と言える。
ただ、横陣は全て軽装歩兵で構成されており、重装歩兵と弓兵が円陣を形成している。
このことからも、本陣の守りを厚くし、守備に振っていることがわかる。




