表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダームガルス戦記  作者: あじさい
第5章 ガース その2
66/146

5-11

 バルディッシュはマイクロフトのテントの近くに別のテントを用意され、ウィルソンとブキャナンが専属で護衛することになった。

 根が善良なウィルソンと誰にでも気さくなブキャナンは2人(そろ)って快くこの任務を引き受けた。

 国家機密となり得る超能力の話をしてもらった以上、バルディッシュをただで解放する訳にはいかなかったし、彼には今後も聞きたいことが出てくる可能性が高かった。

 後で知ったが、他の学者についても各国でこれに似た囲い込みが進んでいたらしい。

 バルディッシュの存在はそれ自体が機密事項ということで、その場にいた私たちは皆マイクロフトから今日のことを我が軍の人間に対しても口外しないように命じられた。


 バルディッシュをテントに押し込めてから、マイクロフトがスタンリーに言った。

「やはり、リジーを小隊に返してもらおう。俺の情報網では、ダームガルスの半神はモルリークとバルヴァン侯爵の2人だけで、しかも侯爵は旧ディストロリスに釘づけだから、モルリークさえ処理できればこの戦争に勝てるはずだった。だが、他に2人も半神がいるとなると、ニコラスひとりでは対処しきれない。リジーは重要な戦力になる」

 ニコラスが悔しそうな顔をして、リジーが得意げにふんぞり返った。

「それと……」

 マイクロフトは言い(よど)んだが、スタンリーと私が無言ながら先を促したので、ポロッと(こぼ)すように続けた。

「遣いをやって、リヴィウス殿下にもご足労願おう。もはや、なりふり構っていられないからな」




 その後、マイクロフトがジェンキンスとバーバルを説得したものの、リジーは今後もバーバル小隊に所属し続けることになった。

「適材適所」がバーバルの言い分だったが、今になって思えば、どちらかと言うと価値観の相違が問題だった。

 つまり、最前線で戦うマイクロフトが強敵を倒すことを最優先に考えているのに対し、後方支援のバーバルは味方を死なせないことを最優先に考えていた。

 これはどちらが正しいかという問題ではなく、どんな価値観に基づいて何を優先するかという問題だった。


 また、マイクロフトはジェンキンスに言って、緊急に将校たちを招集させた。

 議題はもちろん半神への対策だったが、マイクロフトは会議ではバルディッシュの存在を()せ、(かたく)なに「私独自のルートで調査したところによりますと」という表現を使った。


 帝国には4人の半神がいる。

 そいつらが我々の前で集結するのは時間の問題だ。

 一方、我が王国の半神は、ニコラス、リジー、リヴィウスの3人しかいない。

 数の面で既に劣っている。

 とはいえ、それを知ったところで我が軍の半神を手軽に増員できる訳ではない。


 マイクロフトがこの点に注意を喚起すると、何人かの将校たちがジルブラド帝国との同盟という策を提起した。

 ジルブラドはダームガルスや旧ディストロリスのさらに西に位置する国で、ここと我が王国で同盟を組めれば、ダームガルスを挟み撃ちにすることができる。

 しかしながら、クロッカス将軍によると、ダームガルスは今回の戦争に先駆けてジルブラドと不可侵条約を結んだため、我が王国とジルブラドとの同盟締結は難航しそうだとのことだった。

 もちろん、当時はまだ条約の効力など実際の利害の前には有って無いようなものだったので、マイクロフトたちは引き下がらず、議論は平行線になった。


「他国と同盟を結んでしまうと、勝ったときの賠償金や領土の取り分が減るから、戦況を楽観視してる連中はわざわざ同盟を結びたくないのさ」

 と、会議が終わった後にスタンリーが教えてくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ