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■8 dicembre 188X
今日、私たちの家族が増えました。
教会の前に双子が入った籠が置き去りにされていたのです。男の子と女の子。まだ生まれて間もない、本当に小さな赤ちゃんです。
健康状態は良好でしたが、寒い日だから早く気が付いてよかった。
役所に届け出ましたが、二人の名前が付いた戸籍はありませんでした。市外から連れてこられた可能性が高く、身寄りが見つかることはないであろうとのこと。
ミルクを与えると、二人は手をつないで眠りました。
ゆっくりお休みなさい。
■8 dicembre 188X
リタとリコが救護院に来て、四年が経ちました。
二人ともすくすく育っています。
男勝りなリタと、彼女の後をついて回る気弱なリコ。
私が「逆じゃないかしら?」と言ったら、双子のお姉さん分であるモニカが「二人はいつも一緒にいるから、どっちがどうでも構わないのよ」と言いました。
確かに二人はいつも一緒。
もし養子に行くとしても、二人一緒だといいね。
■14 marzo 188X
リタを引き取りたい、と言う人が現れました。
フィレンツェで商売をしている夫妻です。
リタと同じ年の娘がいて、その遊び相手を探しているそうです。
男の子であるリコを引き取る気はないと言われました。
リタとリコに、リタには新しい両親ができること、その方について遠い町に行くこと、リコはついていけないこと、を話しました。
■15 marzo 188X
昨晩、寝床から抜け出していたリタとリコが、早朝、礼拝堂で見つかりました。
リタは右手に傷、リコは左手に傷があり、何か事件に巻き込まれたのかと尋ねたところ、二人は口を合わせて「二人の天使を見た」と言うのです。
天の御使いは、二人に「離れ離れにならないように」と言って、一人がリタの右手を、もう一人がリコの左手を取り、祝福をしたそうです。
皆は彼らが夢を見たのだと言いますが、だったら、彼らの手の傷は何なの?
リタを引き取る予定の商人夫妻は、二人を引き離すことは忍びないと言って、代わりにモニカを引き取ることになりました。
モニカは面倒見がいいから、新しい妹を可愛がるでしょう。彼女も綺麗な服を着て喜んでいました。
これでよかったのだと思います。
■18 marzo 188X
二人の傷が良くならない、心配。
(18日から28日の間の数ページは張り合わされていて開くことができない)
■28 marzo 188X
バチカンから奇蹟を確認するための使者がきました。
いっこうに良くならない彼らの傷が気になって、私が手紙を出したのです。
彼らは二人の傷を見て、正式にそれが奇蹟の顕現だと認定してくださいました。
また、彼らの傷口から流れる血には特別な力があることがわかりました。
リコの血は試練を与え、リタの血はその試練から救済することができるそうです。
二人の天使は、双子が離れ離れにならないように、対となるお力をお与えになったのですね。
私は奇蹟にいち早く気が付いたことが評価され、彼らとともにバチカンへ行くことになりました。
■(汚れていて読むことができない)
なんてこと。まさか(あとは切り取られていて読むことができない)