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10月17日、我が軍はランドンに攻撃を仕掛けた。幸いにして、この日までに雨は降らなかった。
私たちが教練に勤しんでいる時間で工兵たちが作った攻城櫓は、たしかに8メートルの城壁を乗り越えられる高さとは聞いていたが、私の想像よりもはるかに大きかった。
外側にはまだ湿った動物の皮が貼られており、強烈な獣の匂いが鼻を突いた。
兵器の意匠にしては変なセンスだと私は思ったが、これは火矢を使った火攻めへの対策だと、サマセットが身振り手振りを交えて教えてくれた。
敵が籠城ではなく野戦に打って出る可能性もなくはなかったので、私たちは騎兵隊に続いて最前線に配置されて行軍した。
この日のマイクロフト小隊は少しばかり特殊な装備をしていた。
マイクロフトを含む皆は大きめの盾を持たされただけで、あとは前回の戦闘と同じく動きやすい程度の厚さの鎧だったが、副長のレイモンド・バークだけは体中を覆う厚い鎧に、顔にはチェインメイルをつけ、乗っている馬にまで鎧をつけているという、いかにも動きにくそうな格好だった。
何人かの隊士は武器として分銅鎖を持っていた。
彼らはこの1ヶ月ほど、細い鎖の先に小さな鉄の塊をつけたこの武器を、ちゃんと扱えるようになろうと努力はしていた。
マイクロフトによると、この鎖をモルリークの剣に絡めるつもりとのことだが、あれだけの俊足を誇る男に対して、使い慣れない武器を命中させようというのは無茶だ、と私は思っていた。
我が軍が近付いても、敵軍は城壁の上で警戒態勢をとるだけで、城壁の外には出てこなかった。
我が軍はいよいよ攻城櫓と投石器を前に出した。
敵が矢を放ち、戦闘開始となった。
マイクロフト小隊は力を温存するため、城壁から約200メートルの位置で待機した。
敵の矢の射程には入っているはずだが、敵は攻城櫓と投石器への攻撃に集中しており、後ろに控える私たちのことは後回しにしてくれた。
後ろから見ていると、城攻めでは籠城している側が圧倒的に有利だということがありありと分かった。
城壁の上にいる分、敵の矢の射程が長くなり、逆に我が軍の矢は下から上へ射るので届きにくくなっていた。
また、城壁の隙間に隠れた敵が余裕を持って我が軍の兵士たちを狙えるに比べて、我が軍の弓兵たちはひとりの敵兵を射殺すのにも苦労していた。
我々としては商人に対する略奪行為によって敵の士気が下がっていることを期待していたのだが、ちょっと無理があったかもしれない。
これは思った以上に苦しい戦いになりそうだ、と私は思った。




