第三章・契約者養成学校
僕がスクールに行くと子どもたちとフレア兄さんが走っていた。
契約者には体力が必要な面もあるらしく、スクールが始まるとまずは走り込みから始まる。
僕がそれを見ていると――
「遅かったね、ドル」
「いいじゃない、フウ。今日も来てくれてありがとう」
先に来ていたフウとリン姉さんが養成学校の中から出てくる。
「お、遅れてすみません。リンねえ――いえ、リン先生」
「私はリン姉さんでもいいんだけどな」
「それじゃあ、子どもたちに示しがつかねぇだろうが」
契約獣のライも出てくる。
「お前はドルとフウに甘い所があるからな。もっとビシビシいけよ」
「それじゃあ教育に悪い気がするけど…」
リン先生とライが話していると、フウが僕の隣に来る。
「あの結婚指輪だけどさ。わざと見せ付けてない?」
フウが言ってるのはリン先生の薬指にはめられている結婚指輪のことだろうか?
「結婚したの五年前なのに、まだ仲がいいよね。あの二人」
「そ、そうだね」
何かを示唆してるように聞こえるが、何を伝えたいのか分からない。
「フレア先生もいい旦那さんだし、結婚するのって――」
「あの、リン先生」
「ちょっとドル!」
僕はフウから逃げ、あることを気付いたので、リン先生に聞いてみる。
「スイリュウ先生はどうしたんですか?」
「スイリュウ?今日は休みだから、アクアと一緒に町の清掃に行ってるわ」
「スイリュウ兄さんは休みの日なのにいつも清掃に行ってるな」
最近は町長から「一番町に貢献してる人」として賞をもらったくらいだ。
「そうね。けど、スイリュウは綺麗な水が好きだから、汚染されるのが嫌いなのよ」
未だに不法投棄も消えていない。もしかしたら、スイリュウ兄さんがゆっくり休める日は、もしかしたら来ないのかもしれない。
「ドルとフウも手伝ったりしてるじゃない。気にしなくていいのよ」
「う、うん」
「また甘やかしてるし…」
リン先生に頭をなでなでされていると、フレアにいさ――フレア先生の走りこみが終わったようだ。