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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第1章 ノーリンドン
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1-1

 我がウベルギラス王国は今も昔もパラゴア大陸の西部に位置する内陸国だが、当時は西の国境をダームガルス帝国、北西をエルデリア王国、北東をロミトニア大公国、東をアマルディア帝国、南を教皇領と接していた。

 教皇領はその昔、ガルノルド王国があった所で、ガルノルド最後の国王サバルニアの遺志で教皇の直轄地となった。

 これらの国々は全て一神教であるメシア教を国教としており、異教徒を公職から排除していた。


 私はメシア教徒だが、あまり敬虔な人間ではない。

 その上で敢えて説明させてもらうと、メシア教は今から約1000年前に現れた救世主メシアの教えを信仰する一神教である。

 そのルーツは、人々にはあまり意識されていないが、私たちメシア教徒が選民教と呼ぶ宗教だ。

 救世主も元々は選民教徒だったが、彼が自分の教えを説いたところ、異端者として選民教徒たちに殺されてしまった。

 そのため、救世主の処刑から1000年以上が経った今でも、メシア教徒と選民教徒は互いに憎しみ合っている。

 ただし、注意せねばならないが、救世主の意志と犠牲によって我々人類の罪が(あがな)われ、救世主自身も処刑の3日後に復活して自ら神の国へ戻ったので、決して救世主が選民教徒に「敗北」したのではない、ということになっている。

 メシア教の教えは、人が踏み行うべき正しい道を示しており、或る司祭によるとその根幹は愛にある。

 つまり、メシア教によれば、我々人間は神の愛によって生かされており、そのことを意識し、創造主である神とその創造物である人間と世界とを正しく愛することによって、永遠なる神の国に導かれる。


 歴史的に見れば、我が王国は西のダームガルスより、むしろ東のアマルディアに対して警戒心を強く持ってきた。

 だが、ダームガルスがそのさらに西に位置する小国ディストロリス大公国を併合してから、我が王国とダームガルスの関係が悪化した。

 というのも、ディストロリスは鉄が多く採れる地域で、この併合がダームガルスの軍事的躍進に一役買ったからだ。

 力をつけたダームガルスは、ここぞとばかりに領土拡大を目論み、今度は我が王国に侵略を開始した。

 それが、当時の私たちが聞かされた戦争の事情だった。

 ちなみに、不幸中の幸いにして、当時のアマルディアは内戦が激しく、他国の戦争への介入どころではなかった。

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