第十七章・ドルVSアレクサンダー
僕たちが泉で待っていると、アレク兄貴が遅れてやってくる。
「それじゃあ始めるか」
「はい」
アレク兄貴は鞘から大剣を引き抜く。
「李天の親父の代理人を務めるアレクサンダー・ドランクだ。俺に勝てば、Eランクになれる」
「僕が負ければ、Fランク二位のまま」
「よく分かってるじゃねぇか――それじゃあ、始めるぜ!」
僕とアレク兄貴の戦いが始まる。
*
「ソイル!」
「それだけか?もっと他の技も撃ってこい!」
「まだこれだけなんです!」
「なら、創意工夫するんだな!」
僕のソイルを避けて、アレク兄貴の袈裟切りがくる。
斜めからくるその攻撃を僕は後退して避ける。
(フウとも一緒に戦えるわけじゃないから、合成技は出来ない!)
ソイルウィンドは今は出来ないので、それで攻撃するわけにもいかない。
「どうした?このままじゃEランクにはなれないぜ?」
分かりやすく挑発するアレク兄貴を見ながら、僕は冷静に考える。
(アレク兄貴の攻撃は前方にしかこない。だから、後ろのほうが空きが大きいはずだ)
相手の状況を見て、勝ち方を模索する。これは悠さんが教えてくれたことだ。
(ここは泉。それなら――)
僕は泉の近くまで後退する。
「どうした?泉に落とそうって考えてるんなら、流石に無理だぞ」
アレク兄貴が足を止めると、
「マッド!」
「うおっ!」
水を含んだ土――泥で足を止める。
「これじゃあ、動けねぇ!」
「ソイルナックル!」
僕は土属性の拳でアレク兄貴を攻撃する。
「ぐぉ」
アレク兄貴は後ろに倒れる。
「やるじゃない、ドル」
フウが褒めるのも珍しい。