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根無し草の終末世界生存紀  作者: たーろうすけ
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序章


 

 二年前。

 人間の国家連合と有翼人国家との間で五年に渡って続いた戦争が終わった。

 人間と有翼人。翼を持つ者と持たない者。

 有翼人の国[イデア]は浮遊する大陸に存在していた。

 そのため人間と有翼人が戦いを起こすことは稀であった。

 だが人間は空の大陸へと進行する手段を手に入れた。航空機の誕生である。

 それまでもドラゴンを手懐け騎乗する、飛行船の開発など空へと至る手段があったのだが、数が揃えられない・戦闘には欠点が多過ぎるなど国家レベルでの争いは起こり得ない規模であった。

 しかし、航空機は違った。

 工業力の発展による大量生産。空中戦においての従来とは比較にならない戦闘力。

 今までに比べ一線を画したその戦闘力に人間は歓喜した『これで、空の大陸を手に入れられる』と。

 宗教や文化の違いなどはあったが、大きな対立は存在していなっかた。

 だが人間は手に入れられるものが目の前にあると欲しくなるものである。

 適当な大義名分をでっち上げ人類は国家間連合[ノア]を結成。イデアへと宣戦布告をした。

 世界と単一国家。

 戦争は直ぐに終わると思われたが、そうはならなかった。

 人類側はいくら工業力が発展したとはいえ飛行機の生産には限りがる。

 しかし有翼人は主戦場となる空へと武器を兵士に渡せばそのまま送り込むことが出来る。

 この条件差は本来生まれるはずの数の差を逆転させた。

 だが、所詮は単一国家。

 イデアに味方する人類側の国家もあったがそんな奇特な国家は極少数だった。

 最初こそ攻勢だったものの徐々に押し返され、簡単に送り出せるはずの兵も装備も足りなくなる。

 もはや敗戦寸前。

 そんな時、イデアはある最終兵器を使用した。

 それは生物兵器。人類を地獄へと落とす悪魔のウイルス。

 そのウイルスは人類にだけ感染し一時間という極めて短い潜伏期間で発症する。

 発症率は百パーセント。感染してしまえば逃れることは出来ない。

 発症した人間は自覚症状のないまま突如として自我を無くし周囲の非感染者を襲い始める。

 そして襲われた人間は潜伏期間を経ることなく同じように発症。周囲の人間を襲い始める。

 この生物兵器の為にイデアは特殊部隊を結成。

 ノアの哨戒網をくぐり抜け軍施設、都心部、地方都市、その全てに上空から侵入しウイルスをばらまいた。

 この攻撃に、人類は成す術が無かった。

 まず都心部が崩壊した。

 抵抗する力など持たない一般市民は一瞬にして感染者となり周囲の人間を襲い始めた。

 一部の生き残った各国政府高官は感染の確認されていない地方へと疎開し臨時政府を設立。

 直ぐにイデアへの反撃の準備をしようとしたが既に各軍基地でもウイルスが猛威を奮い指揮系統が崩壊していた。

 そうして無防備となった臨時政府をイデアが見逃すはずもなく強襲。占領した。

 こうして国家間連合ノアは無条件降伏。

 人類は敗北し有翼人が勝利した、かに思われた。

 ウイルスが変異し有翼人にも感染したのだ。

 元々敗戦寸前の国家が急ごしらえで開発した生物兵器。

 自分たちに感染しないと分かった時点でワクチンなど作る時間などあるはずがない。

 そうしてイデアも、ノアと同じく国家としての枠組みを失った。


 かくして人類と有翼人。

 そのどちらもが一部の生き残りを除いて全滅したのである。

 

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