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ダームガルス戦記  作者: あじさい
第8章 プライモア
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8-8

 プライモア公爵は事前にリヴィウスの出征の準備を進めてくれてはいなかったので、準備を整えるのに少々日数が掛かった。

 プライモア公爵が最初にやったことは、リヴィウスについてのネガティブなイメージを払拭するために方々に手紙を出し、可能であれば相手を訪問することだった。

 これはもちろん、建前上、リヴィウスは「悪魔」からリジーと同格の「聖徒」へと格上げされたからだ。

 その他にも、リヴィウスを(様々な便宜を図るために)サルフォース子爵に任命したり、プライモア公爵家の家来から随伴の者を選んだり、リヴィウスと彼らの甲冑と武具を買い集めたり、壮行会を開いたりと、たったひとりの人間の出征のために大騒ぎだった。

 リジーはリヴィウスの超能力だけでなく言動をも監督する教育係のような立場になったので、終始彼について回った(ついでに「聖女」リジーも貴族たちに紹介された)。

 これにはリジーもリヴィウスもうんざりしていた。

 だが、そのおかげで、リヴィウスが公的な場で暴言を炸裂させる事態にはならずに済んだ。


 リヴィウスは長い軟禁生活のせいでほとんど乗馬ができず、リジーのようにセンスがある訳でもなかった。

 そのため、ルンデンまでの道のりは全て、彼を公爵家の馬車に乗せることになった。

 二頭立ての屋根つき馬車で、馬は2頭とも異様に毛並みが良かった

(アニーはイルハンスで自分たちが乗った馬車と比べたのか、リヴィウスのための馬車を見て渋い顔をした)。

 馬の一行に馬車が加わったことで、私たちの長い旅路はさらに時間が掛かるものになった。


 ルンデンまでの道中、リヴィウスは馬車に揺られる時間と寝る時間以外はマイクロフトと話をしていることが多かった。

 私には2人は性格が全然違うように思えたが、プライモアでマイクロフトが(かば)ってくれたことにリヴィウスが恩義を感じたのかもしれないし、年齢が近いことにリヴィウスが親近感を抱いたのかもしれなかった。

 リジーはリヴィウスの「お守り」に嫌気がさして、マイクロフトに「何かあったら言って」とだけ言い残してメアリーやアニーのところに戻ってしまった。

 リヴィウスがマイクロフトと何をどんなふうに話したのか私にはよく分からなかったが、とりあえずリヴィウスの問題発言にマイクロフトが激怒して決闘騒ぎになるような事態にはならなかった。

 とはいえ、リヴィウスが自分の過激な言動を心の底から反省して身分で人の優劣を判断する思考を改めたとは思えなかったので、スタンリーや私はなるべくならリヴィウスと関わりたくないと思っていた。

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