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カンナグァ戦記  作者: 樹 琴葉
第一部 第一次プルミエ侵攻
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防衛作戦会議-前編

 会談後に、滞在用の小屋を借り、五人で作戦会議を開く。


現実的な問題として、今後の方針を話し合うことになっていた。


小屋に案内されるなり、両手を腰にあて、胸を反らして高らかに笑う琴葉に朝美がげんこつを落とし、調子に乗り気だとか、無礼だとか、説教をしていたが、このままじゃ始まらないと思ったのか、珍しく


「で、具体的な防衛作戦じゃが、嬢ちゃんたちはどうするつもじゃ?」


と、アス老人が口火を切る。


横目で、朝美と琴葉のやり取りを見ながら、のぞみが答える。


「あまり考える余地もなく、王道で良いと思います。というか、それほど選択肢がないので」


アス老人はにっこりと微笑む。


「そうじゃなぁ。だが、次戦をどうするかの方が問題じゃなぁ」


朝美は琴葉との口論を止め、会話に参加する。


「まぁ、普通に考えれば、地上に罠を仕掛けて、上から迎撃だよなぁ。地上部隊として小手先の囮や誘導なんかはやったとしても」


「うん。基本的にはそれがベストだよね。ボクが言う王道ってのはそれであってるよ。もちろん、朝美ちゃんが言うような地上部隊や囮、誘導なんかも含めてね」


一通り、同意すると、続ける。


「侵入箇所も、今までの戦史から平野部があることは知ってるだろうし、そこを目指している可能性は高いと思う。ちょうど、真東に進むのが行軍的にも楽だし、間違うことも少なくなるから、自ずと、侵攻ルートは決まってくると思う。予測は楽だよね」


「でも、それは敵だってわかってんじゃねぇのか? あたしたちが予測できるわけだから、さ」


本気ではないが、一応朝美も意見する。


「そうだね。ただ、裏の裏とか考えたりすると、結局は正着が見えないと思うんだよね。疑ってかかったら切りないし」


確かに、と呟いて朝美は頷く。


「変に曲がりくねった行軍は、いたずらに距離と時間を延ばすだけだし、撤退時も迷子になりやすいからなぁ。向かった方向に大規模な駐屯地が期待できそうな情報があるんだったら、たとえ罠があったとしても、最短で目指す方がリスクは低いか・・・・・・。方向感覚を間違わないためにも、逆算して、目標地点を真東になるように、真西から森に侵入する、と」


朝美は納得したように重ねて頷く。


ようやく琴葉も参加する。


「平野って、ここに来るときにあったとこ?」


一同は、きちんと覚えていたのか! という驚きを持って見る。


「そ、そうだよ、琴葉ちゃん。よく覚えてたね!」


この国に入る直前に、森の中に開けた平野部を通ってきたのだ。


一応管轄はフラハー国になっており、森の騎士と呼ばれる騎士団が防衛の中心をになっている。


西側のオーギュス連邦国の軍隊形式に非常に似ており、重装騎兵、弓兵、槍を持った歩兵の密集戦法など、ゲリラ的と言うよりは、正規の軍隊として十分機能する。


その地は、戦場跡地といった感じで、ちょっとした塹壕や盛り土、柵などが散在しており、意図的に手をあまり加えていないのが明らかであった。


ただ、放置されていたと言うよりは、使い込まれた感じがあり、跡地と言うよりは、訓練地として今なお使用されているのかも知れない。


隘路のような地形ではないが、迎撃するには向いており、残置物から短期間で防衛戦を行なうことが可能なのは容易に見て取れた。


大規模な敵を引き込んで、大規模な戦闘で殲滅する場所なのだろう。


おそらくは一万人規模の戦闘も可能かも知れない。


ここを目指し、拠点を構築しようとするというのが、敵にとっての王道であろう。


そのためには、ホルツホックが治める森を抜けなければいけない。





「えへへ。森の中じゃ、私の朱雀弓が使いにくいからさぁ。ここなら最大限効果を発揮できるなって思った記憶があるんだよね」


そういって、また調子に乗っていたが、言ってる内容は的を射ていた。


琴葉の弓は東方の弓を起源としており、大型なため、一般的な弓矢よりも威力が大きく、遠くまで飛ばせるのが利点である。


これは朝美の投げ槍も同じであり、直線的に遠距離攻撃ができるとはいえ、木々が生い茂る森の中では存分に活かせない。


ある程度開けた地で、遮蔽物がないこと、距離があることが条件となるからだ。


褒めるとめんどくさいので、一同は微笑む程度にし、会議を続ける。


「アスじいさんが言ってた、次戦ってのは?」


朝美が話を戻すと、アス老人が応じる。


「うむ。敵が小出しに何回かに分けて戦争を仕掛けてきて、都度情報を持ち帰って経験とするのも厄介じゃ。一度にプルミエ国に決定的なダメージを与えられるのであればともかくのぅ」


「そうですね。ボクもそこが考えどころかなぁと思ってました」


のぞみも同意する。


「なるほど。つまりは、一度目はわざと負けるとか、手を抜いて、平野部の位置を確認させた上で、敵に大規模な軍を編成させる、と。その上で、平野部で決戦して壊滅的な打撃を与えるのが最良の策じゃないかってことか?」


朝美は考えをまとめるように言うと、のぞみの方を見る。


「ボクはそう思うんだけど・・・・・・。当然だけど、迎撃するフラハー国の協力を得ないといけないっていうのと、大規模戦闘はさけられないから、それなりの被害は覚悟しないといけないのが欠点なんだ」


一同は、いくら準備万端で迎え撃つと言っても、平地での軍隊同士での衝突に被害軽微というのが想像しにくく、完全ではないことを理解していた。


しばし、各自考え込むように、黙りこくる。

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