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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第6章 ランドン
77/146

6-10

 城壁が邪魔でニコラス自身の姿は見えなかったが、ヤツが立っている場所ではド派手に血しぶきが舞い、城壁の外へ死体が放り出されたので、とても分かりやすかった。

 ニコラスの戦果を誇示するのにこれ以上の演出はなかった。


 敵はもはや城壁上のニコラスに気を取られ、外の軍勢どころではなかった。

 当然、王国軍はこの隙を逃さず、攻城櫓(こうじょうやぐら)を城壁につけた。

 マイクロフト小隊も前に出た。

 少なくなったとはいえ、まだ矢が飛んでくるので油断はできなかったが、それでも隊士のほとんどは無事に攻城櫓までたどり着き、急かされながら梯子(はしご)を上った。


 今になって思うと、マイクロフトが秘策として用意したこの作戦は、戦闘開始の時点ではニコラスが本当に城壁を越えられるか確証がない上に、城壁の上に登れたとしても彼が敵に囲まれることが必至なので、割と無茶なところがあったと言える。

 だが、実際にニコラスが城壁を乗り越え、敵に囲まれても一騎当千の活躍を見せている以上、作戦は間違いなく「これ以上ない成果」を上げていた。


 攻城櫓を登りきった所や城壁に飛び移るポイントで敵軍の妨害に遭うと覚悟していたが、マイクロフト、ナヌラーク、バートンが先頭に立って敵軍を()き分けると、3人に気圧された多くの敵兵が逃げ出した。

 そのため、私たちは問題なく城壁の上に踏み込むことができた。


 城壁の上では、ニコラスが敵兵たちに囲まれながら、ひとりの戦士と斬り合っていた。

 前回の戦闘でさんざん見た動きだったので、私にはモルリークだとすぐに分かった。

 モルリークは今日も右手に剣、左手に盾を装備していた。

 モルリークの足がニコラス以上に速い上に、敵に囲まれている分、ニコラスの方が不利な状況だ。

 私たちは急いで加勢した。

 マイクロフト小隊の腕の見せどころだ。

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