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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第6章 ランドン
68/146

6-1

 敵は前回の戦闘で敗北しているので、前回のような野戦だけでなく籠城を視野に入れるはずだ。

 そうなった場合、正面から攻撃すれば我が軍の消耗の方が大きくなる。

 スタンリーが教えてくれたが、一般的な兵法では、城を攻めるときに最も効果的な戦術は敵城を包囲することらしい。

 包囲によって外部からの補給と通信を断てば、城内の士気が下がって攻めやすくなるからだそうだ。


 我が軍は兵が3000人しかおらず、この数は城塞都市ランドンを包囲するのに充分とは言えない。

 そのため、敵軍の補給と通信を完全に断つことは期待できない。

 だが、妨害ならできる。

 上手くいけば、敵軍を城外に誘い出し、野戦に持ち込むことができる。

 ということで、我が軍はひとまずのところ敵軍の兵士ではなく、ランドンに出入りする商人たちを狙うことにした。


 我が軍はランドン近郊の商人たちに警告を発するところから始めた。

 警告と言うとやわらかいニュアンスになるが、要するに、ダームガルス軍を相手に商売を続けるようなら商店やその馬車を襲撃して金品を略奪するぞ、と脅しをかけたのである。

 事前に警告したのは、これで商人たちが敵軍との関係を()ってくれれば、安上がりで済むからだ。

 実際、警告の段階で商売を諦めてくれる商人は結構いた。

 それでも、残念なことに、軍を相手にした商売が儲かるからなのか、ダームガルス軍に対して個人的な愛着を持っているからなのか、商売をやめない商人たちもいた。


 警告を聞き入れない商人の何人かに対しては、警告した通り、ランドンに入る前の略奪を決行することになった。

 マイクロフト小隊も、機動力を期待されてこの作戦に参加を命じられた。

 事前の調査によると、商人たちは多くが4~6人のダームガルス軍兵士に守られているため、私たちは10~14人で襲撃をかける。

 マイクロフト小隊では6人班2つが1つの単位になった。

 作戦開始は9月25日。

 前回の戦闘から2週間余りで我が軍が動き出すことができたのは、リジーの治癒魔法のおかげだ。


 作戦前日、教練が終わった演習場で、木箱で作った即席の演説台の上に立ったマイクロフトが、小隊に作戦内容を通達した。

 だが、そのとき、メアリーが毅然と異議を申し立てた。

 彼女が言うには、作戦目的は商人たちから商品を押収すれば達成でき、(いたずら)に王国軍の信用を貶める略奪行為は不要なばかりでなく有害でさえある。

 私を含む何人かの隊士は、その通りだと思って頷いた。

 だが、富豪の商人から略奪ができると聞いて浮足立っていた連中が野次を飛ばした。

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