表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダームガルス戦記  作者: あじさい
第9章 ルンデン
116/146

9-8

 リヴィウスは教練に出なくなった。

 私たちは別に彼を咎めなかった。

 問題児がいなくなってせいせいしていた。


 そんな或る夜、リジーが私を訪ねてきた。

 彼女の用件はリヴィウスのことだった。

 リジーはリヴィウスが教練に出なくなったことを気にしていたようで、彼を説得して教練に出させようとしたらしい。

 しかし、リジーは軍人だけでなく民間人に対しても治癒魔法を施すという「任務」に就いていたので、リヴィウスにばかり構っている訳にはいかなかった。


「ねえ、どうすればいいと思う?」

 私の本音をそのまま言葉にすれば「放っておけばいいじゃないか」だったが、そう言ってリジーが納得するなら最初から私のところには来ない。

 そこまで考えて、私はどうしてリジーが私を訪ねてきたのか気になった。

 こういうとき、普通は同性の友達であるメアリーやアニーに相談するものではないか。

 私は先にそれをリジーに尋ねた。

「2人と、それからニコラスにも相談したよ。でも、放っておけばいいって言うんだ。このままじゃリヴィウスが初陣で最悪の事態に陥るかもしれないって言っても、まるでお構いなしって感じでさ」

 ニコラスは置いておくとして、メアリーとアニーはプライモア城で面と向かってリヴィウスに暴言を吐かれたし、アニーは自分の弟が、メアリーは自分自身が、彼の雷のせいで辛酸を舐めさせられている。

 2人がリヴィウスを気遣う道理はなかった。

 それに、戦力としてリヴィウスが重宝に値するのか、私にはもはや分からなくなっていた。

 マイクロフトはリヴィウスの力が我が王国軍に必要だと言うが、火属性の半神の力が土属性と水属性の半神に通じないことが明らかになった今、それが本当なのか怪しかった。

 ダームガルスの第2王女は土属性の半神だそうだから、むしろリヴィウスは足手まといになりかねない。

 私がそのことを伝えると、リジーは難しい顔で言った。

「メアリーとアニーはリヴィウスのことを許さないし、リヴィウスを受け容れても王国軍に得はない、ってことだよね」

「平たく言えばそうだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ