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匙の絆  作者: らむね。
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幼年編③

池のある大きな公園。ローラーの滑り台やら、網のジャングルジムやら、見たことのない遊具を前にして、興奮が抑えられない。

らむねと競い合ってジャングルジムのてっぺんまで無我夢中になって登る。

でも、小学生には敵わない。無言の圧力を受けて、2人してすごすご退散した。


てっぺんまで登れなかったことよりも、年上の小学生たちに負けたことが悔しかった。

ふてくされて他の遊具へ向かおうとしたところで、らむねに肩を叩かれた。

「あそこ、アヒルいるよ」

池から芝生の方へ、アヒルが上がってきている。

らむねと顔を見合わせる。

次の瞬間には、2人して駆け出していた。

「捕まえられるかな?」

「捕まえたらみんなにも見せてやろうぜ!」

アヒルは、こちらに気づいて「くわぁ!」と一声鳴き、池に踵を返した。

池の周りには、ロープが張ってあって、近づけないようになっていた。間一髪、アヒルはロープを潜って、追っ手から逃れた。

「逃げられた!」と悔しがる僕の横にいるはずのらむねが、アヒルの後を追ってロープを潜り抜けていった。

あっ。


びしょ濡れになったらむねが、チヒロ先生に怒られている。

あの後、らむねは見事に池へ転げ落ち、僕は慌てて先生を呼びに走った。

先生が駆けつけた時には、もうらむねは自分で池から上がっていて、「怒られる!」といった表情で立ち尽くしていた。

こいつ、馬鹿だなあと思いながら、本当は僕も最後まで追いかけてびしょ濡れになりたかったなあとか、でもチヒロ先生に怒られるのは嫌だなあとか、でも最後にはやっぱりこいつは馬鹿だよなあという思いに至った。

くしゃみをするらむねに、お弁当の時、おやつのポテトチップスを少しわけてあげよう。

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