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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第6章 ランドン
78/146

6-11

 自分で言うのもなんだが、私たちはあっという間にニコラスを取り囲んでいた敵を蹴散した。

 あまり広くなかった通路が、敵兵の死体と我が軍の兵士たちでいっぱいになった。


「ジェンキンス隊はモルリークを攻撃! その他の部隊は門を開けて本丸を攻めろ!」

 ジェンキンスが叫び、他の部隊を城門へ向かわせた。

 たしかに、あまり広くない通路に人が増えすぎても、暇な兵士を増やすだけだ。

 そして、他の小隊が怖気づく中、マイクロフト小隊が前に出て、モルリークを包囲した。

 これにはさすがのモルリークも(あわ)てたらしく、ニコラスと斬り合いつつ、周りを気にして冷や汗をかいていた。


 ニコラスが後ろに飛んだ瞬間、

分銅鎖(ふんどうくさり)隊前列、投げろ!」

 マイクロフトが指示を出した。

 城壁の上の通路は少し窮屈だったが、幸いなことに分銅鎖を使える広さではあった。

 モルリークがその場で素早く(やはり常人離れした速度で)回転しながら分銅を弾いたが、そのひとつを叩こうとしたときに鎖が剣に巻きついた。

 敵に囲まれながら見慣れない武器への対応を余儀なくされて、さすがのモルリークも手元を狂わせたようだ。

 剣は使い物にならなくなった。

 モルリークがダームガルスの言葉で悪態をついた。


「陣形を作れ! 前列は盾、後列は槍!」

 すかさず、マイクロフトが指示した。

 分銅鎖隊が自分たちの役目は終わったとばかりに引っ込んだ。

 私は自分がいつの間にか「前列」と呼ばれる位置にいることに気付き、少し慌てながら、事前に持たされていた大きめの盾を構えた。

 その間にも、モルリークは手近な隊士たちを殴ったり蹴ったりの大暴れだった。

 モルリークは隊士たちから剣を奪おうとしたが、その度にニコラスが人垣の隙間から短剣を投げて牽制(けんせい)した

(ニコラスの短剣の内、1本は私の隣にいたケビンの盾に突き刺さった。私は短剣が奪われないように、盾から引き抜いて床に捨てた)。


「後列は槍で攻撃! 前列は陣形を崩さず、対象と距離を保て!」


 盾を構える私たち前列の肩越しに、後列の兵士たちが槍でモルリークを攻撃した。

 ニコラスなら槍を切り落として凌ぎそうな状況だが、剣を失ってはそういう無茶な戦術を取る訳にもいかないらしく、モルリークは舌打ちしながら上に跳んだ。


 さすがに前回の戦闘でニコラスの攻撃を避けた足だ。

 その跳躍力もニコラス以上だと、私は思った。

 助走のない垂直飛びだったのに高さ3メートル近く跳んでいた。

 モルリークはそのまま、私がいる側(ニコラスとは反対側)の王国軍兵たちの頭上に、盾を下に向けながら落ちてきた。

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