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10月14日、エドガー、パーシヴァル、私の3人はまたスタンリーに連れられて会議に同席した。
当然ながら、私たちの語学力ではまだ会議の全てを聞き取ることなどできなかったが、自分でも聞き取れる範囲が広がっているのは分かった。
その会議では、モルリークに続き、今度はあのバルヴァン侯爵――バルディッシュが言っていた火属性の半神――が騎兵隊を引きつれて敵軍の応援にやってくるとの情報が提出された。
しかも、複数の将校が恐ろしい噂を口にした
(私はこの将校たちが彼らなりにスパイ網を張っており、情報収集にも成功しているということに驚いた。
だが、スタンリーの解説によると、バルヴァン侯爵の情報は隠すつもりのないものだから、まともな指揮官なら入手できて当然なのだという)。
噂に尾ひれがついたらしく、誇張された表現がいくつかあったが、確かなところをまとめると、バルヴァン侯爵が戦場に立ったときには決まって彼の敵となった将校に雷が落ちるしい。
「しかし、恐れることはありません」
マイクロフトが言った。
「というのも、バルヴァン侯爵の雷は彼の側が仕掛けた戦いでしか落ちないからです。
バルヴァン侯爵は『バルディベルグの戦い』にも参戦したはずですが、雷は落ちていません。
これは、ディストロリス軍が晴れた日に戦いを挑んだからです。
ということは、バルヴァン侯爵が参戦するから雷が落ちるのではなく、彼が能力を発揮するのは雷が落ちそうな日に限定されるのです。
彼の能力はいわば、雷の落ちる点を定める能力であって、何もない空から雷を落とす能力ではありません」
将校たちが顔を見合わせ、議場がざわついたが、マイクロフトは意に介さずに続けた。
「端的に言えば、彼の能力は曇りまたは雨の日にしか効果を発揮しないのです。
ですから、彼が敵軍に合流する前後の晴れている日に、我々の方から戦いを仕掛けるべきです。
そうすれば、バルヴァン侯爵の能力を封じることができます」
この会議の日は、前回の大規模戦闘(9月9日)からちょうど5週間の日で、嫌がらせの略奪行為を始めてから3週間近くが経っていた。
敵の負傷兵が充分には回復しておらず、かつ敵の士気が下がり始めていると見込まれる時期だから、仕掛けるとしたら近日中だろう。
話はトントン拍子に進み、我が軍から仕掛けるという方針で会議が進められた。
横で聞いていた私にとっての心配事は、おそらく敵が今度こそ籠城策を取るため、前線に立つ将兵の消耗が大きくなることだった。
これはもちろん、マイクロフト小隊が全滅しかねないということを意味する。




