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自分で言うのもなんだが、私たちはあっという間にニコラスを取り囲んでいた敵を蹴散した。
あまり広くなかった通路が、敵兵の死体と我が軍の兵士たちでいっぱいになった。
「ジェンキンス隊はモルリークを攻撃! その他の部隊は門を開けて本丸を攻めろ!」
ジェンキンスが叫び、他の部隊を城門へ向かわせた。
たしかに、あまり広くない通路に人が増えすぎても、暇な兵士を増やすだけだ。
そして、他の小隊が怖気づく中、マイクロフト小隊が前に出て、モルリークを包囲した。
これにはさすがのモルリークも慌てたらしく、ニコラスと斬り合いつつ、周りを気にして冷や汗をかいていた。
ニコラスが後ろに飛んだ瞬間、
「分銅鎖隊前列、投げろ!」
マイクロフトが指示を出した。
城壁の上の通路は少し窮屈だったが、幸いなことに分銅鎖を使える広さではあった。
モルリークがその場で素早く(やはり常人離れした速度で)回転しながら分銅を弾いたが、そのひとつを叩こうとしたときに鎖が剣に巻きついた。
敵に囲まれながら見慣れない武器への対応を余儀なくされて、さすがのモルリークも手元を狂わせたようだ。
剣は使い物にならなくなった。
モルリークがダームガルスの言葉で悪態をついた。
「陣形を作れ! 前列は盾、後列は槍!」
すかさず、マイクロフトが指示した。
分銅鎖隊が自分たちの役目は終わったとばかりに引っ込んだ。
私は自分がいつの間にか「前列」と呼ばれる位置にいることに気付き、少し慌てながら、事前に持たされていた大きめの盾を構えた。
その間にも、モルリークは手近な隊士たちを殴ったり蹴ったりの大暴れだった。
モルリークは隊士たちから剣を奪おうとしたが、その度にニコラスが人垣の隙間から短剣を投げて牽制した
(ニコラスの短剣の内、1本は私の隣にいたケビンの盾に突き刺さった。私は短剣が奪われないように、盾から引き抜いて床に捨てた)。
「後列は槍で攻撃! 前列は陣形を崩さず、対象と距離を保て!」
盾を構える私たち前列の肩越しに、後列の兵士たちが槍でモルリークを攻撃した。
ニコラスなら槍を切り落として凌ぎそうな状況だが、剣を失ってはそういう無茶な戦術を取る訳にもいかないらしく、モルリークは舌打ちしながら上に跳んだ。
さすがに前回の戦闘でニコラスの攻撃を避けた足だ。
その跳躍力もニコラス以上だと、私は思った。
助走のない垂直飛びだったのに高さ3メートル近く跳んでいた。
モルリークはそのまま、私がいる側(ニコラスとは反対側)の王国軍兵たちの頭上に、盾を下に向けながら落ちてきた。




