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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第1章 ノーリンドン
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1-17

 女戦士を襲った男4人がその場で返り討ちにされたという噂は、その夜の内に兵舎中に広まった。

 野次馬からはあの部屋の中の様子が見えなかったらしく、リジーのことは噂にならなかった。

 だが、強姦魔4人が処断されたのはメアリーがマイクロフトの愛人だからだというデマに加えて、面倒なことに、私がマイクロフトとニコラスにこの件をチクったという不正確な噂も一緒に拡散した。

 そのせいで私は一部の男たちから白い目で見られた。

 とはいえ、私はあまりに気にしていなかった。

 強姦魔に味方する彼らの常識感覚が気に喰わなかったのもさることながら、真偽が定かでない噂ごときに踊らされる連中などまともに取り合う価値はないと考えたからだ。

 それに元々、私は物心ついた頃には親族からも白い目で見られてきたのだ。

 今更赤の他人の視線など気にしていられない。


 翌日、マイクロフトは入隊式の前に新参に集合をかけて、極めて事務的に言った。

「昨夜、諸君の同僚を強姦しようと(たくら)んだ者が4人いた。彼らの内ひとりは強姦未遂の罪、残りの3人は強姦未遂の罪と私に対する侮辱罪で、軍事法廷で裁判にかけられる。諸君にはこれ以上欠員を出さないよう、良識ある行動を期待する」

 マイクロフトはそれ以上昨夜のことに触れず、デマや嘘には言及しなかった。

 ニコラスとメアリーの2人は特に何も言わなかった。


 ジェンキンス隊の入隊式が終わってすぐに、軍事教練が始まった。


 この時代、貴族・平民・傭兵のいずれに対しても、軍事教練はあまり熱心に行われないのが普通だった。

 もちろん、基本的な陣形、行進、方向転換を示す合図を聞いてすぐに兵士の体が動くようにしておかないと、軍隊として統率が取れないから、それくらいの訓練はする。

 だが、教練の段階であまり痛めつけると、実戦が始まるまでに理由をつけて辞退したり、気が変わって逃亡したりする者が後を絶たなかった。

 私たちが熱心に教練に励んだ理由は、私たちが自ら望んで前衛部隊に入ったからであり、また、戦場の最前線で戦うことがあらかじめ分かっている以上、教練の熱心さが私たちの命運を左右することが明白だったからである。


 後の活躍を考えると考えにくいことだが、最初の1ヶ月、私たちの教練を指揮したのはニコラスだった。

 ひょっとすると、他人に無関心なニコラスと新参たちとの間につながりを作っておきたいという、マイクロフトなりの配慮だったのかもしれない。

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