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匙の絆  作者: らむね。
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幼年編④

朝は雨が降っていたのに、卒園式が終わって園庭に出たら、嘘のように晴れていた。

濡れた桜の花びらを、太陽が照らしている。

「風中さん、卒園生代表、とってもよかったよ」と目を真っ赤にしたヒロミ先生に褒められて、急に明日から幼稚園には来ないんだという実感が湧いてきた。

園庭の水たまりに、花びらが落ちる。


卒園証書の筒でチャンバラをするらむねくんとゆさくんに、「ねえ!せっかくもらったのに壊れちゃうでしょ!」と怒る。先生が優しく言っても聞かないんだから、わたしが怒ってあげるの。

小学生になっても、こんな感じなのかな?


「いちみちゃん」

正門では写真撮影の順番を待つ家族たちで賑わっている。

先ほど歌った、さよなら僕たちの幼稚園を口ずさんでいると、くろまるちゃんが手を振りながら元気よく駆けてきた。

「みんなで写真撮ってもらお~」

くろまるちゃんとわたし、両脇にらむねくんとゆさくん。

誰かのお父さんが、「またすぐにランドセル背負って撮るんだけどな」と笑っている。


お父さん、お母さんたちが話している間、4人で「やくそく」をした。

卒園式の後に、これまで作ったものとか描いた絵とかを渡してもらったけれど、その中に「スプーンで作った人形」があった。4人の匙人形を重ね合わせる。

「おとなになっても、これ、ずっと持ってようね。仲良しの証拠だからね」


風が強く吹いて、すぐにやんだ。

桜の花びらが、みんなの頭の上でひらひらと舞った。

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