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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第一部 第一次プルミエ侵攻
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フラハー国へ

 結局、一度も戦闘を見ることもなく、平野部まで移動することとなった。


兵士が二名、森の出口である平野部へと同伴してくれた。


これには途中、罠にかからないようにという配慮のようだ。


この平野部に至るところまで既に広範囲に罠を仕掛け済みなのだろう。


兵士が言うには、この平野部に至る直前の半日くらいの行程の範囲には、捕縛系の罠を中心に仕掛けており、


即死するようなものは使用していないとのことだった。


なので、この近隣で琴葉達が哨戒業務をする分には、少なくとも安全性はある程度担保されているといっても過言ではない。


どこまでいっても、手抜かりが無い。





 四回目の侵攻は今までの周期でいうのであれば、七日から十日後くらいであろう。


平野に一番近い集落からということもあり、ここまでは、半日しかかけていないので、丸々一週間は余裕がある。


既に先の巡回によって、おおよその森の中は理解しているため、罠さえなければ、哨戒業務は今からでもできる。


それよりは、平野を十分に散策することと、フラハー国への顔通しをしておいた方が良いだろう。


ホルツホックへ来る最中に寄ったときはボクスネー峠というエムエール国の玄関ともいうべき山間部の関所から、ずっと馬車で移動していたため、琴葉達は馬車より降りることがなかったのだ。


従者が全て通行の挨拶をしており、琴葉達は完全に秘匿されていた。


これは琴葉達自体が重要な国家機密であると同時に、必要以上に他国の情報を琴葉達に与えることを防ぐという体裁を取ったためであろう。


ただ、道中に受けた一般的な知識としての説明でおおよそは理解している。





 フラハー国は森林の騎士の異名を持つ国家である。


国内最強の戦士が王を称し、世襲はない。


ホルツホックの森を突破された際に、正攻法で迎撃に当たることを信条とした国家である。


森の優位性など、地理的なハンデがなくとも、正面からでも勝てるということを信じて疑わず、小手先の戦略を嫌う。


東西南北にまとまった軍隊を哨戒させ、大規模戦闘による魔獣・魔族の討伐により宝石を稼ぐが、水や食料、その他物資については、カンナグァ内の他の国からの支援によって成り立っている。


いざという時に防衛戦の矢面に立つことで、それらの恩に報いることだと信じており、その信義なども含め、騎士と称されている。


なお、森の中で、数少ない軍馬を用いた戦いが可能である。





 そして、もともと希少な存在でもあるのだが、魔法を使えるものは国内に皆無である。


これは、魔法を軽視しているわけでは決して無く、差別でもない。


むしろ、名誉であり、特別視される傾向にすらある。


平野部の北、砦より北北西の森を抜けたところにフェルゼン国のマギーという村がある。


ここに送られているとのことなのだ。


マギー村は北からの異民族の襲来や南から迷い込んできた敵に対して、まともな防衛力を持っていなかった。


それ故に、基本的には少なくとも南の森からの敵に対しては、フラハーが警備を担うというのが暗黙の了解となっていた。


しかし、常時兵を駐屯させるというのも限界があるため、その代わりに魔法が使えるものが生まれた際は、この村に移住することとなっていた。


これは、移住する魔法使いも望んでのことである。


もちろん、非戦時であっても、巡回業務は常にしているし、定期的に駐屯することも行なっている。


本来はフェルゼン国の村であるが、弱気は守るという精神から来ているらしく、カンナグァ連邦の森の騎士を自称しているだけあって、守護対象は自国民に留まらない。


なお、弱い者が知恵を絞り、奇策を持って戦うことや、ホルツホックのような罠や上からの襲撃、夜襲、場合によっては素通りさせるといった戦略は認めており、あくまでも、「力を持ったものが策を弄するのを嫌う」ということである。


自分たちは強いという自負が根底にあるのだ。

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