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私たちは頽廃している  作者: StellA
ある修道女の日記より
16/28

01

■8 dicembre 188X

 今日、私たちの家族が増えました。

 教会の前に双子が入った籠が置き去りにされていたのです。男の子と女の子。まだ生まれて間もない、本当に小さな赤ちゃんです。

 健康状態は良好でしたが、寒い日だから早く気が付いてよかった。

 役所に届け出ましたが、二人の名前が付いた戸籍はありませんでした。市外から連れてこられた可能性が高く、身寄りが見つかることはないであろうとのこと。

 ミルクを与えると、二人は手をつないで眠りました。

 ゆっくりお休みなさい。


■8 dicembre 188X

 リタとリコが救護院に来て、四年が経ちました。

 二人ともすくすく育っています。


 男勝りなリタと、彼女の後をついて回る気弱なリコ。

 私が「逆じゃないかしら?」と言ったら、双子のお姉さん分であるモニカが「二人はいつも一緒にいるから、どっちがどうでも構わないのよ」と言いました。

 確かに二人はいつも一緒。

 もし養子に行くとしても、二人一緒だといいね。


■14 marzo 188X

 リタを引き取りたい、と言う人が現れました。

 フィレンツェで商売をしている夫妻です。

 リタと同じ年の娘がいて、その遊び相手を探しているそうです。

 男の子であるリコを引き取る気はないと言われました。

 リタとリコに、リタには新しい両親ができること、その方について遠い町に行くこと、リコはついていけないこと、を話しました。


■15 marzo 188X

 昨晩、寝床から抜け出していたリタとリコが、早朝、礼拝堂で見つかりました。

 リタは右手に傷、リコは左手に傷があり、何か事件に巻き込まれたのかと尋ねたところ、二人は口を合わせて「二人の天使を見た」と言うのです。

 天の御使いは、二人に「離れ離れにならないように」と言って、一人がリタの右手を、もう一人がリコの左手を取り、祝福をしたそうです。

 皆は彼らが夢を見たのだと言いますが、だったら、彼らの手の傷は何なの?


 リタを引き取る予定の商人夫妻は、二人を引き離すことは忍びないと言って、代わりにモニカを引き取ることになりました。

 モニカは面倒見がいいから、新しい妹を可愛がるでしょう。彼女も綺麗な服を着て喜んでいました。

 これでよかったのだと思います。


■18 marzo 188X

 二人の傷が良くならない、心配。


(18日から28日の間の数ページは張り合わされていて開くことができない)


■28 marzo 188X

 バチカンから奇蹟を確認するための使者がきました。

 いっこうに良くならない彼らの傷が気になって、私が手紙を出したのです。


 彼らは二人の傷を見て、正式にそれが奇蹟の顕現だと認定してくださいました。

 また、彼らの傷口から流れる血には特別な力があることがわかりました。

 リコの血は試練を与え、リタの血はその試練から救済することができるそうです。

 二人の天使は、双子が離れ離れにならないように、対となるお力をお与えになったのですね。


 私は奇蹟にいち早く気が付いたことが評価され、彼らとともにバチカンへ行くことになりました。


■(汚れていて読むことができない)

 なんてこと。まさか(あとは切り取られていて読むことができない)


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