続く侵攻とつぎの作戦行動
かくして、四度目の侵攻はさらに一週間後にやってきた。
こちらとしても、罠を再度張り直すくらいしかできなかったのではあるが、今度は平野部への最短ルートを中心に張ったので、時間的ゆとりは十分であった。
予想通り、今度は五人一組で、百組、合計五百人の兵が投下されたのであった。
ホルツホックにどれだけの兵数がいるのかは琴葉達も不明だが、全戦力を投下すれば余裕で殲滅ができるであろう。
滞在している集落でも、二、三百人は戦力がある。子供や女性も含めてではあるが。
仮に十の集落があれば、ゲリラ的に千の戦力に対しても迎撃が可能ではないかとのぞみは考えていたのである。
五百という数字はかなりまとまった数字ではあるが、対応できない数字ではない。
実際に、千人規模の戦闘を後詰めのフラハー国が動けないときに迎撃した過去がある。
あくまでも感覚的にだが、森を抜け、たった一人でも平野部に到達するだけが目的でも、困難だと思われた。
なので、この四回目も相手にとっては殲滅を覚悟した手探りだと思うが、さすがに累計で死者五百人を超えると、国に厭戦の空気が出るし、国力にも影響は出るであろう。次につながる何かがない限りは五回目は存在しない。
逆を言うと、次につながる何かがあれば、五回目はある。
のぞみたちは、ホルツホックがどの程度迎撃をするつもりなのかを推し量っていた。
四回目の侵攻が告げられると、族長より、最後の通達として使者が来た。
最初に集落に案内に立った兵が伝言を伝えに来る。
「今日、フラハーに向かって欲しいとのことです。そして、一つお願いがありまして」
「承知しました。お願いとはなんでしょうか」
のぞみが尋ねる。
「平野部に出る前に、敵国の兵が行くと思います。そこで平野部に到達した兵を極力殲滅して欲しいのです。ただ、少なくとも数名には平野部の存在を見せた後、取り逃がすという条件がつくのですが」
のぞみが承知すると、兵は敬礼し、小屋から出て行った。
「平野部を見せるってのは、五回目につながる何かってやつのことだよな?」
朝美は出立の準備をしながら、のぞみに尋ねる。
「そういうことだろうね。平野部までの方向、距離がわかって、平野部の広さまでわかれば、相手にとっては目標ができるからね。次は千人規模の隊をそこに到達させられれば拠点構築ができるし、フラハーとの決戦が可能だからね。ようやくゲリラ戦ではない戦闘のステージに立てる」
「森で勝てなくて、平野で勝てるっていう思い込みがよくわかんないよね」
琴葉が人差し指を唇の下にあてながら呟く。
「ボクもそう思うんだけど、オーギュス連合国は大人数での部隊編成を活かして平地で正面衝突するっていう戦闘が基本だからね。少しでも自分たちの戦いやすい地形になれば十分勝てると思い込んじゃうんだと思うよ」
のぞみはそう言いつつ、
(逆に、ゲリラ戦なら勝てるっていう思い込みも本来なら捨てなきゃいけないんだけどね)
と思ったので、どっちも人間は都合の良い方に考える生き物なのだということにかわりはない。




