9-13
ガレット嬢のマントと寝間着をすっかり脱がせて、私はいよいよ彼女の腰から足までを隠している下着に手をかけ、それさえも脱がせた。
そのとき、私は驚きで目を釘づけにされた。
先ほどまで私を支配していた興奮が冷め、引き潮のように顔から血の気が引いていった。
私が抱いた恐怖は強烈なもので、今となってもあのとき自分がどれだけの間動けなかったのか思い出せない。
ガレット嬢の下着の下には、鍵のかかった鉄製の貞操帯があった。
貞操帯とは、股間を覆うことで、その名の通り女性の貞操を守る道具である。
多くは夫が妻の浮気を防ぐ目的で妻に装着させるが、辱めに遭うことを防ぐ目的で女性が自発的に装着することも皆無ではなかった。
とはいえ、衛生面に問題があるため、ほとんどの女性はこの器具を嫌っている。
夜這いに来る女がわざわざ貞操帯を身に着ける訳がない。
ということは、ガレット嬢は私のところに夜這いに来たのではない。
つまり、今の私が置かれた状況は、女性助祭を本人の意思に反して襲った強姦魔ということになる。
これは教会の権威を愚弄したということだ。
だが、それ以上に私にとってショックだったのは、姉の一件以来、女を辱める男を憎悪しているはずの私が、そういう男のひとりに成り下がったことだった。
私は自分の罪を取り繕うように、脱がせたばかりの下着を再びガレット嬢に穿かせた。そして、彼女の寝巻を本来あるべき姿に整えようとした。
だが、彼女は私の手を拒み、乱れた服のまま立ち上がって、私と距離をとった。
ガレット嬢は泣いていた。
「ご、ごめんなさい」
彼女は涙を拭って、なぜか謝った。
「夜中に押しかけておいて、こんなことってないわよね」
「いえ、こちらこそすみません」
私は土下座して早口で謝った。
教会から下される処分が怖かったのではなく、心からガレット嬢に対して申し訳ないと感じていた。
「誰にも言わないと誓ってください。そうすれば、今夜はこれでお暇します」
私の返事を待たず、ガレット嬢は足早に去っていった。
私は彼女の足音が聞こえなくなるまで、頭を上げることができなかった。