第四章・ドルVSフレア
走り込みを終えたフレア先生は一緒に走った子どもたちにスポーツドリンクを渡す。
スポーツドリンクを受け取った子どもたちはグビグビと飲んでいく。
「はい、フレア先生」
「おう。ありがとうな、リン」
「お前いいのかよ。生徒に示しがつかな――」
「ライ?」
リン先生はせっかくの幸せな時間を邪魔されて、ご機嫌ナナメのようだ。
「イチャイチャするの止めてほしいよね」
「そ、そうだね」
いつの間にか隣にいたフウがそう言う。
そんなことを気にもせずフレア先生は、
「おう。ドルとフウか。せっかく来たんだし、どっちか俺と勝負しねぇか?」
「勝負?」
「ああ」
さっきまで走っていたのに勝負を申し込めるなんて、どれだけ体力が有り余ってるのだろうか?
*
僕とフウはじゃんけんをして、フウが負ける。
僕が勝ったはずなのに、
「これは男気じゃんけんよ。つまりドルがフレア先生と戦うの!」
無茶苦茶なことを言われ、僕がフレア先生と戦うことになった。
「よし、決まったか」
27歳とは思えない若さを感じる。
「面白そうな戦いだね」
『ワシらも見学させてもらおう』
そこに『霊法の契約者』である一先生と、契約獣――アラタカさんは剣だが――であるアラタカさんも来る。
「いたんですね、ハジメ先生」
「僕がいたら何かまずいことでも?」
「い、いえ。そうじゃなくて――」
フレア先生とイチャイチャしたかったとは、口が裂けても言えないだろう。
「とりあえず僕も見学させてもらいますね」
『ドルくんがどれだけ強くなったのか、ワシも気になるからの』
「は、はい」
こうして多くの人に見られながら、僕とフレア先生の戦いが始まる。
*
「どうした、フレイムスラッシュ!」
「ソ、ソイル!」
僕の放った土の魔法は容赦なく燃やされる。
「武器は持たないのか?いくつか渡したはずだけど――」
「ま、まだ決めてる最中なので!」
実際は自分にあった武器がなかったのだ。フウはそうそうに弓と決めてしまったが……。
「そうか。まぁ、自分に合う武器なんてそうそうに決まらないわな」
フレア先生の剣がせまる。十年前と何も変わっていない!
「いてっ」
僕はあまりの猛攻に尻餅をつく。フレア先生の剣が迫って――
「勝負ありだな」
ライがそう締めくくる。