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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第5章 ガース その2
61/146

5-6

「ドクターは王立図書館時代、半神について研究されていたそうですね。半神とはどのような存在なのでしょうか?」

「半神か。これはまた変わった呼称を使うね。私は専ら超能力者という言い方をしているが――、まあ、それは良いだろう。それで、カストバーグ卿、彼らがどのような存在か、とはどういう意図の質問かね?」

「……すみません、その質問の意図が見えないのですが」

「定義にはそれに適した用途があるものだ。たとえば、『人間とは何か』を語る際にも、歴史研究に勤しむ者、医学に従事する者、そして私のように超能力者について研究する者とでは、(おの)ずと違ってくる」

 当時の私は「この爺さんは何を言ってるんだ?」と思ったが、バルディッシュの言い分は要するに、半神を一言で言い表すことはできない、ということだった。

「カストバーグ子爵、貴公は超能力者の由来を訊いているのか、それとも性質を訊いているのか、はたまた弱点を訊いているのか、一体何だね?」

「少なくともドクターが今挙げてくださったものについては、全て知りたいと思っています」


「では試みよう。

 まず、由来は不明だ、と言っておくのが良かろう。教会の連中は信仰心によると考えているようだが、貴族系の学者には血統によると考えている者もいる。私はもっと別のものによると考えている。このように、学者間でも見解は一致していない。

 次に性質については、超能力者はみな人間離れした能力を持っているものの、神話や伝承によれば、その内実は個体ごとに異なる。教会は聖書に書かれていること以外は原則として信じない方針のようだがね。私の見解では、4種類に分類が可能だ。

 最後に弱点についてだが、端的に言ってそれは不明だ。ただし、土属性の超能力者については、体の一部を傷つけられると身体能力と治癒能力が損なわれることを示唆する伝承が複数存在する。

 以上だ」

 バルディッシュが早口だったので、当時の私にはろくに理解できなかった。

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