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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第3章 ドゥオーク
35/146

3-1

 翌日、論功行賞(ろんこうこうしょう)が行われた。

 クロッカス将軍から直々に賞賛を受けたのは、我々の小隊ではマイクロフトとニコラスだけだったが、それでも私たちは誇らしかった。

 マイクロフトは前衛部隊を率いた小隊長として、ニコラスは西部防衛軍で最も多く敵兵を(ほうむ)った勇士として(ほま)れを受けた。

 さすがのニコラスも、王国軍3000人の前で賞賛されたときにはニヤリと不器用に笑みを()らした。


 その後、私たちは祝宴を再開して飲めや歌えの大騒ぎだったが、各小隊の小隊長たちと一部の一般兵たちは遺体の身元確認をしたらしい。

 メシア教では悪魔や魔女の類でない限り土葬と決まっているので、いくら安上がりとはいえその場で火葬にして済ますことはしない。

 身元が判明すれば、それぞれ(ひつぎ)に入れられて、それぞれの故郷に帰された

(今でもそうなのか私は知らないが、少なくとも当時は、棺を故人の故郷に帰す業者というのがいた)。


「ホリウスの戦い」の後、クロッカス将軍の率いる私たち西部防衛軍はしばらくドゥオークに留まった。

 一介の兵士にすぎなかった私に、政治の場で何が行われていたのか知る術はなかった。

 当時の私に分かったのは、ろくに期限が設定されないままドゥオークに留まることになったことと、その間にマイクロフト小隊が6人班を再編し、外部から人員を補充して、教練を再開したことだ。


 なるべく既存の班を維持するのが班再編の方針だったようで、私は再びケビンと同じ班になった。

 その他、騎士の息子アナン・フリード、その弟分ヴォルフガング、チンピラ上がりのコリン・ボーンズ、アマルディア(東の隣国)出身の傭兵サマセット・ローティの4人と寝食を共にすることになった。

 初陣を生き残っただけあってたくましい連中だった。

 アナンは真面目だったジョンやトーマスと違ってチンピラ寄りの人物で、規範に縛られたくないという強い意志を持ち、「ホリウスの戦い」以前から「戦場ではみんな平等だ、俺のこともアナンと呼んでくれ」と言ってくれていた。

 ヴォルフガングは平民出身だが、私の(もも)より太い腕をした屈強な男で、アナンに絶対の忠誠を誓っていた。

 コリンは故郷の町で盗みを働いて顔に刺青を入れられたが、入隊する代わりに牢から出してもらったらしい。

 サマセットはウベルギラスの言葉を上手く話せなかったが、酒を飲んでダンスをしてさえいればハッピーな人種として、小隊内では有名だった。


 リジーの入隊は他の志願兵たちと同じタイミングで行なわれた。

 それからしばらくこの志願兵たちは「新参」と呼ばれることになり、ケビンや私たちは「古参」と呼ばれる立場に格上げされた。

 リジーも「新参」だ。

 メシア教で土葬が行われる理由は現実のキリスト教と同じです。

 キリスト教ではこの世は永遠に続くものではなくいつか終末を迎えるのですが、そのときこの世が始まって以来の全ての死者がよみがえり、天国行きか地獄行きかに割り振られます。これが最後の審判です。最後の審判のときによみがえるためには肉体が存在しなければならないということで、肉体を滅する火葬ではなく土葬が行われます。

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