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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第1章 ノーリンドン
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1-19

 私が同じ班になったのは、ジョン・クラウド、トーマス・カーター、ボブ・アダムス、ケビン・コーナー、バリー・グレイグの5人だった。

 今に至るまで、私にとって「ジョン」と言えばマイクロフトではなくこのジョン・クラウドのことだ。

 彼は或る騎士の次男坊で、体力があって剣技にも秀でていた。

 今になって思うと、ジョンがわざわざ前衛部隊に入隊したのは、自らも武勲を立てて騎士となることで、父親へのコンプレックスを克服するためだったのかもしれない。


 当時の我が王国における騎士は、小さな領地の支配を許され、軍務を担うことを義務づけられた身分を指した。

 基本的に一代限りだが、武勇に秀でた者が任命され、最下位とはいえ貴族として敬われることが多かった。

 実際、騎士は(そもそもそういう者が任命されるのだろうが)主君への忠誠心が強く、勤勉だったり寛容だったりする者が多いというイメージがあり、その高潔な精神は「騎士道」と呼ばれた。

 当時の私も出世して騎士になることを目指していた。


 トーマスはジョンと同じく騎士の息子で、王室への忠誠心に燃えており、自分に厳しかった。

 私たちが寝坊せずに済んだのは、彼の体内時計が常に規則正しかったおかげだ。


 ボブは怖いもの知らずのプレイボーイで、私たちの班では唯一、メアリーに熱を上げていた。

 食事時にはいつも彼女のところに行ってしまうので、私たちはボブとあまり話せなかった。


 ケビンは内気で純朴な青年で、私たちの中で最も若かったが、最も大柄で、唯一の妻子持ちだった。

 しかも、当時としては珍しい恋愛結婚をしたとのことだった。

 ケビンの入隊理由は、彼が農家の五男で、(本人曰く)力が強いこと以外に取り柄がないからだった。

 その点、部分的にではあるが、ケビンの境遇は私のそれと似ていた。


 バリーは老けた顔をしていたが、たぶんまだ30代のおっさんで、かつて盗賊だったものの投獄されてからは足を洗い、刑期を終えた後、他に行き場がなくて入隊したらしい。

 私は盗賊の関係者全般を憎んでいたし、他の皆もどちらかと言うと私の味方をしてくれたので、バリーは仲間外れになることが多かった。

 だが、彼は私たちと仲良くしたかったらしく、いつも媚びるような笑みを浮かべていた。

 私は彼のそんなところがなおのこと嫌いだった。




 この教練期間で唯一ありがたかったのは、食事が朝・昼・晩の3度あり(当時は1日2食が普通だった)、当時の農民出身者からするとまともな物を腹八分目まで食べられたことだ。

 私は小隊の中では痩せ型だったが、それにしても働き盛りの男が満足できる量を人数分用意するのだから、相当費用が掛かっていたはずだ。

 当時の私はこれが軍隊の食事なのだと無邪気に感動していたが、実は隊長のジェンキンスが王都の官吏に掛け合った成果だと、ジョンが教えてくれた。

 ちなみに、ボブが嬉しそうに話したところによると、メアリーも我々と同じ量を食べていたらしい。

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